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Chihiro Yamanaka「Salve Salgueiro」:メロディは流線型を描き、心に快感を、身体に熱を与える

身体が動く、動く。座って聴くだけでは足りない。立って、踊って、全身で味わいたい。山中千尋が演奏する「Salve Salgueiro」は、2004年に澤野工房レーベルからリリースしたアルバム『Madrigal』に収録されています。ブラジル出身のピアニストであるAntonio Adolfoが書いた曲です。

ブラジルの音楽らしいというべきか、ダンサブルな演奏が魅力的な曲であり、知らず知らずのうちに身体が動きます。ジャズはダンス・ミュージックの側面も持ち合わせており、そうした要素が色濃く反映されたアレンジです。僕の聴くジャズはダンサブルなものが多く、自ずと「Salve Salgueiro」も好きな曲のリストに入りました。

美しい流線型を描くメロディ。ピアノの音とともにメロディが心に忍び込み、身体を侵食します。じっくり聴いてメロディの魅力を味わうこともできるし、湧き上がる感動を身体を揺らして表現することもできる。奇跡的な音符の組み合わせを、リズミカルなピアノのタッチとともに体験できることを嬉しく思います。

Antonio Adolfoが演奏する音源を見つけるのは難しいのですが、いつか原曲を聴いてみたいものです。オリジナルの表現や魅力を知ることで、山中さんのパフォーマンスの独自性が際立つに違いありません。点と点を結び、離れた時間をつなぐとき、音楽の魅力は何倍にも膨れ上がります。継承を是とするジャズだからこその楽しみ方です。


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