ペルー アマゾン 一人旅 7 ジャングルキャンプ
オクタビオ と ジャングル
プカルパでは けちって、自力でジャングルの村を訪れようとして失敗し
死にかけるはめになったので
イキトスでは外国人観光客らしく奮発して、ガイドつきのジャングルツアーに参加。
ジャングルの中で数泊キャンプ生活をすることに。
そのガイドの名前がオクタビオ。
オクタビオは2年前まで、ジャングルに住んでいた先住民族。
観光客が来るとなると、村人全員、急いで上半身裸、腰ミノをつけてそれ風にやっているそうだ。
普段はTシャツ短パンらしい。 Tシャツのほうがぜったいラクだと言っていた。でもTシャツではお金にはならないと。
2年前にガイドに転身。この人すごい能力があって、
ガイドになってから8か国語話せるようになったらしい(自称。語学力は?)。
ジャングルで見たどの動物より、私にとってはこのおじさんが一番驚きだった。
商魂逞しいというか、ジャングルガイドをやりつつ、その途中に小さい副業を何気にはさんでくる。かなりやり手である。
しかし、そんなことよりその動物としての能力の凄さに驚いてばかり。
自分がどれだけ動物として退化しているのかがよくわかった。
鳥よせがでる
口笛で鳥の鳴きまねをすると大きな群れが森に飛んでくる。数が夥しいのでまるでヒッチコックの映画みたいに大木が鈴なりになり、けたたましい鳴き声が響く。
また、グォッグォッと低い声で動物の鳴き声のまねをすると、なにか大型の動物が川の向こう岸で反応している気配がする。
オクタビオは豹だと言うけど姿はみえない。
確かにジャングルの奥で低くうなる声には迫力があって、それなりの大物であることはわかる。
視力がすごい。聴力もすごい。
「あそこに~がいる」と言われても、見逃してばかりいる私にいらついて、
というか、ウソばっかりと言い始めた私に怒りがつのってきたらしく
途中からは私の頭を後ろからガシッとつかんで、見える方向に向けてくれるようになった。
するとほんとにそこにカピバラや なんとか手長サルがいた。
耳もすごい。ボートが来る音がすると言ってから1時間ぐらいしたら本当に来た。
夜、カヌーに乗って、夜光虫を見に行く。
支流のそのまた支流の細く曲がりくねった川を進んで行く。漕ぎ手はオクタビオ一人。絶妙の 櫂さばきで音がしない。それもそのはず
オクタビオは小舟の先に立って、口に懐中電灯をくわえて、銛で魚をつく漁をしている。
魚たちは、水面近くで、あまりにも無防備に寝ている。
このあたりで夜行性の敵はオクタビオだけなのか?
魚の熟睡の姿がとても間が抜けている。斜めになってたり、仰向けに近かったり。
その寝相がなんとなく笑いを誘う。 オクタビオ獲り放題。
わあやった なんて喜んでいたのはしばらくの間で、
カヌーツアーが長すぎる。もう真夜中をすぎているぞ。
同乗の女性は虫よけの布を頭からかぶり座ったまま、舟の上で舟を漕いでいる(居眠り)。
翌日わかったことだが、魚を市場で売るための本気の漁だったのだ。
この人はほんとにやり手というか、ツアーをやりながら、ちょこちょこ自分の稼ぎを生み出す。
夜のカヌー体験も、別の見方をすれば、おじさんの漁を一晩中手伝ったことになる。
ホクホクのオクタビオ
オクタビオの弟子
眠いのに何時間も大量の虫の中で小舟に乗らされていた私たち。
ピラニアは入れ喰いで、赤ピラニア黄ピラニア白ピラニアで凶暴さが違うらしい。
鶏肉で釣るのがピラニアっぽい。はじめはエサをつけていたが、途中からはピラニアがたくさん集まって興奮しているのか、エサなしでもいくらでも釣れた。この川とつながっている所でボートから飛び込んで水浴びとかしていたが、よくピラニアに噛まれなかったものだ。
私たちが食べさせられるのは小骨が多く食べずらいピラニアで、私が釣ったナマズはいつ料理してくれるの?と聞いたら、市場に売ると言った。ナマズは美味しいので高く売れるそうだ。そのナマズの所有権は釣った私ではなくツアーガイドのオクタビオにあるのか。どこまでガッチリしているのか、このおじさん。
夜光虫がいっぱい。日本の蛍のような風情が全くない。
