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Ryu Miho『...and you will find me』:繊細な歌声に感じる優しさ、芯の通った強さ

ジャズとポップスがブレンドされた音に繊細な美声が絡む。Ryu Mihoのアルバム『...and you will find me』を聴くと、その場に満ちるのは穏やかな空気です。時間の流れが緩やかに感じられ、自然と声に音に身を任せたくなります。

ボーカルの雰囲気から思い浮かぶのは「癒し」や「ささやき」といった、柔らかいイメージのキーワードです。けれども、魅力はそれだけに留まりません。細くてしなやかな歌声は優しさを漂わせ、同時に芯が通った強さも見せます。例えば、アコースティック・ギターの鋭いカッティングが印象に残る「My Favorite Things」では、音と並び立つ存在感を持った歌が聴けます。

春を告げるような心地よい音が響く曲は「Let Us Go To The Wood」です。ギターとパーカッションが軽快に響く足音だとすれば、フルートとバイオリンは軽やかに吹き抜ける風。心地よい音のアンサンブルのなか、音の隙間をすりぬけるように届く歌は、聴く人の心に温かみを与えます。

本作の表題は「Time After Time」のChorusの歌詞から取られています。言わずと知れたCyndi Lauperの曲です。Ryu Mihoのカバーでは、アコースティック・ギターを爪弾く音がボーカルを引き立て、アコースティック・ベースは控えめに鳴りつつも曲を包み込みます。歌、リズム、ギター、あらゆるパフォーマンスが一体となったアレンジです。重なる音は、オリジナルが持つメロディの良さを伝えています。


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