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全日本選考会のリベンジなるか!?

2013年、2015年には関西の頂点に立った京都産業大学(以下、京産大)。さらに遡れば、第39回大会から一昨年の第81回大会まで42年連続3位以内という関西の中では飛び抜けた記録を持つ。先日行われた全日本大学駅伝においても、関西勢として唯一の優勝経験があり、まさに古豪といえる。

昨年は3位入賞を逃したものの5位に踏み留まった。好成績を残しながらもチームが掲げる”優勝”は、ここ数年遠ざかっているのが現実だ。

そんな京産大が新体制になって初めて挑む丹後大学駅伝(以下、丹後駅伝)。長距離パートに所属し、先日の全日本大学駅伝では日本学連選抜として6区を走った時岡宗生さんに丹後駅伝に向けての思いを語ってもらった。

1.全員の絆

京都産業大学の男子長距離パートは今年、1年生が9人入部し、総勢29人。部員全員が京都北区上賀茂にある大学の所有する陸上競技場の近くの寮で生活をしている。部員全員が同じ屋根の下で生活をしているからこそ、そこでのコミュニケーションは欠かさない。楽しい話題も、時には厳しい声掛けも、いつでもチームで話し合える環境で生まれた、”全員の絆”が京産大の強みだという。

寮生活での食事について聞くと、「月曜日から土曜日まで寮で出る毎日の食事は、それぞれ好きな時間に食べることができますが、部員同士でよく一緒に食べること多いです。」と時岡さんは言う。陸上競技部の住む寮には他にも野球部やサッカー部、アメリカンフットボール部などの部活も一緒に暮らしており、皆同じ食堂で同じご飯を食べているそうだ。まず関西では部員全員が寮生活ということが珍しい。それに加えて、他の部活の人とも暮らすとなると、そこから得られる刺激も少なからずあるのではないだろうか。

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普段、選手は寮の近くにある大学の陸上競技場を使って練習している。2011年に改修工事が入り、第4種公認競技場となり、コロナが流行する前の一昨年までは京産大記録会という公認競技会も行なっていた。オールウェザーのトラックに加え、ウッドチップのコースも競技場内に完備しており、脚への負担も配慮しながら、そこでしっかり距離を踏むことを意識しながら練習に励んでいる。

積み重ねの日々

「朝練はオフの月曜日を除いて、毎日集団で60分ジョグを、午後練は火曜日はジョグ、それ以外はポイント練習をしています。補強に関しては、全員まとまってすることもありますが、それぞれ個人が必要とすることは違うので、基本的には各自でするようにしています。」と時岡さん。週5日のポイント練習というのに元長距離ランナーの筆者は驚いてしまったが、これが京産大。練習でも私生活でも集団の意識は変わらない。

今年の8月、チームは群馬県の万座で一次合宿を、9月に長野県の菅平で二次合宿を行った。どちらも高地での10日間程の合宿だったが、春先の故障者も多く、なかなか調子の上がらない選手が多かったチーム状態と比べ、今年の夏はほとんどの選手が練習を積むことができたという。

2.立ちはだかる壁

今年の春から新たに監督を迎え、新体制となった京産大。

「基本的には普段の練習メニューは監督が考えていますが、選手がこの練習がやりたいと提案すると、それをやらせてくれるので、いい意味で自由になりました。」と時岡さんは語る。また、自分の調子の良し悪しに合わせて練習に取り組めるので自主性も鍛えられ、これは選手にとって非常に大きな力になるのではないだろうか。

実は、今年の1月から監督がいない環境で練習をしており、今年の春に新監督を迎えるまでの間は、京産大の女子長距離の監督に見てもらいながら、自分たちでメニューを考え、距離を踏むことを中心に練習してきたという。コーチはいないが、今でも女子チームの監督にアドバイスをもらうこともあるという。昨年の関西学生駅伝1区区間賞の坂口博基選手や今年の第98回関西学生対校陸上競技選手権大会(以下、関西インカレ)男子1部5000m2位の泉海地選手など強くて頼れる4年生のいる新チームでの出発も順調にいくように思えたが、冬場に故障者が増えてしまうという事態。春に新監督とフレッシュな1年生を迎えても、全員が復活しきれず、毎年伊勢で行われている全日本大学駅伝への関西学連からの出場大学を決める選考会では総合4位という結果で、惜しくも出場が叶わなかった。この選考会は10000mを各大学10名が4組に分かれて走り、タイムの良かった8名の合計タイムで競う。3年ぶりの出場を決めた3位の大阪経済大学にわずか6秒差で京産大は敗れてしまった。7年連続出場を目指していただけに、選手たちは非常に悔しい思いをした。それでも選考会で、総合1位の立命館大学と2位の関西学院大学の選手に続く、個人で全体の5位に入り、29分54秒85というタイムで走り切った時岡さんは日本学連選抜チームに選ばれた。これがチーム動かす原動力となっていく。

立ちはだかる壁を越えて

先日、11月7日に行われた全日本大学駅伝では、時岡さんは共に走ることができなかったチームのためにも、6区(12.8km)を力走した。「一緒に走れなかったチームの分ももちろんですが、他大学の人と襷を繋ぐという滅多にない経験なので純粋に楽しもうと思っています。」と全日本大学駅伝よりも前に行ったインタビューで答えてくれた。結果は、OPではあるが区間16位。同じ区間を走った、上位を走る早稲田大学の選手よりも、関西勢の3校の選手よりも速かった。次の走者、7区は時岡さんと共に関西から日本学連選抜に選ばれた足立舜選手(京都大)。ここでも関西勢トップの区間15位。そして、この二人を勢い付けた立役者と言っても過言ではないほど、同じ日本学連選抜で、1区の強い関東勢の中でも区間6位の快走を見せた亀田仁一路選手(関西大)の走りは奮い立つものがあった。亀田選手の勢いそのままに、大学として出場できなかった関西から選ばれた3選手が選抜チームで大きな力を示した。

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(写真、先頭が時岡さん)

3.勢いは止まらない

全日本大学駅伝に刺激を受け、ここから進み続けるのが京都産業大学。

「選考会では悔しい思いをしました。ですが、夏合宿を終えて故障者は数人いますが、練習を積めているので良い状態で丹後に挑めると思っています。」と時岡さん。今年の丹後駅伝は、全日本大学駅伝の選考会の”リベンジ”を果たすことはもちろん、”優勝”することが最大の目標だ。そのキーマンとなるのは、1年生の小嶋郁依斗選手だという。高校時代には全国高校駅伝に2度の出場経験がある小嶋選手の5000mの自己ベストは今年の関西インカレでマークした14分26秒09。この時、1年生ながらも5位入賞を果たしている。これもまたチームへの大きな刺激になっているのは間違いない。

夏合宿を非常に良い状態で終え、秋には記録会でレースの感覚を取り戻してきた。10月に行われた関西インカレで結果を残した強い4年生とルーキーの存在は丹後路で”優勝”を引き寄せる鍵となるのか。新体制になってから、さらに自主性を磨き、変化してきたチーム。その答え合わせを丹後駅伝でしたい。この勢いは今年の丹後駅伝を掻き回す新勢力になるだろう。しっかりと調子を合わし、選考会のリベンジ、2015年以来の6年ぶりの王座奪還へ。今年は古豪復活に期待だ。

丹後駅伝は11/20(土)、7:45からスタート。
当日の模様はあすリートチャンネルのライブ配信をご覧いただきたい。

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