光がギラギラと強いし、瞬かない。最初はUFOかと思ったくらいである。
そのたくましさに途中からただの迷惑な虫になってしまった。
昼の蝶にしたって、わさわさいるとなんか美しくない。
はかない美しさって日本独特なのかもしれない。
ここは自然も原色。
ジャングルではガーンと力づくで生を主張しないと、すぐに他の生命体に取り込まれてしまうのだ。
葉っぱの光の取り合い、微生物の勢力争い、喰うもの喰われるもの。
毒のあるもの、刺すもの、
噛みつくもの、分解するもの。
そのせめぎ合いの密度が濃くて速いので、逆に、自分という個体でがんばっていなくても、
何かに喰われて分解されて、またその辺の草になったりと、
あきらめてそのジャングル全体の生命に飲み込まれても別にいいかなと思えてくる。
数日前までいたアンデスの高地の、生き物の気配が少ない乾燥した、空にむき出しにされた大地に立っている時に感じた、生き物としての孤独感がここアマゾンにはない。押し寄せる命の賑やかさの中にいる。疲れるけど。
ガイドとしての能力も素晴らしかったので感謝しておこう。
カピバラ、猿 タランチュラ、軍隊蟻、ボア
同行した人の足に虫が卵を産みつけ、ウジ虫がでてきた。
オクタビオがナイフで切開してほじり出す。
穴をほっただけのトイレ
ブツはあっという間に消滅 ペーパーだけが残るので、トイレの底は白。
タランチュラが小屋の壁にいた。
軍隊蟻の行進。助走をつけてできるだけ遠くに、行列の上をジャンプする。ズボンの上に靴下をかぶせないといろんなものが入ってくる。一匹ジーパンの中に入っていて、帰りの飛行機の中でえらいことになった。
暑いのに洗濯物が乾かない湿度。
湿気と生き物(微生物まで)の気配の濃さが体にまとわりつく。
お風呂は、小さい川で。ボート上でシャンプーして、とびこんでゆすぐ。
バシャバシャやると怒られる。ピラニア?と聞くとここにはいないと言う。
ではなく電気ナマズ?うなぎ?がアブナイらしい。
翌日近くの別の川でピラニア入れ食いだったけど。
ピラニアに指を噛まれたばかりの人の家に、その指を見に行こうって、どんなツアーや。
けっこう血が出ているのに、おじさんは落ち着いている。サソリに刺されたら、すぐに刺したサソリをそのまま食べたら毒に勝てるなんて怪しい教えがあるが、要するに、パニックにならずに落ち着いて対処することの大切さを言っているのだろう。ジャングルの中では命に関わることがしょっちゅう起こるから、みんな度胸がすわっている。
キャーなんて叫んだ時点で負けてしまう
ボア 常温でぬめっとしているのに手に何もつかない面白い感触
帰りの飛行機
リマへの飛行機がなかなか無くて、それでジャングルに行ったが、帰りに空港に寄ると、もうすぐ軍用機がリマへ行くという。これを逃したらまた最短でも次の水曜日まで一週間足止めだ。しかし、ジャングルキャンプ帰りだし、シャワーも浴びないと。荷物は宿に置いてあるし。
しかたがないので、荷物を預けていた宿へダッシュでもどりそのまま空港へUターン。そして機上へ。
空港の待合室から飛行場のタラップまで、ふだん走ることのないペルー人たちがみんなダッシュするので、なんで座席決まっているのに慌てるのと聞くと、指定ではないと言う。飛行機が自由席。しかも常にオーバーブッキングがあるから、下手すると乗れない。
蟻が一匹ジーパンの中に入っていたらしく、飛行機の中で激痛が走り、座席でジーパンの上からつぶせるだけつぶして、隣の座席のおじさんに、いきなりジーパン脱ぐけどビックリしないで、蟻だから、蟻が噛んでいるの取り出すんだから、と断ってジーパんを下ろして蟻を取り出す。
やっぱりシャワーぐらい浴びたかった。
イキトスでは、「良い子は早くお家に帰りましょう」的な放送が流れていた。
あくまでも噂だが、 子どもをさらって臓器や目(角膜めあて)をとって、売るという えげつないことが横行していたらしい。目をとられた子どもが生きて見つけられたとか。本当かどうかはわからないが、でも放送は本当にあった。
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