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シャニマスシナリオイベ「絆光記」感想 ~文字で、言葉で、語る人間のための物語~

私たちは、光について語らなければならない

アイドルマスターシャイニーカラーズ

 内容に一切触れずに表現すれば、『滅茶苦茶にシャニマスをやって』います、シャニマス好きはぜひ!ぜひとも!読んでほしい。
 もしくは、はこぶものたち+かいぶつのうた+YMLLだったかもしれない、みんな~~~~読め~~~~。
 あとは、「シャニアニについて何かを語った人間は読むべき」イベコミュかも。
 パッションで15時から読んでそのまま五時間で打って出ししています。

※以降はネタバレをバチバチに含みますご注意ください。


●本当におおまかなあらすじ

・オープニング~第5話まで

 映画の宣伝大使に選ばれたイルミネ、仕事を前にしてそれぞれに人とのコミュニケーションについての出来事が発生する。
 強引な宗教勧誘を受ける真乃、親切を受けることが苦手なのだと語る人と出会った灯織、イルミネを目指してアイドルをしていたが引退を選んだというアイドル。そして、イルミネのようなアイドルは正しいことを強要してくるようで苦手だと語る人に出会うプロデューサー。それぞれがなんて言えば良かったのだろうか、どう伝えればいいのだろう……、そんな悩みを抱いていた。
 映画の宣伝のプロモーション活動として、シャニPは地域ワークショップと記者への記事依頼を出す。
 イルミネの三人と地域人との交流やインタビューの言葉によって、記者は自分自身の「文章で勝負する」「アイドルなんて」といった自分の中の意識と対面することになる。

・第6話~エンディング

 映画の評判は賛否両論のうち否よりが多い、宣伝大使を務めたイルミネにも「嫌々やらされている」「アンチ」「非難をする権利はある」などの声が届き、炎上に巻き込まれた形となってしまう。
 記者は自分自身の甘さに直面し、衝動的に走り出した影響で足を痛めていた。
 イルミネとシャニPは現在の状況を整理するために対話をする、言葉で伝える、誰かに伝えるという行為のために、どう考えるべきなのか、どうするべきなのか。
 彼女ら、彼らはそれぞれに、言葉について考える。

●映画の話

 おそらく作中に出てきた映画はヘレン・ケラーを題材にしたもの。幼いころの病気の影響で目・耳に障害を負った彼女の伝記は有名なのでピンときた方も多いのではないでしょうか。
 さらには「名作映画のリバイバル」「前作が白黒」「暴力的なシーンがある」などを考慮しても、おそらくは『奇跡の人』(1962)と、『奇跡の人 ヘレン・ケラー物語』(2000)でほぼ決まりでしょう。
 見えない/聞こえないというヘレン・ケラーはある意味で「光が届かない人」であり、内容的にも幼少期のヘレン・ケラーの伝記である以上”言葉を得る”という意味でテーマに肉薄しています。
 さらに言えば、この奇跡の人というのはヘレン・ケラー本人ではなく、”「The Miracle Worker」は「(何かに対して働きかけて)奇跡を起こす人」といった意味でサリヴァン女史を指す”(wiki調べ)らしく、ウワーーーッ!!になっています(追記)

●報酬絵の話

絆光記、王と蚤

・タイトルの「王と蚤」

 ストレートに考えるとゲーテのファウストからくる『蚤の歌』……なんですが、これがあまりピンとこない。風刺詩でして、「王が愛する蚤が権力を握っていくが、王の周りの人間はそれをどうにもできない」という歌になっています。
 うーん、わからん。有識者待ち

・シチュエーションの話

 言葉を探す、というテーマに対してそれぞれが山のように積まれた本≒多くの言葉の中から自分自身の言葉≒光を探すというの、とてもいいですよね。
 今回のキーを握ることになった記者とシャニPを繋いだものも本でした。
 あとこれは違うかもしれませんが、それぞれのカラーに輝く本≒言葉を手にしようとしている彼女たちですが、めぐるの色に輝いている本が二冊あるのは、あの時アイドルに向けて言えなかったけれど言いたかった言葉、ともとらえられるかもしれません。

