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Scrum at Home〜スクラムは我々の生活を良くしてくれるのか〜

みなさんこんにちは。日本IBMの片所(Katasho)です。
今までは3年連続IBMのインターンシップで学生のみなさんにアジャイル体験を提供しているほか、社内外のアジャイル研修トレーナーとして活動しています。

Scrum at Home〜世界最年少のScrummer〜

前からずっと、スクラムを生活の中でも実践できるではないかと思っていましたが、今回はYoutubeで「世界最年少のScrummer」の動画を見て、実際に子供でも実践できることがわかりました(^^);
私は現在1児の母親として日々奮闘中で、子供がもうすぐ4歳になります。この動画の中の子供も4歳〜5歳だと思いますので、非常に親近感が湧きました。

では、この世界最年少のScrummerがどうやって生活の中にスクラムを実践しているのか、動画で見ていただきたいと思います。(約2分30秒)

いかがでしたか。動画の中の子供Chaseくんが、学校に行く前の出掛ける準備を、ボードとカードで見える化にして、お父さんからフィードバックを得ながら出発の準備をやりましたね。スクラムをご存知の方であれば、Chaseくんはスクラムの要素をこの一連の行動の中で実践していることがわかると思います。

実際に、Chaseくんがどうやってスクラムを実践しているかを見てみましょう。
※ボードでは、「Not Done」「Doing」「Checked」が書かれていて、それぞれの下に、黄色いカード(付箋)が貼られています。

Identify Work in Progress (WIP):
ブーツを履く前に、ちゃんとカードを「Not Done」から「Doing」に移動しました。
Focus on Work in Progress:
自ら「Do it」と言って、ブーツを履くことに集中しました。
Asking for Feedback/Short Feedback Loop on Quality:
途中でお父さんに「左右反対になってないか」とフィードバックをもらいながら、
Inspect/Typical Team Reaction:
ブーツを履いてはチェックして、左右反対になっちゃったことを、お父さんに気付かされました。
Commitment to Continuous Improvement:
左右があうまで履き直しました。
Complete one task before beginning another:
ブーツを履き終わるまでは別のことをやり出すことなく、ちゃんと最後まで履きました。
Visualize New Work in Progress:
履き終わった後に、ボードの「Doing」にあるカードを「Checked」に移動して、「Not Done」にある最後のカードを「Doing」に移動してから出掛ける前の最後の準備(帽子とコート)をはじめました。

Chaseくんの学校に行く前の準備は日常の中にもよくある行動だと思いますが、ここまで多くのスクラムの要素を実践できたことは非常に素晴らしいですね!

スクラムは我々の生活を良くしてくれるのか

スクラムを日常生活にも実践できることがよくわかりました。ただ、1つ疑問に思うのは、スクラムを実践したら、我々の生活は良くなるでしょうか。

Chaseくんの例で見ると、確かに学校に行く前の準備としてスクラムを実践したことは立派ですが、実際自分の子供の出掛ける準備をする際にそれをやるかと聞かれたら、個人的にはやらないと思います(^^);
理由は、このような複雑性がない簡単なことをやるには、いちいちボードとカードで管理したり、イベントを実施したりしなくても、そのままやっちゃったほうが早いからです。必要であれば、Checklistを用意して手元でチェックしながらやれば十分だと思います。

では、スクラムを実践しても、我々の生活には何の役にも立たないということでしょうか?ソフトウエア等の開発でスクラムを適応する際と同じく、向き不向きがあると思います。

ソフトウエア開発におけるスクラムの向き不向き
開発の場合、要件が簡単で、決まっていることを着実に実施すれば完成できるというケースは、スクラムもしくは他のアジャイル手法ではなく、従来の開発手法(ウォーターフォール型)が向いていると言われています。例えば、手数料の改定適用やDB構築などのケースは、スクラムより従来型の開発手法が向いています。一方、要件が複雑で、何を開発するかをはっきりと決まっていなく、ユーザーとコラボしながら改善していくようなケースは、スクラムが向いていると言われています。例えば、アプリのUI改善や使い勝手向上など。

日常生活におけるスクラムの向き不向き
我々の生活に置き換えても、同じこと言えるではないかと思います。
出掛ける準備、洗濯、片付けなど、シンプルでやることが決まっているケースは、わざわざスクラムを実践しなくても、そのままやったほうが効率がいいと思います。
では生活の中でスクラム実践に向いていることは何だろう?と考えてみました。例えば、家の模様替えはその一つではないかと思います。

家の模様替えは、洗濯などの家事と比べて比較的複雑で、やることも決まっていません。家族の中で複数人参加可能で、一定の期間の中で構想から実際にものを調達して模様替えするまでをやった後に、家族の意見を聞いて、また一定の期間で見直すなどを繰り返すことで、家の中が徐々に理想に近い形になっていくではないかと思います。
もう一つ、模様替えはスクラムが向いていると思ったのは、模様替えを繰り返している中、必ず使えるもの/見えるものがあるというところです。それはスクラムでいうと、出荷可能なインクリーメントがあるということですね。スクラムをうまく実践すれば、いい模様替えができるではないかと思います!

そうは言っても、実際生活の中では、ルーティンのようなシンプルなやることのほうが沢山ありますが、スクラムは全く役に立たないでしょうか?そんなことはないと思います。出掛ける準備などは、スクラム実践するには向いていないかもしれないですが、スクラムの要素やマインドを意識することで、些細なことでも良くすることができると思います。例えば、子供が学校に行く前の準備の中で、テレビなどに気を取られず目の前の準備に集中(Focus)してもらって、前の日よりも速く、1日1日少しずつ改善していく(Continuous Improvement)というスクラムの要素とマインドを取り入れるだけで、我々の生活は良くなっていくではないかと思いました!(^^)

告知

最後に恐縮ですが、少しだけ告知をさせていただきたいと思います。
冒頭の自己紹介にもありましたが、IBMのインターンシップ ITスペシャリストコースでは、学生のみなさんにAgile開発を体験していただけます。
今年は4回目担当させていただくことになりますので、興味がある方はぜひ以下をチェックしてみてください!(例年だと5月初旬に公開されます)

IBM採用ホームページ:


最後まで読んでいただきありがとうございました!


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