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戦争とファッションについて

Ib2オーナーの伊藤です。

2023/10/7中東イスラエルで、イスラエル首相が「我々は戦争状態にある。」という声明を発表しました。既に数百人以上の死者が出ており、今後の行方次第では、第三次世界大戦になるのではないかという見方も出ています。

ご存知の通り、ロシアのウクライナ侵略、中国の台湾侵略の可能性、実質的な戦争状態にある北朝鮮と韓国など、私たち日本人にとって、決して縁のない話ではなくなってきました。

今回は、人の命を奪うための戦闘服、人生に彩りを与えるファッション


について考察していきたいと思います。

Ib2(アイビーツー)について

私たちIb2は、ミリタリーを中心に販売を行うVintage shopです。私たちが仕入れる服は、全て海外から直接仕入れています。同時に、ミリタリーの服の買い付けを
行うだけでなく、戦争の博物館にも赴きます。それは、今日本で人気なミリタリーの服は当時、どのように使われていたのかを知るためでもあります。

今回は私が初めてホーチミンの戦争の博物館に行ったときの経験を基に、お話をしたいと思います。

戦闘服をファッションに落とし込む

私は一年ほど前までミリタリーのファッションなど興味もありませんでした。しかし、機能性、シンプルさなどに惹かれてどっぷりと、ミリタリーファションにハマってしまいました。

しかしながら、一つ疑問に思ったことがあります。それは、ミリタリー、すなわち戦闘服というのは「自分の命を守ると同時に、奪うものではないか」と、ふと思ったのです。

それすなわち、私にとって、「自分という人間は、人を殺すための服を着て、他者に得意げになってオシャレであることを誇示したい。そんな恐ろしい人間なんじゃないか?」そう思ったのです。

そこで数日くらいずっと頭の中がこのことでいっぱいでした。昔から変わってる人間だと言われていたけど、ここまでだったのか、と。

(閑話休題)

さて、話が外れました。以下の文章は、実物のミリタリーをファッションに落とし込む意義について、暫定的な私の考えを述べたいと思います。私の場合は、完全に戦争の博物館の衝撃とか動画とかで、頭がトラウマになっているので、少し思想が偏っているかもしれません。悪しからず。

そして、なぜ、高いお金を払って、わざわざ人の命を奪う服を選ぶのか。まずは、実物とレプリカの二つに着目して述べたいと思います。その後に、なぜ私が実物の服を選ぶのかについて戦争と絡めてお話したいです。

実物とレプリカ

今年は凄かった。ユニクロのM51とかベイカーを履いている人を貶す、実物コレクター。別にレプリカでいいじゃん。ファッションとして落とし込めているなら、それも一つの正解。だって、実物高いですもん。

そもそも偽物とか実物とかなんなんですかね。ファッションとして楽しみたいならどっちでもいいと思います。実物しか販売してない古着屋が言うのもおかしな話なのですが。

ただ、強いて実物の良さを語るならば、それは実物はコンテキストとしての服であり、私たちを強くさせるものだと思うんです。

実物=コンテキスト

例えば、Ib2で販売しているM65フィッシュテールパーカー、通称モッズコート。


M65 Full Set

こちらのミリタリーの服は、色々なブランドがレプリカを出すほどの大人気なコートの一つです。この服には、二つの面白さがあるんです。

一つ目に、こちらのコートは、1950sの朝鮮戦争で利用されたものの後継モデルということです。実際に、戦争で使われた昔のものが、今こうしてファッションとしてたくさんの人に着用されているってすごいですよね。この「戦争で実際に使われたもの」というコンテキスト、つまり文脈や背景があるというのが、実物の面白いところ。

二つ目に、今ではモッズコートという言葉は有名ですが、モッズという言葉は、この服の原型であるM51という服のおかげで誕生したということをご存知でしょうか。ちなみに、見た目はほぼ一緒です。

M51

この「モッズ」という言葉は、当時イギリスの労働者がルーツとなっています。モッズとは、「モダン」が由来です。彼らは、自分の綺麗で自慢のスーツを汚さないために、安価で頑丈なアメリカ軍のこのコートを着たのが始まりだそうです。

