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2022年上半期:美味しかったクラフトビール 10 パイント

今年の年始に書いた2021年の10パイントに続き、今回は2022年の上半期で美味しかった10パイントを選び、それぞれについて書いてみた。

Pera Del Sol / Mission Trail

綺麗な色合いのCider

(いきなり一本目からビールではないのだが)2022年前半の一番の発見は美味しい Cider (シードル:リンゴ酒) や Perry (ペリー:梨のお酒) 等に出会えたことだと思う。昔からたまにCiderは飲んでおり、さかのぼるとアイルランドの Magners やスウェーデンの Kivik のリンゴ祭り等で味わっていたが、本格的にタップルーム等でテイスティングしたのは初めてだった。
その中でもこちら Pera Del Sol は梨の果実を発酵した Perry にリンゴの果汁をブレンドしたもの。素晴らしく華やかな梨由来のアロマ、林檎が入っているからかサイダーにも通じるスッキリとした青い果実味、奥に味わうことが出来る濃厚な蜜、しかしドライな後味で感動的な美味しさだった。
Mission Trail Cider のタップルームは Paso Robles 近くの Shandon というエリアにあり、Cider や Perry 以外にストーンフルーツを使った Jerkum 等、多くの種類の果実酒を味わうことができる。また、タイミングにもよるがサンフランシスコ市内でも Mission Trail を扱っているところはあり、Beer Nerdsでドラフトを飲んだことがあるし、City Beer Store では缶やボトルが売っていたこともある。

Playing for Keeps / The Rare Barrel

年始近辺に訪れたタップルームにて

イーストベイにあるサワー専門のブリュワリー The Rare Barrel (TRB) によるパッションフルーツ、オレンジ、グァバと共にオーク樽でエイジされたエール。TRB は実に様々なバレルエイジされたサワーをつくっていて、酸味であるタートさが強いものや弱いのものがあり、こちらは使われている果物からも想像できる様にタートさよりもフルーティーさが完全に全面にでているビール。ネクタリンやピーチに比べるとアロマは少し落ちるが、甘みがでてバランスがよく凄く飲みやすかった。その後このボトルも発売になり、慌てて数本購入。
去年に引き続き Ambassador of Sour 会員なので、ここの新しいサワーを飲むのが楽しみ。このビールを飲むことが出来たのもボトルをピックアップするためにブリュワリーを訪れた時だった。
ここのサワーはワイングラスの様なふちが薄くアロマをちゃんと楽しめるグラスで飲むと全く味が異なるので、そんな飲み方がおすすめ。

Big Chicken DIPA / Henhouse Brewing

大胆なラベルの缶

サンフランシスコから北に車で45分程運転した Santa Rosa にあるブリュワリー HenHouse Brewing Co.。2013年創業でベイエリアで非常に綺麗なIPAで定評がありつつも、セゾンやベルジャンを得意とするブリュワリーだ。そんなHenHouse が San Francisco Beer Week (SFBW) のタイミングで年に一度リリースしているビールがこちら Big Chicken TIPA。タップルームでも僅か3日間しか飲むことができない鮮度にこだわったビール。毎年 Freshtival と呼ばれる60以上の参加ブリュワリーが全てつくられてから一週間以内の新鮮なビールのみを提供するイベントを開催している HenHouse だけにそのこだわりの極みともいえる。
毎年レシピは異なり2022年は Mosaic, Talus, Idaho 7, Comet のホップを使用し、West Coast TIPA のお手本のようなダンクさと 10% の強さ。この味は本当に癖になる。例年はなぜかタイミング良くドラフトで飲めることが多いのだけど、今年はビア友が持ってきてくれた缶で。
HenHouse は他にも Fresh Pots というコーヒーセゾンやStoked! というシングルホップのペールエールが有名。

Follow the Glow TIPA / Temescal Brewing

左側がFollow the Glow

イーストベイのテメスカル地区にある Temescal Brewing は口当たりのよい軽めのPale Ale や Hazy IPA が有名だったのだけど、SF Beer Weekにあわせて出してきたビールがこちらの10%のトリプル IPA。エルドラド、モザイク、ネクタロンを大量に使い、パイナップルやピーチのアロマを感じつつもちゃんとしたダンクさがあり且つハイアル感を感じさせない素晴らしいビールに仕上げている。
City Beer Store では毎年 SF Beer Week の期間に TIPA 限定のブラインドテイスティング&投票イベントがあるのだけど、このFollwo the Glowは第二位に(一位は Humble Sea の Walrus Whirpool)。我が家でもブラインドテイスティングを行い、これは見事に一位だった。
Temescal Brewing は LGBTQ+からの支持が多いことでも有名且つイーストベイの素晴らしい陽気のパティオでビールが飲めるので、是非一度訪れることをおすすめしたい。

Atlas of Dark Seas / Humble Sea

Atlas of Dark Seas のボトルとKooks特典の缶クーラー

Humble Sea のボトルクラブ Kooks Club 2022年第一弾ボトルがこちら Atlas of Dark Seas。21か月Buffalo Traceの樽でエイジしたスタウト、14か月Buffalo Traceの樽でエイジしたスタウト、そして26か月バニラと共にバーボン樽でエイジしたスタウトの3種類のブレンドしココナッツとバニラで味付け。完成したインペリアルスタウトはこの上なくスムーズでキャラメル、ビスケット、ココナッツ、チョコの全てのバランスが良い。敢えて言うとすると、大人向けのブラウニー、甘くないダークチョコ。口の中で温まると弾けるココナッツとバニラ。11.5%のハイアルを感じつつもあっという間に無くなってしまう素晴らしいビールだった。
気合いの入っていた初年度である2020年に次いで久々の素晴らしい出来のKooks Club用のボトルな気がする。
テイスティングノーツが書かれたカードが付いてくるのも良い。
バレルエイジの時間を考えると、Sante Adairius に移動した Drew 氏がHumble Sea で最後に手掛けたKooks用のボトルだったのか?

