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SQUARE ENIX MUSIC「ミッドガルハイウェイ」:REMAKEが導いた音楽的解体と再構築、音がループして生み出す甘美な中毒性

『FINAL FANTASY VII REMAKE』の音楽は、原曲へのリスペクトを大事にしながら、壮大なオーケストレーションや骨太のギター・サウンドで曲に新しい生命を吹き込みました。アップデートされた数々の音楽をまとめた『FINAL FANTASY VII REMAKE Original Soundtrack』を聴くなかで、最も大きな衝撃を受けた曲が「ミッドガルハイウェイ」です。10分を超える長尺のインストゥルメンタルであり、さらに1分ほど長くなったバージョンが『FINAL FANTASY VII REMAKE Original Soundtrack Plus』で聴けます。

「ミッドガルハイウェイ」は『FINAL FANTASY VII』で使われた「クレイジーモーターサイクル」を下敷きにしています。無機質なエレクトロニカだった「クレイジーモーターサイクル」がドラムンベースとロックで再解釈されました。他の曲のメロディを随所に組み込んでいることもあり、曲の構成やアレンジは原曲から大きく離れています。けれども、音がループして運ぶ甘美な中毒性は、間違いなく「ミッドガルハイウェイ」に受け継がれています。

プログレッシブ・メタルなのかシンフォニック・ロックなのか、あるいはロック寄りのエレクトロというべきか。ドラムンベースのビートに乗せて、ギターとストリングスの音が火花を散らし、ときとして入れ替わるようにして同じメロディを奏で、混淆します。ストーリーの序盤に使われる「爆破ミッション」や戦闘シーンで流れる「闘う者達」のメロディが加わる点も見逃せません。ダイナミックに変化する展開でありながら、スピードを落とさない演奏が聴き手を襲い、音楽的快感に導きます。


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