見出し画像

SQUARE ENIX MUSIC『FINAL FANTASY VII REMAKE Original Soundtrack』:アップデートされた物語を彩るのは新しい音と新しく生まれたメロディ

ゲームに関して、今や僕はリメイクされたRPGをiPhoneでやるていどのライト層ですが、サウンドトラックはApple Musicでよく聴きます。主に聴くのはFINAL FANTASYシリーズの曲です。よくプレイしたIIIをはじめ、プレイ動画を観て興味を持ったIXなどの曲でプレイリストを作りました。並べて聴くと、ハードの高性能化にともなうサウンドの進歩がよく分かります。

なかでも興味深い作品がVIIです。とりわけ2020年に発売された『FINAL FANTASY VII REMAKE』の音楽に感銘を受けました。他のナンバリング作品のようなリメイクとは異なり、ゲーム自体が別物といえるくらいにアップデートされているため、音楽も装いを新たにしています。「エアバスター」「クラッシュボックス」のようにオリジナルの曲を発展させたりモチーフにしたりした曲、新しいシーンに合わせて制作された「陥没道路」「STAND UP」などの曲が収められた『FINAL FANTASY VII REMAKE Original Soundtrack』は聴きごたえ抜群です。

存在感の大きいギター・サウンドやオーケストレーションに負けず劣らず、良質なエレクトロニック・ミュージックの側面を持つのがFFVII REMAKEの特徴です。クールな「いざ腕力勝負」やスピード感に満ちた「ハイタッチ」といったEDMに心が熱くなるし、一方で「真夜中のまちぶせ」の穏やかなエレクトロニック・サウンドに心が洗われます。そして、ポップなEDMの「RUN RUN RUN」では、シンセサイザーが奏でるメロディの美しさに感動しました。アプローチを変えた別バージョンが『FINAL FANTASY VII REMAKE Original Soundtrack Plus』に収録されていて、メロディとそれを彩るシンセサイザー・サウンドの魅力を存分に味わえます。

最も大きな衝撃を受けた曲が「ミッドガル・ハイウェイ」です。10分を超える長尺のインストゥルメンタルは、プログレッシブ・メタルなのかシンフォニック・ロックなのか、あるいはロック寄りのエレクトロというべきでしょうか。ドラムンベースのビートに乗せて、ギターとストリングスの煽情的な音が火花を散らし、しかし時として入れ替わるようにして同じメロディを奏で、混ざり合います。ストーリーの序盤に使われる「爆破ミッション」やバトル・シーンで流れる「闘う者達」のメロディも加わって、ダイナミックに変化しながらも、ほとんどスピードを落とさない展開が聴き手を飽きさせません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?