『第二幕』望海風斗
『第二幕』望海風斗、日経BP
望海風斗さんこと、だいもんは下級生当時から歌唱力に定評があって、トップとして6作つとめた後も、外部の仕事が途切れることなく入っていて「さすがだな」と思っていました。宝塚退団後、これだけ舞台から需要があり、数もこなしてきた元ジェンも珍しいな、と。
一応、世間的には雪担とみなされているので、読まないと、ということで読了。
最後になって、あとがきで「自分は俳優です』と言えるようになった、ということに驚きました。ミュージカル女優でも、アーティスト、歌手でもなく俳優だ、と。
《「望海風斗は俳優です」 と言っていいのかな、と思えるようになりました。
この1年半の間に5本のミュージカルに出演させていただくなかで、自分自身お芝居に対するウエートがすごく大きくなったんですね。本当にいろいろな演出家の方と 出会い、『INTO THE WOODS』では熊林弘高さんにセリフ1音1音の大切さを、『ネクスト・トゥ・ノーマル』では上田一豪さんに「(演技を)やろうとしない」 ということを教えていただき。『ガイズ&ドールズ』のマイケル・アーデンさんはお芝居や舞台を作る過程において新しい考え方を提示してくださり、『ドリームガール ズ』の眞鍋卓嗣さんは向かい合う相手とのお芝居という根本の部分を意識するきっかけをくださり、『ムーラン・ルージュ!』はミュージカルっていろいろな形があって面白いと改めて感じさせてくれています》
『ムーラン・ルージュ!』のオーディションでは並みいる人気者、実力派を押さえて主演を勝ちとったこと、読売演劇大賞と菊田一夫演劇賞を受賞したのも自信になっているんでしょうかね。
演技に関しては、おそらく小池修一郎先生から、退団する直前に「付け足すことで芝居をするんじゃなくて、引いていく、削ぎ落としていくことで成り立つものがあるから、ちゃんと自分自身を演じなさい」と言われたことを紹介しているところが印象的(p.146)。
個人的には『ドリームガールズ』のモデルとなったシュープリームス時代のダイアナ・ロスに凄く似ているな、と思いましたんで、もう少しジュークボックス・ミュージカルみたいな作品で歌を聞かせてもらいたいな、とは思いますが。作曲家モーリー・ウェストンさんからのミュージカルの歌は「秘密をお客さんだけにバラす」という意味を持っているというのも改めてなるほどな、と(p.122)。
にしても、花組エリザベートのナウオンに出ていたみちこ、だいもん、れいちゃん、キキの全員がトップになったのは凄いな、と。良い公演だったわけです。しかも、ナウオンには呼ばれなかったけどゆきちゃんもヴェンディッシュ嬢で脇を固めてトップになったし。ぼくはこの花組エリザが東宝版も含めて一番好き。新公も!。
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