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【Vol1】「常陸秋そば」に魅せられ 素人そば打ちの頂点へ 全日本素人そば打ち名人大会 第28代名人 掛札 久美子さん

   食の宝庫である茨城県。「常陸秋そば(ひたちあきそば)」は、全国のそば職人から最高峰との評価を得ているブランド品種です。風味豊かで、首都圏の名店でも使用され、黒褐色の見た目にも美しいそばは常陸太田市が発祥で、そば粉の力強さが魅力!!甘みと芳醇な香りのそばを求め全国から多くのファンが訪れています。また毎年、県内の各地でそばのイベントも行われます。
 
 この県北地域で伝わる郷土料理「つけけんちん」はご存じですか?
旬の野菜や芋がらなど、具だくさんの汁と、太めのそばをつけて食べるものです。心も体も温まるこの「つけけんちんそば」は、多くの飲食店や家庭で広く食べられています。
 
 この常陸秋そばを広める活動をしており、今年度福井県で行われた「第28回全日本素人そば打ち名人大会」で見事優勝を勝ち取った、掛札久美子名人にお話を伺いました。掛札さんは普段、常陸太田市にある「いばらき蕎麦の会」の事務局で働いていらっしゃいます。

Vol 1 そば打ちを始めたきっかけとは?


    ―全日本素人そば打ち名人大会での優勝、おめでとうございます。優勝者でただ一人、「名人」を名乗れるまでになったそば打ちについて、始めたきっかけをおしえてください!
 
 20年ほど前、子供が幼稚園に入園したタイミングで仕事を探していたところ、「いばらき蕎麦の会」の事務員募集がありました。勤務時間が午前中のみで、育児と両立しやすいため応募してみたところ、事務職で採用されました。「いばらき蕎麦の会」は平成11年に創立された、そば好きの人たちが集まり、そばを楽しむために作られた団体です。
 
 実は、そば打ちは一度もやったことがなくて、始めは興味もなかったんです。始めの1年間は、イベントなどで会員さんがそば打ちをしている姿を見るだけでした。
 そのうちに会員さんが、そば粉を夢中になって延ばすたり、切ったりしている姿を見て、「そば打ちする姿ってかっこいい!!!」と思えたのがきっかけでした。
 
  -そこから素人そば打ちの頂点である、『名人』にまで登り詰めたんですね!そこまでのめり込んだ理由、そば打ちの魅力について教えてください。
 
 そば打ちは、本当に奥が深い。「どうしたら最高のそばになるのか、そのためにはどうすればいいのか?」と常に考えながら、そば打ちをしています。
 麺を打ち終わったあとも、仕上がりを確認し、実際に味わい、また次のそば打ちに生かす。湿度や温度が違ったり、捏ね方、切り方など、多くの工程があり何度そば打ちをしても、全く同じ仕上がりにならないところが、皆さんもはまっていく魅力だと思います。

講習会の参加者さんに丁寧に指導する掛札さん 

  -掛札さんが所属する「いばらき蕎麦の会」について詳しく教えてください。
 

 県内外に約250名の会員が所属している全国最大級のそば好き集団です。そばの生産者さん、様々な業種の方や、そばをこよなく愛する人などがいらっしゃいます。定年した男性の方の割合が多いですが、他にもいろいろな年代の方が、栃木、千葉、埼玉から集まっています。会から名人が最近でも2人でており、人数が多いのも要因だと思いますが、素晴らしい技を引き継いでくれる良い師匠たちがいるということが大きいと思います。
 
 活動内容は、「常陸秋そば」のそばの実を自分たちで栽培から収穫まで行い、新そばを味わうことで、自ら常陸秋そばの魅力を体感し発信をしていくほか、若い方にもそば文化を継承したいと考えていて、市内にある西山高校でもそば打ちを教えています。部活ではないのですが高校生が集まってくれています。
 

1.8mm~2㎜の厚さになるにようにそば生地を伸ばしていく

 3月10日には、日本一の「常陸秋そばを楽しむ会」という、23代名人の仲山徹さんとそば打ちの実演と解説をし、郷土そばを味わうというイベントがあります。このようなイベントにみなさんにぜひ、お越しいただきたいです。

 23代全日本素人そば打ち名人の仲山徹さん

Vol 2  28代掛札名人がそば打ちを始めたきっかけとは? へ続く