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【Vol2】「常陸秋そば」に魅せられ 素人そば打ちの頂点へ 全日本素人そば打ち名人大会 第28代名人 掛札 久美子さん

   食の宝庫である茨城県。「常陸秋そば(ひたちあきそば)」は、全国のそば職人から最高峰との評価を得ているブランド品種です。風味豊かで、首都圏の名店でも使用され、黒褐色の見た目にも美しいそばは常陸太田市が発祥で、そば粉の力強さが魅力!!甘みと芳醇な香りのそばを求め全国から多くのファンが訪れています。また毎年、県内の各地でそばのイベントも行われます。
 
 この県北地域で伝わる郷土料理「つけけんちん」はご存じですか?
旬の野菜や芋がらなど、具だくさんの汁と、太めのそばをつけて食べるものです。心も体も温まるこの「つけけんちんそば」は、多くの飲食店や家庭で広く食べられています。
 
 この常陸秋そばを広める活動をしており、今年度福井県で行われた「第28回全日本素人そば打ち名人大会」で見事優勝を勝ち取った、掛札久美子名人にお話を伺いました。掛札さんは普段、常陸太田市にある「いばらき蕎麦の会」の事務局で働いていらっしゃいます。

Vol 1 はこちら↓


Vol 2  打ったそばを味わうだけではない、大会や試験とは?


  -出場された全日本素人そば打ち名人大会について教えてください!

 今回は全国から420人応募があったそうです。最終選考に選ばれ、技を競いました。こね・切りなどの工程や、服装・衛生面なども審査対象になります。上位6名については、食味の審査もあります。
 
 まず、予選では40分で1キロのそばを打ちます。最終の本選は30分で行います。片付けまで入るため、時間の配分が重要です。10分違うのはものすごく大きい、次の動きは?と考えながらやっていると時間に間に合わなくなってしまいます。12人ずつ審査され、衣装、作務衣などは自由。とても緊張しますが、所作も審査対象となるので立ち振る舞いにも十分気を掛けなければいけません。採点は減点方式で行われます。
 
 大会では、司会と解説の方が、「掛札さんは12回出場してます」と言われましたが、もっと多いなぁ。回数違うんだけど(笑)、と思いましたが、そのまま続けました。14回目の出場で見事優勝することができました。
 
 優勝すると、「名人」を名乗ることができます。賞状とトロフィーをいただきました。大会中も会のメンバーが応援してくれて、優勝を一緒に喜んでくれたことがうれしかったですし、今までがんばってきて本当によかったと思いました。

名人になったとき、「やっと夢が叶ったぁ」 と思ったそう

  練習では、そば粉を何回かこねなおしたりします。一日に3回そばを打つ日もあります。朝来る前に打って、昼休みもできるので打ちます。集中力が大事なので、とても疲れます!(笑)が、でもやはりそば打ちは奥が深く、楽しいので何度でも続けられます。
 
  -そばの段位認定会があると聞きました。

 「全麺協そば道段位認定会」というものがあり、私は現在六段の保有者です。
最初は初段で八段まで、現在八段はいません。七段は一人。六段は30名位でしょうか。
 
 初段は700グラムのそばを打ちます。上級では、グラム数が違ったり、そばの種類が違ったりします。粗びきなどは特に難しいんです。
そばを打つときは、「美味しいそばを打とう」と意識するだけでも、何も考えないで打つよりも、仕上がりが本当に違います。麺の厚さは、1.8mm~2㎜の幅で目指しています。薄すぎても食感が違ってきます。
 
  -そば打ちにはいろいろな世界があるのですね。そば打ちを始めてから特に印象に残ってることを教えてください。
 
 やはり、打ったそばを「おいしい」と言ってもらえることがうれしいです。ちょうど事務所の近くの桜が満開になったタイミングで、そばをみなさんに振舞えたことがありました。美しい桜を見ながら過ごした時間は、ほんとうに幸せでした!

Vol 3 これからそば打ちを始める方へのメッセージ。名人となった掛札さんの今後の目標とは?  へ続く