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なぜアメリカでは人前で部下を叱る事がタブーなのか

前回の記事で、文化によって価値観が6つの次元において違う(ホフステードの6次元モデル)と書きました。その第一の次元は「権力格差の違い」です。権力格差、とは、「その文化において、権力の弱い人々が、どれだけ権力の不平等を受け入れているか」と言う事です。(ホフステードは国ごとに指標を付けていますが、前回書いたように文化は国だけでなく地域や人種、組織、または企業分野によっても違ってきますのであしからず)

権力格差の大きい文化では、子供は大人を尊敬することが当然と思われ、権力がある人と無い人とが権力、収入に差があるのも当然とみなされます(権力格差を受け入れる)。例えば、権力格差の大きい文化では、子供は親の言う事を聞くのが当然とされます。また会社では、管理職は権力を持つことが当然とされるので、大きなオフィスを持ち、個人のパーキングを与えられたりします。また部下も「彼は管理職なんだから当たり前」、とそのような優遇対応を当然として受け入れます。

逆に、権力格差の少ない文化では、子供は大人と対等に扱われ、権力がある人と無い人とが権力、収入に差があるのは当然とは思われません(権力格差を受け入れない)。子供も一人の人間として親と対等な口をきき、また、会社でも部下も上司も同じ待遇を受けます。つまり、役職は「力の差」とは見なされず、単に役割の違い、という風な見方をするのです。さらに、権力格差が大きい国では、親と子、教師と生徒、上司と部下、などの関係で、権力のあるものに権力が無いものが依存する、という図式が成り立ちますが、権力格差が小さい国では権力があるものと無いものは同等の関係を取ります。

例えば、権力格差が大きければ、部下が上司に依存して上司は部下に対して父親のような対応を求められたりします。これは実際あった話ですが、

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