そんな背景のある服が、時代を超えて今、着用することができるってワクワクしませんか。自分は今、歴史の中の一部を生きているような気分になれるんです。

命を賭けた人の意志

なぜレプリカではなく、実物を着用するのか。

もう一つに、当時着用した兵士の意志が魂として組み込まれていると感じるからです。たまに、買い付けをしていると、血痕のような黒いものが付着している個体の服があります。つまり、本当に、戦地で使われたものということです。

また、ベトナムzippoの裏面に書かれている文章などは、当時の戦争の悲惨さがダイレクトに伝わります。それと同時に、自分の中で、とても悲しく恐ろしい感情に包まれます。

そして、「自分は今、当時の彼らの感情や歴史を引き継いだ」と感じるのです。同時に、自分も彼らのように今日を精一杯生きる覚悟をしなければならないと思うのです。

戦争を忘れないために

突然ですが、私はミリタリーファッションなんてこの世から無くなるべきだと思っています。「こんな人の命を奪う道具なんて、この世から消えてしまえば良いのに。」と、心の底から思うのです。

でも、現実はそういかない。自国を守るためには最低限の軍備力が必要。だから、ほぼ確実に私の願いは叶うことはないでしょう。

(ここの私の主張については、賛否別れるでしょう。無視して頂いて結構です。)

そんな中で私ができることはなんだろうか。そう思った果てに、自分がミリタリーの服を着ることこそが、戦争をしないことに繋がると思ったのです。一見矛盾していますが、私がミリタリーコーデをすることによって、誰かが私の服について話をする機会が生まれるからです。

つまり、私がミリタリーコーデをすることによって、戦争とは何かということを一人でも多くの人に伝えること出来る機会が与えられるということです。

なぜなら、私含めて、戦争を経験した世代が少ないからです。知らないから分からない。分からないから、恐怖を知らない。

だから、ミリタリーコーデをすることは、私が少しでも多くの情報を、皆に共有することに繋がるのです。

別に、戦争に突き進むような政府の方針に反対する人を増やしたいわけではない。ただし、戦争とは何も分からないという状態が一番の問題だということです。

旅の思い出

なぜそのようなことをしてまで、他者に戦争の恐怖を伝えたいのか。
もし、ベトナムに行く機会があれば、こちらを是非訪問してみてください。
私が説明しなくても、勝手に脳が判断してくれるのでしょう。

私がそこで見た光景は生涯を通じて一生忘れることはないです。一生分のトラウマを見てきました。


たとえこの場所に行かなくとも、下記の映像だけで戦争の気分の悪さは十分、分かると思います。しかし、心臓の悪い方は絶対に視聴しないでください。トラウマになるので。

https://youtu.be/TRgKNeXpTW4?si=TaUnxU14RbenMKjs


自分がもし、戦争の当事者になったら?
被害者になったら?

考えたくもない想像。

また、補足すると、ベトナム戦争では、アメリカによって、「Agent orenge」日本語訳すると、「枯葉剤」が、大量にベトナムに降り注ぎました。

この枯葉剤の影響を受けた妊婦は、母体の中にいる赤ちゃんの成育を阻害し、奇形児にさせました。Googleで調べれば出てくるでしょう。

そして、もしベトナムに行く機会があったら周りを観察してみてください。彼らは今をなお、必死に生きています。

なんの罪もないのに。

最後に

ミリタリーをオシャレにカッコよく着こなす事。
それこそが真のミリタリーコーデ!

長すぎでした!しかも、暗い話ばかりしやがって。

さて、二度と戦争を繰り返さないために私たちができることはなんでしょうか。
ただ一つです。

戦争の恐ろしさを知り、忘れないこと。

そのために、服好きがしなければいけないことは決まってますよね?

そう、カッコよくミリタリーをファッションに落とし込むこと。

あなたがカッコよくミリタリーコーデすることによって、誰かを魅了し、そこで会話が生まれたとする。その日常のさりげない会話こそが、私たち人類にとって、一番重要なこととなるでしょう。

今回は、なぜ私たちIb2が古着屋をするのか。古着を販売することによる意義は何なのかを少しでも多くの人に広めることが出来ていたら幸いです。



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