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「JWLI×ネクター」プログラム

今年の夏に参加した大阪市男女いきいき財団共催、JWLI共催のブートキャンプから多くの素晴らしい学びを得て、なるべくすべてを自分のコミュニティに還元したいという強い想いから早速私が取り掛かった「自分を物語る」というエンパワメント研修。

この研修の参加者はJWLIに支援して頂いて、2022年2月からネクターで立ち上げた「卒業生のための日本語能力強化&進学プログラム」で選ばれた5名の素晴らしい女性たちです。こちらのプログラムはフィッシュファミリー財団、JWLIの全面サポートにより選ばれた参加者には無償で提供しています。

それはもう、大成功でした。

自分に自信と誇りを取り戻した、輝く4名とストリーテリングの講師でコピーライターのダイアネさんと。
始まりは心をブーストすることから

まず、何より大切なメッセージを冒頭で届けました。それは、

「Parabéns‼︎(おめでとう!)」

JWLIのブートキャンプでも私は同じように、「congratulations!!」という研修の始まりに衝撃を受けて、すぐに「これをやろう」とメモしました。)

何故なら、このプログラムを受けられる時点で彼女たちはうんと頑張ってきたからです。

社会構造的に何度も希望や夢をへし折られ、尊厳をもった暮らしを手放してきている彼女たちが、それでもチャレンジしたこと自体が祝福に値します。

そして、この5名はすでに1回目のJWLIスカラーシップに申し込み、めでたく1名は合格していますが、うち4名は落ちていました。

「また、ダメだった…」
希望とパワーを失っていく彼女たち。

そんな状態の彼女たちに思い出してほしかったのは、日中は工場などで働きながらここまで週2回の日本語クラスを6ヶ月間こなし、着実に前進してきた彼女たちの素晴らしさ。

愛知県のブラジル学校高校卒業生116人のうち、日本で大学に進学できたのは、たったの3名。

そんな逆境でしかない進学やキャリア形成の土壌で、彼女たちは工場で働き、子育てをして、そして寝ずに日本語を勉強し、前例がないような自分だけのキャリアプランを立ててきた。

それって、かなりすごい。彼女たちにはその素晴らしさをちゃんと自覚してほしかったからです。



つぎは、6ヶ月間参加してきたこのプログラムを振り返り、頑張ったことやもっと頑張りたいことをみんなでシェア。

自身のプロセスを振り返る参加者
忙しい日々の中ではできなかった内省に集中

お互いの苦しさや頑張り、達成感を共有してインスパイアし合えていました。

次は、ライフヒストリーを振り返る活動を取り入れました。これも私がJWLIブートキャンプで体感したパワフルな活動。自分の今までのチャレンジを乗り越えた能力や自分のパワーの源を引き出してくれる活動です。

ライフヒストリーを発表する参加者

ここですごく重要だと思ったのが、他の参加者からフィードバックです。

様々な視点から自分では考えたこともなかった、気づきもしなかった自分のパワーや強みに気づけるのです。これをなるべく多く持ち帰ってもらって、挫けそうになった時にこのフィードバックを読んで、パワーチャージしてもらえます。

これも、もちろんJWLIのブートキャンプで私が体験し、感動した取り組みでした。

そして、自分を「物語る」

ストーリーテリングの手法を使って、それぞれを自己分析し、JWLIスカラーシップの申請時に出すエッセイで活かせるような自分の素材を洗い出してもらいました。

でも、この研修の「物語る」上で1番のターゲットは彼女たち自身だった。自分に自分を物語ってほしかったのです。そして、自分の可能性やポテンシャルを信じる力を強くするために今回はストーリーテリングを導入しました。

ストーリーテリングの導入では、コピーライターとして日本で活躍されるダイアネ・ヨウコさんを講師として迎えて、ワークシートとオンデマンド講座をこの研修のためにつくって頂きました。

なので今回の研修会のタイトルは「se encante com a sua história(自分の物語りに魅了される)」

この活動には、彼女たちに自信を取り戻してもらい、自分自身を励ましながら、もう一回JWLIスカラーシップに挑戦して自分たちの成長を、夢を勝ちとってほしいという狙いがあります。

今回はオンデマンド授業をみんなで見ながら取り組む
自分のノートにもびっしり書き出す参加者

ストーリーテリングの活動では、真剣そのもの。
いつも自分について話すのが苦手と言っていた彼女たちはA4サイズのワークシートを何枚もびっしりと自分を物語っていた。

自分の物語りにワクワクし始めたところで、アクションプランを下記のワークシートにに落とし込む宿題を出して、この日は終わりました。
今回のエンパワメント研修のポイントは、参加者の母語ですべて実施し、心理的安全性を確保したところだったと思います。
活動もすべてポルトガル語で実施し、ワークシートも下記のようにすべてアウトプットしやすいポルトガル語で実施しました。

宿題のアクションプラン

2時間半を予定していた研修は3時間半と伸びに伸びて、彼女たちも大満足の様子で終了。

自分を語り、涙して、ハグして、笑って。

彼女たちからもらったフィードバックは、

「自分を見る目が変わった!」

「自分には何もないと思っていたけど、沢山強みが出てきて、自信につながった」

「同じ境遇で頑張っている同志の話にインスパイアされた。もっとこういう活動をしてほしい!」

涙腺がゆるゆるの私は思い出すたびに目頭が熱くなります笑笑

さらに、

本プログラムの日本語クラス、進学・キャリアコンサルの支援を受けて、今年の7月にJLPTを受けてN2に合格できた参加者は、工場で働きながら、進学・キャリアコンサルですすめられたTOIECも受験し、今では市役所で英・日・ポル語の通訳として働くようになったと。本プログラムに参加し始めた頃から「自分の母親としての経験を生かして、他の外国人ママを助けたい」という夢を叶えることができたと彼女は涙ながら語ってくれた。

こうして「工場しかない」移民女性たちにとって、新しい生き方がまた一つ開かれた。

こうした成果はネクターの宝です。

小さな学校であるネクターでは、教室や活動で支援できる「数」は大きくないですが、

私たちがしているライフチェンジングな活動はビッグイノベーションです。

最後に、先日光栄なことにお会いできたフィッシュファミリー財団創設者のラリー・フィッシュさんから頂いたフレーズで締めくくりたいと思います。

「社会や国の在り方を変えるのは難しいかもしれない。でも目の前の一人一人の人生を変えることができる。私はそれがとても幸福です。」

同じビジョンやバリューを持っているJWLI、そしてフィッシュファミリー財団とこの素晴らしいプログラムをローンチできた私たちも幸福です。


私、JWLIスカラーシップ事務局をされているVivarsityの晴香さん、フィッシュファミリー財団創設者の厚子さんと

翌日、幸運なことにフィッシュファミリー財団創設者のラリーさん、厚子さんと今年のスカラーたちに会える機会があったので、直接、今回の研修の開催や参加者たちの様子を伝えることができ、胸がいっぱいになりました。

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