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私がゴールデン街で働いてわかった3つのこと。


新宿駅東口から徒歩8分。

歌舞伎町のさらに奥にある大人の飲み屋街、ゴールデン街。

私は偶然にもそこでバーテンダーとして1年弱働いた。

今日は、その間に私が学んだ多くのことをnoteに書き連ねていきたいと思う。

働きはじめたきっかけは、「入店」。

就職活動の真っ只中の大学3年の4月、北海道の高校時代の親友が東京に遊びに来たときのこと。

夜10時の新宿でどこか一杯だけ飲みたい、と言われ、以前二度ほど行ったことあるゴールデン街を提案して連れていった。

200店舗以上の店が連なっているため、どこに入るかなかなか決まらないでいると、白いドアの中から、「こっちはどう、お嬢ちゃんたち」と中年男性2人から手招きが。

『うわ、ナンパか、ダルいなぁ・・・』と私が嫌悪感を示していると、なんと親友がひょこひょこお店に入っていってしまった。

まあ、親友が喜ぶのが一番だな、と、思い直して入ったお店が、私が1年働いたUPOUTだった。

手招きしてくれた2人の中年男性は、下心がまったくにじんでないといったら嘘になるかもしれないが、自意識過剰な自分が恥ずかしくなるくらい、思ってたよりずっといい人たちだった。

彼らは1年間のあいだ、時折顔を出し、常連さんになってくれた。

想像以上に楽しく、朝5時まで飲んでいると、ハリウッドザコシショウ顔負けの強面なオーナーがやってきた。

「ねえ、この子面白いからここで働かせなよ!いま人募集してるでしょ?」

常連さんのノリ100%な投げかけに、ハリウッドザコシショウは「え~、本当に働きますか?まあいいですけど。」と気の乗らない、でも決してNOではない答えを出した。

その後連絡先を交換し、来月の入れる日程を送り、私は正式にゴールデン街の一員となった。

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と、ここまではかっこつけて小説風でお送りいたしましたが、ここからは読みやすい文章で書いていきたいと思います(笑)

こうして、私は大学3年の5月から、先日の3月27日まで、およそ1年弱働いていました。

その間に学んだのは以下の3つです。


・遠慮するよりも、出してよかったと思われる人間になれ

・生まれ持ったものよりも努力を誉めろ

・相手を自分のものさしで測るな


遠慮するよりも、出してよかったと思われる人間になれ


今となってはみなさん意外かもしれませんが(笑)、私はもともと自己肯定感が低かったので、ご馳走されるとか、人に何かしてもらうとかがとても苦手でした。

「申し訳ないから」

そういってなんでも断ってばかりだったと思います。

しかしながら、ゴールデン街で働きはじめて、その『遠慮』は実は無駄なものであることを知りました。

ゴールデン街では、「一杯どうぞ」と、カウンターに座ったお客様からバーテンダーがお酒をいただく風習があります。

また、キャパシティが狭く、客数で稼いでいるわけではないお店は、そうやって売り上げをあげているという側面があります。

私が最初にぶつかったのは、

「私なんかにお金を使ってもらうなんて申し訳ない」

vs

「売り上げを上げないと雇い主に申し訳ない」

という自分の中での葛藤の壁でした。

結局私が優先することにしたのは、後者の義理でした。

商売である以上、使う使わないの自由はお客様側にゆだねられていますが、私たちの売り上げによってオーナーの生活を左右するという蓋然性は自分側にゆだねられていると感じたからです。

また、働いているうちに、相手が好意で差し出してくれているやさしさを無碍に扱うべきではないのかもしれないと思いはじめました。

あるとき、大半のお客様が「一杯どうぞ」と言ってくださるときは、話すタイミングやきっかけが欲しいときだということに気づきました。

そうであれれば、「いただきます」と乾杯をして、積極的に自分から話を振り、滞在時間めいっぱい楽しんでいただくことが自分なりにお返しできることなのではないかと思いました。

そこからずっと、使ってくださるとお客様が判断したのであれば、それを「申し訳ない」の一言で一蹴してしまうのではなく、その分だけ「使ってよかった」と思ってもらえる空間や時間を作り出すことがプロとしてそこに立つことの意味だと思って働くようになりました。

最初からご馳走してくださっていたわけではなくても、話が盛り上がるにつれ、「よかったら一杯そうぞ」と言ってくださる方もいれば、

「最初は1時間くらいで出ようと思ったけど、楽しくて結局こんな時間になっちゃった」と4時間以上滞在して頼み続けてくださった方もいました。

自分の楽しんでもらいたいという気持ちが功を奏した経験を幾度となくさせていただくことができました。

ここでそこにこだわった背景に関連して、そもそも私がゴールデン街で働き始めた理由をお話させていただきたいと思います。

私が元々ゴールデン街で働こうと思った理由が2つ。

1つは、「自分のプライドをへし折りたい」から。

私のプライドの高さは、およそエベレストマウンテンと同じ高さだと自負しています。

バカにされたり、無駄にマウンティングされると、脳内で相手をミキサーにかけてしまうくらいプライドが高かったです。

あと、とにかく媚びを売るのが苦手!!!!!