・絵画の話

 背景にちらりと見えている絵画、流石に元ネタを見つけ出すには情報が足りないのですが、タッチ的には確実に印象派であることがわかります。
 そこに技ありが一つありまして、ものすごく端的に印象派を表現すると「光をとらえる絵画」とも表現できる流派になってます。なかなかニクイ演出ですねぇ!うれしくなっちゃうな。(絵画が好き)

・サポートに出てくるオタク俺すぎてワロタ

 笑いました。記者さんとめぐるのやり取りが本当にいい。必見です。

●イルミネの話

 それぞれが真摯に言葉や伝えることに向き合ったイルミネ、はこぶものたちで得た「心を寄せる」という視点とは別の「すぐには伝わらずとも、あきらめずに探し、表現し続ける」というものを手にしました。
 手にした、と書きましたが実はちょっと違って、彼女たちはもうすでにそれを得ているんですよね。めぐると生徒さんのコミュニケーションにそれが顕著、言葉を交わすことじゃなく、走ること、汗をかいて、共に笑うこと、それで伝わることもある。

 序盤ではありますが、それぞれが言葉を選ぶ/相手に伝えるということに惑った際に、シャニPが動き出したシーンで啼くフクロウの声。彼女らを確かに見守り導こうとする彼の存在感あるシーンです。
 イルミネにおけるシャニPって本当に頼りになる人間なんですが、今回本当に記者の選抜といい怖いレベルの完璧さです。

 ただ、それによって彼女らにふりかかる現実全ての防波堤になっているわけではないのが、シャニマスらしい(現実の厳しさを描き、その厳しさを肯定しつつも、理想と善をあきらめない)なと思います。
 こういうところが大好きだ。

●アノあれ○○○○○○の話

※ここは本当に読んだ人しか読んでほしくないので万が一まだ読んでいない人がいたら今すぐ読みに行け~~~~。
 

遠慮なく書きますよ?いいですね???



 ”叙述トリック”の話です、普通に騙されてぞくっとしました。若手記者という目線で見ていたので20代後半くらいかなと思っていたら、まさかの40代後半。
 シンプルな叙述トリックの楽しみ方ですが、分かってから読み返すと「まだそんなこと」「鏡を見ろ」「(若手という発言に)え?」などの描写があって、うわ~~(伏線しこんでる~)になる。

・記者の話

 ある意味で今回の話の主人公とも言えたかもしれない、エンタメなんてと斜に構え、自分がやるべきことは他にあると考えて、ある意味でイルミネの光に全力で殴られてくれた彼。
 自分自身の底の浅さを照らし出され、言葉ではなく衝動的に駆け出して、そして結局言葉で戦うしかないと、文字を紡ぐ彼。A4サイズの無限の誘惑。彼の紡ぐ大人気のない反抗期こそが、イルミネがつないだ絆と光の記録。
 ……これは感想なので本当に個人的なことですが、普段からこうやって文字と言葉で何かを表現しようとしている人間には、ものすごく刺さる。私は本当に彼のことが大好きです。

●光の届かない人にどう届けるのか

 冒頭の停電のシーン、ある意味であれは知るためには光で照らさねばならない、という意味でもあり、光を拒否する相手も、照らさないのではなく、自分を無理に変えようとするのではなく、照らし方(言葉・伝え方)を考えて、うまく受け取ってもらえなくても、それでも探し続けないといけない、とこのイベントでは結論付けました。
 ある意味でバイ・スパイラルやふたり色クレオールで繰り返し登場して描かれてきた「彼ら」に、ありとあらゆる方向から違うアプローチで照らしてやれということになったわけですね。

 ルカ!!!!!!!!!!!!!!!!照らされる準備はできたか!!!?!?!???!?!?!!??

●本当に個人的な話

(言葉を理解するためには…………言葉を咀嚼して飲み込む―――生きる時間が、必要だから)

 ……とまぁ、上記はすべて私なのですが。
 普段から言葉と表現と相手に伝えることとかについてうだうだうだうだこういうことをしゃべり続けている人間だから、本当にもう!!本当に!!!ドドドド刺さりしちゃった!!!!!!!!!!!!爆泣きの翁。
noteを書いたり読んだりするような、言葉で表現していくということに普段から思うことがある人には大変に刺さります。
君も読もう。

 シャニマスを信じてよかった!!!!と通話で絶叫して通話相手にうっすら笑われるくらいは楽しみました、みんなもシャニマスを信じませんか?(宗教勧誘)


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