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雷雨

子どもの頃、ほぼ毎日夕立がきた。兄と留守番しているときに、雷がなるのは怖かったが、そのうち慣れた。毎日のように夕立が来る。家には自分と兄と猫しかいない。怖がっていてもしかたがないのだ。雷鳴にも稲妻にもおそれもせずむしろ好きになった。光ってからどのくらいで雷が鳴ったらどの辺りに雷雲があるのか、あとどれくらいで夕立が止むのか、予想したりして遊んだ。
夕立が上がると、地面の熱が冷やされ涼しくなった。それも好きだった。

晴天俄かにかき曇り、黒雲に覆われ、さぁっと冷たい風が吹き始めると、窓を閉める用意をする。間を開けず大粒の雨が降り出す。ボツボツと。そのうちに雨は地面を叩きつけ白い飛沫となる。ざぁっとバケツをひっくり返したような雨が屋根をうちつける。ごろごろと鳴り始めるとわくわくが止まらない。
耳を劈く雷鳴、空を割るかのような稲妻も美しい。自然が作り出す脅威はとても美しい。
私は雷が好きだ。

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