自分の思ってもいないこと言うのは、とてもじゃないけど、できない、、、。

だから、自己顕示欲が強くて、「褒めてオーラ」を出す人種が苦手でした。

正直、相手が言ってもらいたいことは嫌というほどわかるのですが、

絶っっっ対言いたくない(笑)

自分の自己顕示欲を満たすために他人の優しさ利用してんじゃねぇ!!!!

と思ってしまうタイプの人間でした。

ですが、『そろそろ社交辞令とか身につけたいな、せめてどうでもいい相手にくらいだけでも褒めまくるとかできるようになりたい・・・社会になじめない・・・』と悩んでいました。

そこで、「まずはお金をもらって挑戦しちゃおう!」というマインドでゴールデン街で働くことにしました。

まあ、オーナーには「その小娘感がいいから別にお世辞とか言わないでいいですからね」と言われましたし、

実際のところ、寛容で気の合うお客様が多すぎてほとんどその成長機会は得られなかったですが・・・(笑)

それでも以前よりは、まず相手と仲良くなるために褒めてみよう、と前向きなマインドで相手を褒めることができるようになったと思います。


2つ目は、「自分の魅力で勝負したい」から。

自分でいうのも本当になんなんですが、肩書きに下駄を履かせられ、褒められることが少なくありません。

しかしながら、「早稲田だから~」と、言われ続けるたび、

「肩書じゃなくて自分の力だけで勝負したい」

という気持ちはどんどん大きくなっていきました。

うちの店は新しくできたばかりで、コンセプトもなく、お酒の種類も多くないため、自分の魅力のみで勝負するほかなく、挑戦するのにちょうどいい場所でした。

「この人と会いたいから、話したいから」

そうやっていつかお客様に通ってもらえる人間になりたいと思い、働きはじめました。

やはり会話の途中で自分の肩書を話す機会も少なくなく、結局のところ自分自身の力でどこまで勝負できたかはわかりませんが、いい挑戦になったと思っています。

ある時に、30代くらいの女性が、「バツイチの彼氏と同棲しているけど、彼に結婚願望がなさそうで別れようか悩んでいる」と相談してくださったことがありました。

そのときは、意見できるほど自分に経験がないものの、「彼と結婚を天秤にかけて、結婚が勝つならそれを正直に彼に話してみるのが一番自分にとっていいのではないか」と答えました。

後日、また彼女は友人を連れて来店して、スッキリした顔で、「おかげさまで別れて清々しい気持ちになりました!今は婚活してます!」と嬉しそうに報告してくれました。

その際に、自分の言葉が誰かの人生を変えるということを改めて実感しました。

また、それをわざわざ報告するためにまた来店してくださって心の底から嬉しかったです。


生まれ持ったものよりも努力を誉めろ



実はゴールデン街は国際的にとても有名で、毎日訪日外国人で溢れています。

うちも例外ではなく、基本的に海外の方が来店しない日はありません。

多い時には来店客の半数が海外からの方だったりします。

したがって、海外の方とお話する機会も多く、気づいたことがあります。

それは、他人(私)と対話するときの日本人(の中年男性)とのスタンスの違い。

まず、日本人男性は、よくも悪くもとにかく外見に言及してきます。

「もっとやせたほうが俺好みかな~」

「男はお姉さんくらいの体型が好きだよ(笑)」

とか。

いや、うるせえ、〇めんぞ。

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こちとら別にお前に好かれるためにこの体型なわけじゃないです~wwwwww

