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【世界初のオンライン学習はどのようなものだったのか】

2020年、世界的な学校閉鎖により、オンライン学習を本格的に考える風潮が出てきました。これは新しい事のように見えますが、コンピューターに向かって学習すること自体が始まってからはかなり歴史があります。世界初のコンピューター学習システムは、1959年にアメリカのイリノイ大学で誕生した「プラトン」と言われています。

It was at the University of Illinois that the world’s first e-learning system was invented, PLATO, in 1959.
https://newlearningonline.com/kalantzis-and-cope/learning-design-and-leadership-program

「プラトン」はギリシャの哲学者です。なぜコンピューター学習システムにプラトンという名前をつけたのかという記述は見当たりませんが、おそらくプラトンがアカデミー(大学・研究所の総称)の語源を作った人だからだと思います。 

紀元前387年、プラトンはギリシアのアテネのアカデメイアという場所に学園を作り、学園の名前がそのまま場所の名前、アカデメイアとなりました。世界初のコンピューター学習システムは、アカデミック界のフロンティアとして、プラトンの意思を受け継ぐと思ったのかもしれません。

1959年に誕生した「プラトン」は、その当時どのようなことができたのでしょうか。それは、フォーラム、掲示板、テスト、email、チャットルーム、図解、リアルタイムメッセンジャー、遠隔画面共有、マルチプレイヤービデオゲームができたそうです。

forums, message boards, online testing, e-mail, chat rooms, picture languages, instant messaging, remote screen sharing, and multiplayer video games.
https://en.wikipedia.org/wiki/PLATO_(computer_system)

プラトンを使った学習は、イリノイ大学他、様々な大学で利用され、語学、化学、教育、音楽、数学などの科目があったそうです。


ところで、なぜプラトンは誕生したのでしょうか。その理由は昨今の教育問題にも通ずるものがあります。教員不足です。第二次世界大戦後、アメリカではたくさんの人が大学に行くようになりましたが、それだけの学生を教える先生が十分でないことが問題になりました。そこで誕生したのがコンピューター学習システムのプラトンです。

プラトン誕生からだいぶ月日が流れました。その頃と比べて格段に通信速度は早くなり、学習者が興味関心を持って学習が続けられるような工夫もされています。オンラインで大学教育を世界に届けるサービスのコーセラ(coursera)やedXなどの授業内容も、どんどん進歩しています。

初期のオンライン授業は、先生がスライドを読み上げているようなものが多くありました。教室でやっていたことをそのままオンラインに持ってきたようなものです。しかし、今は単純に録画視聴というところを超えて、オンラインならではの良さを生かしたものを作ろうと日々各大学が研究されているようです。授業内容によっては映像が映画のようになるなど学習者の興味をそそる演出がされています。

テクノロジーの発展に伴い、学びはどう変わっていくのか?学校に行かなくても、先生が目の前にいなくても、どうしたら人は学べるのか?今は様々なオンライン学習コンテンツがあり、学校に一度も行かなくても学位が取れるプログラムが増えています。

通信教育自体は以前よりありましたが、通学して取得する学位と比べて質が劣るようなイメージを持っていたかもしれません。しかし、今は世界的に評価の高い大学でも、通わずに学位を取得できるようになり、学ぶ意欲と学びを活かす場があれば、学校に実際に通ったかどうかは関係がなくなると私は考えています。

世界初のコンピューター学習システムが生まれた頃は、テクノロジーで人の学び方がどう変わるかというところに注目されていましたが、それに加えて今後は学位がどうコントロールされていくのかの動きにも注目していきたいところです。その話については、また改めてお話ししたいと思います。

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