ミツバチ てんやわんや

いきなり 友人が大袋2杯分のミツバチの一群を持って来た。
ニホンミツバチが分封したとのこと。
うちはこの3年、偵察隊のハチが巣箱に入ったりはしていたが、住み着いてはもらえず、巣箱は空き家状態。
蜜蝋も塗っていないし、キンリョウヘンも開花していない。
さて 入居してくれるか。

突然だったので、巣箱の場所、方角 決めていない。
南もしくは南東が開けていて、西日があたらず、目標となる大きめの木があって・・・となると 難しい。包囲磁石を持ってあちこち庭を走り回る。
穴を開けてあるとはいえビニールのゴミ袋の中でハチが圧死してはかわいそうだとバタバタ。

良さげな所は堆肥置き場になっていて、庭畑担当の家人にちょっとだけ移動してくれないかとお願いしたけど、ぶつくさぶつくさ・・・
めんどうになって、もういいわ、と、娘の家の庭に大移動することに。

すでに半分くらいは巣箱に入ってくれているので、移動のせいでハチのご機嫌を損ねるのが怖かったが、そのまま車に積んで移動。
軽バンにのせる。防護服も着ていない。もしも一斉にハチの群れが巣箱から出て来て、車の中がミツバチで充満したらどうなるのだろうか。漫画のような絵面が浮かぶ。窓を全開にしたらマシかも。でも、そうするとハチ全員が逃げ出していくことも予想される。それは残念なので、ハチまみれ覚悟で全窓を閉めて密室状態で出発。車内がミツバチだらけになれば見えなくなるし、道路交通法違反か?
こうなれば、想像することをストップして、とにかく出発するしかない。
ミツバチたちは車の振動にビビったのか、さっきまであんなに右往左往してたのがピタッと巣箱から出てこなくなった。
袋に残っている分は友人がバイクで運ぶ。

娘の家に着いて、また磁石を持って 庭を走り回り、ああでもないこうでもない。
出入り口をどっちに向ける? どの木がハチが帰ってくる目印になるか、夕方にはこの木が西陽を遮るだろうか? 寒い?暑い? 風が吹いたら・・

らちが開かないので詳しい人に来てもらう。その人に家の場所を説明できないので、私が迎えに行くことに。 焦っているから道を曲がるところを一本間違えてしまい、バイパス道路に乗るしかなくなり、なんと隣町まで行かないとバイパスから降りられなくなった。そしてUターンして逆方向へぶっ飛ばす(制限速度内)。その人はすでに車に乗ってスタンバイしていてくれたので、よけいに焦る。そこで方向転換する時に郵便受けに派手にぶつける。40年間無事故なのに。車もへこんだ。
今度は後続車を誘導しているのでぶっ飛ばせない。着くなり置き場所の指南を受ける。あれこれ間違っていた。で、残りのハチが入居してもらうのを見つめる。お隣さんも見にくる。おじいさんが一升瓶に蜂蜜入れていたそうだ。お隣さんは、すごく広いお庭に色々なお花やベリーをたくさん植えているから、お隣さんちのお花の蜂蜜になるね、なんて、とらぬ蜂蜜の名前まで考えていたら、さっきより入居スピードが落ちている。入ってくれるかなあ?と不安になっていたところ、急に一斉に入り始めた。まるで号令がかかったように。夕方になったから?寒くなったから?
こっち行ったら入れるぞ、とか、こっちこっちとか情報を伝達しているように見える。
動き方も揃っていて 何千?万?のはちがまるで一つの生き物のようだ。
人間は、箱を持ち上げる人、袋をくっつける人、刷毛でハチが潰れないように払う人、と意思伝達に言葉を使っているが拙い。何が言いたいの?わからないーってなる。

はちの胸部にあるモフモフと羽ばたきが 頬や手にあたると心地よい。生まれたての子猫に触れているようだ。他の昆虫よりミツバチにはとても親近感を持つのは、蜜をもらうから本能的にそうなるのかな。春のハチは刺さないらしく、可愛くて刺される気がしない。ので素手で、防護なし。ハチまみれだったが全く刺されなかった(たまたま?)そして幸せな時間だった。

一旦、元の家に戻ると移動に取り残されたハチが結構いる。もと巣箱があった周囲を飛び回っている。女王蜂の匂いが残っているのかもしれない。
なぜか家の中にもたくさん入っている。換気扇を通して入った?
家の中にいたら死んでしまうだろうから一匹ずつ丁寧に捕まえる。
一説によると2km以内であれば自力で合流できるらしい。でも必死で仲間を探している姿が気の毒で、疲れて死んでしまうのではないかと思ったので、一匹ずつ捕まえて、また娘の家まで車で運ぶ。巣箱の近くで瓶を開けるとしばらく私の周りを旋回して、その後仲間たちと合流した。でも、家に戻ると一匹まだうろうろしていたので、また捕まえて車で娘の家まで運ぶ。
ガソリンカツカツでこわい。

さて、ほぼ入居してくれた。あとは居着いてくれることを祈るしかない。
この辺りは、普段は静かな山の麓だけれど、分封の時期はざわつく。
ミツバチ情報が飛び交う。どこどこで分封した とか。
もしもこの巣箱がお気に召さなければ、突然お引っ越しということもあるので、ご近所さん、巣箱のスタンバイを。



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