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夢の続きを追い求めて。

2020年、関西学連に彗星のごとく現れた大学をご存じだろうか。

空色に雲がデザインされたユニフォーム。
総勢10名(男子9名)と少数ながら大阪インカレ10000m6位入賞、個人選手権出場など、素晴らしい結果を残している精鋭ばかり。
彼らの名は放送大学関西 陸上競技部である。

#おっさん大学生
#文武労働
#夢の続き
#やりたい放大 

をキャッチコピーに、労働も勉学もスポーツも全力で取り組み続け、10月5日、念願の通信制大学初の丹後駅伝出場を成し遂げた彼らに、創部のきっかけや丹後駅伝にかける思いを聞いた。

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1.きっかけは唐突に

駅伝に出場したい。

放送大学関西、創部のきっかけは主将の村上と副将の山口、二人のシンプルで熱い思いからだった。はじめは箱根駅伝出場を目指し、そのための予選会突破を掲げていたが、諸々の問題が発生し断念。では、関西ならどうか、ということで丹後駅伝出場に重きを置いた。

丹後駅伝の出場校決定方法は、昨年度大会の上位10校(シード校)に加え、10000mの記録8名の平均タイム上位12校(記録審査校)を合わせた計22校で決まる。
今年度の2次申込時点では、放送大学関西は記録審査校の中で3番目のタイム(32:44.87)で、シード校の大阪体育大学(32:57.09)よりも平均タイムは上位に位置しており、シード権獲得も不可能ではない位置につけている。

丹後駅伝出場のためには10000mの記録が最低8名必要のため、村上と山口はメンバー集めに奔走する。もともとGRowingMANという市民ランナーズクラブに所属していた二人は、同じランナーズクラブや、交流のあったGRlabを中心に駅伝に出てみないかと声をかけ、8名の部員を集めることが出来た。その中には実業団で活躍していた人、大学卒業を機に陸上競技から離れ数年ぶりに走り出す人、そして陸上未経験のメンバーもいた。この多様性こそが放送大学関西が持つ特徴であり、創部2年にして丹後駅伝出場を成し遂げる強みでもあった。

2.戦わずして負けた1年目

新型コロナウイルスの影響により、思い描いていたスケジュールにストップがかかる。10000mを実施する記録会が軒並み中止になったのだ。さらに、開催自体が危ぶまれていた丹後駅伝は出場校を22校から15校に減らして実施することになり、記録審査の有効期間も変更になった。当時、放送大学関西は10000mの記録を2名しか持っていなかったため、8名分の記録を揃えることが出来ず、記録審査落ちとなった。当然、このまま黙って終われるはずもなく、関西学連に対して記録会の開催、また選出条件変更の嘆願と署名集めを行った。しかし、他大学の協力を得られるまでに至らなかった。

戦わずして負ける。丹後駅伝出場を掲げた彼らに突き付けられた現実。
悔しくないわけがなかった。

悔しさを胸に来年こそは、とチームの団結力は一層高まり、9月以降に開催される10000mの記録会を探し、10月31日に大阪体育大学中長距離記録会で10000mが実施されることを知ると、すぐさま全員がエントリーを行った。当日は出走した全員が実力以上の走りを見せ、目標としていたチームタイムを7分以上も上回る好成績で終えることができた。その後も冬の走り込みをこなし、10月から3分以上もタイムを上げ、2021年に向けて準備は万端だった。

3.掴んだ丹後路への切符

2021年、10月4日。丹後駅伝の最終申込の期限を迎えた。9月26日、そして10月3日と2週にわたって行われた長距離強化記録会でも、10000mに4選手がエントリー。10月とは思えない暑さの中、2名が10000mを走り切った。チームとして1秒でもタイムを上げることを目標に1年、いや2年間挑戦し続けてきた結果、記録審査校の中で5番目のタイム(4:21:27.00)で、創部2年目にして初めての丹後駅伝出場を獲得した。

やっとこの時がきたか。

2次申込よりも順位は落としてしまったが、出場権を獲得。少しは安堵したものの、チームの目線は既に上を向いている。誰も届くことはないと思っていたシード権の背中が、不可能ではない範囲まで迫っているのだ。丹後駅伝は84.1kmを8区間で繋ぐ駅伝となっており、放送大学関西は男子部員9名のうち8名が出走することになる。付添もいない、誰一人欠けることのできない状況で、個々にかかるプレッシャーは大きい。しかし、放送大学関西には他大学に負けない陸上競技に対する経験値と調整力がある。

誰も見たことない景色を見に行くぞ!

11月20日の本番に向けて、チームの団結力はさらに高まっている。

4.虹色の襷

大学として初の駅伝出場のため、新たに襷を製作することになり、9月に部員全員でデザインを検討し合った。放送大学のカラーである青と白を基調としたデザイン、労働者らしく蛍光イエローのデザインといった、放送大学関西らしさが溢れた案が続出した。そして、最終的にデザインは虹色の襷に決定した。虹色には多様性を象徴する意味があり、5月に行われた関西チャンピオンシップで唯一の昭和生まれとしてレースに出場した中村、30km走をこなす途中で400mの試合に出場する陸上未経験の有山、出雲駅伝1区の経験がある南など様々なバックグラウンドを持っているチームでも、一つの目標に向かって挑戦している自分たちにぴったりであるという意味を込めた。

5.夢の続きは唐突にやってくる

大学卒業を区切りに、陸上競技から引退する人は多い。実業団やプロの世界は、学生レベル以上に厳しい勝負の世界であり、陸上競技が好きで続けたい思いはあっても、その競争率の高さに仕方なく引退を選択せざるを得ない現状があることは事実だ。しかし、陸上競技からの引退は走ることとのお別れではない。陸上競技という名前でなくても、健康のためにジョギングをしたり、仲間と同じ呼吸で汗を流したり、ちょっと自分の限界に挑戦してみたり。陸上競技が、走ることが好きだ。そんなシンプルな動機でいい。放送大学関西がそうだったように、夢の続きは唐突にやってくる。

おっさん大学生として丹後駅伝に出場することで残せる価値は何か。
大学卒業後の道は実業団やプロだけが正解ではない。自分たちのレースを見て、陸上競技を続ける、1つの在り方としてのロールモデル的な存在になれるような走りをしたいと語ってくれた。

虹色の襷が丹後路で躍動する瞬間にぜひご注目いただきたい。 

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放送大学関西陸上競技部公式HPはこちら


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