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チーム力で挑む4強崩し

第4回目の記事を飾るのは言わずと知れた関西の名門校、京都大学です。昨年の丹後駅伝では50年ぶりに4位という好成績を残し、まさに文武両道を体現しています。そんな彼らの強さの源は、部員全体で試合に臨むチーム力にありました。

京都大学のチーム力とは、選手一丸となって試合に臨むことのできる団結力のことです。その根底には、自分たちに頭で考え行動するという自主性と自律性が大切にされていました。このチーム力がどのようにして作られているのか、長距離パートの潮﨑さんにお話を伺いました。

1.学生運営から芽生える自主性

京都大学のモットーは自学自習、その精神は部活動にも見受けられます。例えば、練習メニューは4年生を中心にトレーニング理論を参考にしながら作っています。練習前にはその日のメニューの意図について話し合い、自分に適したペースなどを設定して練習に取り組みます。最終的に与えられたメニューをどう活かすかは個人に委ねられており、日々の練習でも自分で考えて行動することを大事にしています。

練習外でも、大会の日程調整やエントリーなど、部活動の運営は全て学生が主体となって行われています。自分たちの手で部活を運営することにやりがいを感じる一方で、指導者がいないことや練習時間の短さなど、他の強豪校との環境の差に不安になることも多いといいます。

「学生だけで運営する以上、どうしても手探りになってしまう。しかし、だからこそ自分たちが今できることを全力で行っている。」

と潮﨑さんは語りました。

現在はコロナ禍の影響で週4日しか練習時間が取れないため、足りない分は自主練で補われています。行動が制限されることも多く、大変な時期が続いていますが、それでも選手一人一人が今自分たちに必要なこと、できることを把握して行動に移すことを徹底しており、チーム一丸となってこの逆境を乗り越えてきました。

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2.大学生活の中で培われる自律精神

京都大学に在籍している以上、やはり勉強を疎かにすることはできないと潮﨑さんは言います。授業でレポートを課されることも多く、4年生や院生になるとそれに加えて研究や卒論が入ってきます。そのため練習時間の確保が難しいということが部員共通の悩みです。それでも一人一人が時間の使い方やメニューを考えることで強度の高い練習を行えるように工夫しています。

「京大生は全員受験を乗り越えて入部しているためか、集中力の高さと何かに熱中できる力を持っている選手が多い。それを活かして短時間でも効率的に練習している」


この自律精神は私生活でも活かされています。

京都大学では、練習と同じくらい食事と睡眠を重要視しているそうですが、私生活を徹底するように部員に強制することはないと言います。

「結局、私生活といった部分を自分で管理できるようならないと強くなれない。最終的には自分がどれぐらい強くなりたいかにかかっている。」

特に下宿生は、自炊をしなければならないため、さらに時間の使い方を工夫するのが難しいそうですが、ほとんどの部員は自己管理ができているようです。京都大学の練習は自分を律する力によって支えられていました。

3.実戦を通じて積み上げられる力

京都大学の特徴として、対校戦の試合数があげられます。関西インカレや丹後駅伝などの他に、東大戦や同志社戦など大学間での対校戦が多く開かれ、特に夏ごろに行われる七大戦(北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、大阪大学、京都大学、九州大学)は、毎年大きな盛り上がりを見せます。

京都大学のチーム力はこれら対校戦を通して培われていくそうです。それには対校戦前後に必ず行われるミーティングが大きく関係していました。ミーティングでは主に当日の流れ、自分たちの分析と他校の選手の分析、そして予想される得点の動きの確認をします。それによって選手たちのモチベーションの維持と、応援に来た部員がするべきことの共有をはかり、チームの団結力を強くする目的があるそうです。

また潮﨑さんは、当日試合に出られない選手こそ試合の流れに大きな影響を与えると言います。対校戦の選手に選ばれなかった部員も、その試合前後の記録会で結果を出すことや、交換日記で応援メッセージを送るなど、当日にいい流れができるような努力を欠かしません。

「試合に出られなくても、チームとして戦うことはできる。こうした地道な積み重ねが京大の力になっている。」

常に部員が一丸となって戦い抜こうという姿勢は、長い時間こうした空気を積み重ね、受け継いできたからこそのものです。丹後駅伝でもこの力を最大限発揮してくれることと思います。

4.常に挑戦者であれ

「やはり現主将である足立がキーマンになるのではないか」

と潮﨑さんは考えていました。潮﨑さん曰く、足立さんは主要な大会で安定して結果を出してくるタイプです。特に対校戦でその力を発揮し、昨年の関西学生駅伝では6区を走り区間3位、 今年10月に行われた関西インカレでは男子1部5000mと10000mで3位、3000mSCで4位と好成績を残しており、まさに京大陸上部の柱という雰囲気がうかがえます。



そしてもう1人、潮﨑さんが個人的に注目している選手が同じく4回生の吉村さん。


潮﨑さんは、吉村さんの強みはその継続力にあると言います。吉村さんは、今まで練習を積んでいるにもかかわらず、思うような結果が出ない時期が続いていたそうです。それでも諦めずに練習に取り組み続け、今年になってその努力が実り、調子が上がって来ているそうです。  

「これまで思うようにいかなかった分、積み重ねてきたものを爆発させてくれるのではないか」

と期待されていました。
お二人だけでなく他の選手たちも丹後駅伝に向けて仕上がってきているそうで、当日の健闘が期待されます。

京都大学は、今年の丹後駅伝では昨年度の目標から一段上げて、3位以上という目標を掲げています当日の枠争いには部員全員が気合を入れており、駅伝に向けて集中できていると言います。目標達成のために、この夏はジョグやペース走といった練習を主に行っていました。 

「今はとにかく距離を積んでいる。夏にしっかりとした土台を作り、丹後駅伝に向けて調整できている。4強と呼ばれる大学、そして今年は大阪経済大学や関西大学といった強敵に、挑戦者として向かっていきたい。」

と潮﨑さんは語りました。昨年の丹後駅伝で4位を取ったということを自信に、全日本大学駅伝の結果の悔しさをバネにして、その想いを走りでぶつけてくれるのではないかと感じています。今、一番勢いのある京都大学陸上競技部が今年はどんな走りを見せてくれるのか、4強崩しのダークホースとなるのか。ぜひご注目ください!


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