[Article] 米国シークレットサービスは銃を携行して警護するのか
日本を訪問していたバイデン米国大統領が、無事、日本を発ちました。
バイデン大統領が日本に滞在中、日本の警察は、検問や道路封鎖をするなどして厳重な警備にあたりました。
米国大統領に対して直接警護を行うのは、アメリカ合衆国国土安全保障省に所属する米国シークレットサービス(US Secret Service:以後シークレットサービス)。以前は財務省所属の組織でしたが、9.11米国同時多発テロ以降、その業務の重要性が増し、国土安全保障省に所属が移りました。
米国大統領が日本に滞在している間も、その警護は基本的にシークレットサービスが行いますが、ここでひとつ疑問が出ます。
日本の警察官であれば、銃器を携行して警護にあたることができますが、訪日しているシークレットサービスの隊員たちは、日本国内での警護にあたり、銃器を携行しているのでしょうか?
答えはYesとNoの間です。
もともとシークレットサービスでは、米国大統領を警護する際、大統領のすぐそばで警護にあたる5名ほどだけが常に銃器を携行しており、その他の隊員たちは必要に応じて携行、というスタイルをとっています。
これは、シークレットサービスが、「危険が起きたら対象する」という“事後対処”による警護手法ではなく、「想定されるあらゆる危険を未然に防いでいく」という“事前準備”に重きを置いた警護手法をとっているためです。警護中に銃器を使って攻撃者を制圧する、というのは、シークレットサービスにとっては“警備の失敗”を意味しています。銃器を使わなくて良い状況を事前に作っていくことこそが、シークレットサービスの目指している警護です。
とはいえ、最悪の事態にも備えなくてならないため、最低限の隊員たちだけが“念の為に”銃器を携行しているのです。
日本訪問中の米国大統領の警護についても同様の警護方法で、バイデン大統領のすぐそばで警護にあたっている5名ほどは銃器を携行していますが、その他のシークレットサービス隊員たちは、銃器は携行せずに警護業務に従事しています。
ちなみに、シークレットサービス隊員たちが日本国内で銃器を携行するにも許可は必要で、日本政府(外務省)や日本警察などから、特別な許可が出ています。
もうひとつちなみに、バイデン大統領のそばで警護にあたっているアジア人は、日本のSP(警察)ではなく、韓国系米国人でシークレットサービス隊員のDavid Cho氏です。
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