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LINKIN PARK「Waiting For The End」:クリアで開放的な歌声が響き、重くて軽やかなリズムに包まれる

LINKIN PARK「Waiting For The End」は四作目のスタジオ・アルバム『A Thousand Suns』に収録されている曲です。シングル・カットもされました。Mike ShinodaのラップとChester Benningtonのボーカルが並立するLINKIN PARKの直球スタイルが聴けます。なかでも強く印象に残ったのがChesterの歌声です。以前の曲とは少々異なる印象を運んできました。

二作目でいえば「Numb」、三作目では「Leave Out All The Rest」でしょうか。よりクリアで、綺麗に響くボーカルを前面に押し出す曲がアルバムの一角を占めるようになりました。その流れに「Waiting For The End」も位置づけられるかもしれません。Chesterの歌に、従来には見られなかった明るくてキャッチーな雰囲気、気持ちよく晴れた晴天のような爽やかさを感じます。メロディの影響も否定できませんが、声そのものが開放的で、聴いていると自分のなかに浮遊感が満ちます。

また、注目するのがリズムです。『A Thousand Suns』ではリズムに特徴のある曲が散見され、この傾向に「Waiting For The End」も含まれます。パーカッシブな音を含ませたリズムが心地よい曲です。高密度で重厚なスネアやキックのループに、カウベルを思わせる乾いた音が加わって、重いのに軽やかなリズムが生まれました。その魅力は『Papercuts: Instrumentals』に収録されたインストゥルメンタルを聴くとダイレクトに味わえます。重くて軽いという二律背反を含んだリズムは、ダンサブルなロック・ソングとして僕らを音の渦に誘います。


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