Small Batch Apricot Beer 2021 / Russian River Brewing Co.

Russian River Brewingではあまりみかけないボトル

2022年よりRussian River Brewing Co.(RRBC)のボトルクラブ Cellar Societyに入ることができ、その上半期のボトル数種類の中で一番気に入ったのがこちら Small batch Series Apricot Beer 2021。なんとこれがRRBCでは初の杏子を使ったビールとのこと。
ソノマの環境で自然発酵させたビールと、ワインで有名な Silver Oak のワイン樽でエイジされたビールをブレンドし杏子と共に11ヶ月熟成。杏子の皮や実等全ての部分を味わえるかの様な複雑さと深さ。杏子を使いつつも Sante Adairius の West Ashley とも異なるアプローチのビール。同じ果物でもアプローチによって味が全然変わるのはまさにこの様なスタイルの面白いところ。
なお Silver Oak との繋がりは深く、RRBC のナタリーさんは昔 SilverOak のテイスティングルームで働いていたとのこと。2本セットなのでもう一本はセラーし味の変化を楽しむことに。

Pliny the Younger TIPA / Russian River Brewing Co.

ボードの左下にはPliny the Youngerの文字が!

季節の定番すぎるので入れるべきか迷ったが、2年ぶりのドラフトは本当に美味しく、且つ今年はブリュワリーで待ち時間が少なく飲める方法が分かったということもありランクイン。
アメリカ西海岸のビールが好きな人にはお馴染み、Russian River Brewing が1年に一度だけリリースする最高にダンクなトリプル IPA 、それがPliny the Younger。詳細は下記のnoteの記事を読んで頂くとして、今年も最高に美味しく、最高に酔っぱらえるビールだった。

Old Hobnoblydoblin / Wondrous

右のグラスがOld Hobnoblydoblin。左の缶は定番のポーター Drab。

Sante Adairius 等でブリュワー経験があるWynn氏がヘッドブリュワーを務める Wondrous はベイエリアの中で人気が急上昇しているブリュワリーの一つ。ここの最近の特徴はとにかくラガーとピルスナーの種類が多いこと。IPAが2,3種類しかない中、へレスやピルスナー等が6種類ぐらいタップに繋がっていることもある。
そんな Wondrous だけど、こちらのイングリッシュ スタイル バーレーワインである Old Hobnoblydoblin は別格の美味しさだった。ステンレスで1年程寝かされた結果、フルーツ味とキャラメルモルトが際立つ深い味に(なお、'Old' がつくビールはたいていバーレーワインであることをToronadoで教わった)。Wondrousで2バッチ目をつくる初めてのビールになったとのこと。
これ以外にも Lasting Love インペリアル ダーク ラガー や Wondrous Hell へレス等でも迷ったがインパクトの観点でこれに。
Wondrous は今最注目のブリュワリーの一つだと思う。

Love Beer / Schneider Weisse

この縦長グラスで飲みたい!

上半期で新たに発見した場所の一つがこのビールを飲んだ Radhaus。サンフランシスコベイを眺めながらドイツビールを飲むことができるレストランで、晴れた日に訪れたらそれは最高に気持ちが良い。
ここを訪れた日もそんなサンフランシスコンの日差しを楽しむことが出来る日で、一杯目に頼んだビールがこちら。Schneider Weisse による夏限定のゴールデン ウィートビール Love Beer。エルダーフラワーやストーンフルーツのアロマと最後の軽めの甘さが絶妙で、カラっとした暑さにはぴったり。普段はあまりヘフェ等のウィートビールは飲まないのだが、これは本当に美味しくまた是非飲みに行きたいビールの一つ。

A Voice to Say / Sante Adairius Rustic Ales

この色が本当に好き

こちらはSante Adairius Rustic Ales のSARA's Cellar用ボトルの一つ、A Voice to Say。Matsumoto 農園のピーチとネクタリンを使用しダブル バレルエイジされたセゾン。飲んだ瞬間に あ、Santeの味!と叫んでしまうぐらいフルーツに溢れ余韻が飲み終わった後までずっと続く。
West Ashley 等に近いフルーツ感で、タートさではなくアロマと果実の新鮮さが全面にでている。
Sante Adairius は上半期はあたりが多くPast Remembered, Anaïs, Like Minds 等も候補に入ったのだけど最終的に残ったのはこれだった。それだけ印象深い一本。

その他美味しかったビール

以下のビールも美味しかったのだが、残念ながらトップテンには入らず。飲んだ時の雰囲気(あまり酔っておらず味を憶えているかどうかを含む)もあるので、下記も見かける機会があればまた飲みたいビール達だ。

  • The Porcupine and the Snakes (Gruit) / Mad Fritz

  • Dank of the Dead (West Coast IPA) / Slice

  • Stoney Logger (Hoppy Lager) / Cellarmaker x Wondrous

  • A Deal with the Devil (Triple Oaked Barleywine) / Anchorage Brewing

まとめ

昨年に比べブリュワリーやビアバーで飲む機会も増え、また複数のボトルクラブに入っていることもあり、そのような限定ボトルを飲む機会が多くそれを反映した結果になったと思われる。
また、いろいろと味わい更なる探求欲が出たのか、飲むビールのタイプの幅も広がり、さらにそれぞれの中で美味しい発見があり充実した六か月だったかと思う。

下半期も美味しい一杯に出会えることを祈って、Cheers!

参考までに2021年の10パイントはこちら↓


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