日々の怠惰の積み重ねです~wwwwwww

だったらお前も成田陵になれや~wwwwwwwww

という心の叫びはおいといて、そういう他人の生まれ持った容姿に対する無駄なコメントがつきない。

多分子宮にデリカシーをおいて生まれてきたんだと思うマジで。

一方、海外の方(主に女性)は、

「あら、そのネイル素敵ね!自分でやったの~?」

「(そのころタトゥーシールにハマっていたので)あなたのタトゥー超かわいい!」

など、自分のセンスや努力の部分を褒めてくれる気持ちのいい方が多かったです。

これは南アフリカにいた当時にも感じていたことで、

同じオフィスで働くケニア出身の女性は、よく

「あなたのアイシャドウとってもかわいいわ!」

など、容姿そのものではなく、自分が容姿に対して努力している部分を褒めてくれる人でした。

私自身、容姿自体を褒めることは非常にリスキーなことだと思っています。

褒めたつもりが、もしかしたら本人はコンプレックスに思っているかもしれないし、誰も幸せにならない褒め方だと思います。

もっと、

「あなたの今日のブラウスとても似合っているね」

とか、

「新しいネイル可愛い!」

とか、本人がいろいろ考えて努力してたどり着いた『今』を褒めてあげるのが素敵だと思います。

あ、日本人の中年男性のみなさーーん!!「俺は前の方が好きだったわ」とかもクソコメントランキング7位だから気をつけろよーーー!!!


相手を自分のものさしで測るな


ゴールデン街に通われる主なお客様は、30代~50代男性。

経営者やってますとかいう強者も少なくないものの、大抵はサラリーマンです。

余談ですが、意外とハイスぺリーマンが多いのでハイスぺリーマン好きな女性はゴールデン街で飲んでみるのもいいかも?

中年の男性がカウンターに腰かけ、話すと始まる定型文の会話があります。

今日はその一部始終をご覧いただきたいと思います・・・

①「ここはお姉さんのお店なの?」or「お姉さん普段何やってるの?」

まあ、この質問はわかる。

私「普段学生やってます~」

②「四年制の大学?」or「どこの大学なの?」

前者ちょっとマウンティングするために値踏みしはじめてるやろ・・・

まあ後者は理解できるけど、個人情報・・・!!!

私はあまり大学名などを言いたくないので、

「近くの大学です~」

とはぐらかすが、諦めないおじさんたち。

「え、どこどこ」

諦めない私「新宿区にあります^^」

諦めないおじさん「教えてよ(笑)」

さすがに諦める私「早稲田です。」

おじさん「へぇ~、頭いいじゃん(笑)何年生なの?」

私「四年生です。」

③「就職内定してるの?」or「どこに行くの?」

いや、めっちゃ個人情報~~~!!!!

と思いながらも、

「〇〇(業界)関係です。」

とはぐらかす私。

諦めないおじさん「〇〇?〇〇〇?(最大手・有名な企業名)」

諦めない私「だいたいそこらへんです!」

諦めないおじさん「どっち?(笑)」

いや、そんな店員の就職先知りたいか??????

さらに伝えると、「へー、すごいじゃん(笑)俺の知り合いが〇〇(競合他社)の部長なんだけどさ~」


って聞いてねぇぇぇぇ

マウンティングの巻き込み事故起こしてんじゃねぇぇぇぇ

お前はゴリラか!!!!!

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マウンティングしないと死ぬんか!?!?!?

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あと、別に大学も内定先も褒められたくない・・・。

入れた自分をすごいと思ってたのもどちらも1ヶ月くらいです・・・。

そのころマウンティングゴリラってしまったすべてのみなさんすみません・・・。

あと、自分の肩書を言わないとめっちゃ舐めてくるおじさん多い。

なんで英語話せるの?と聞かれて、アフリカ大陸に行ってみたくなって南アフリカに行ってました、と答えると、

「え、実は君ってアホでしょ?(笑)ノリで行動してなんとかしてきましたって感じするもん(笑)」

って言われて、


『は???????

じゃあてめーでノリで南アフリカに行って現地のWEBメディアでイギリス人ボスの下でブロックチェーンの取材して記事を執筆してこいやああ!!!!』

と思いながら、本当にアホなんです~とほほ笑む私。

追加でマウンティングを諦めないおじさん。

「てか、学生なら社会舐めてるでしょ?まじ大変だからね」

いや、それ、お前だからじゃね?????

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お前の人間性なら社会どころか小学校から苦労してるやろ多分!!!!

若い女性+ゴールデン街バーテンダー=自分より下

という思考でマウンティングを繰り広げるおじさん、きっと会社で結果残せてないんだろうなぁとしみじみ思いながら笑顔で接客させていただきました!!

ちなみに優秀で会社で結果残している方はマウンティングしてこなかった(あやぞ調べ)ので、みんなもそんなおじさんに気をつけようね!


まとめ

ここまであやぞ節を披露させていただきましたが、

・遠慮するよりも、出してよかったと思われる人間になれ

・生まれ持ったものよりも努力を誉めろ

・相手を自分のものさしで測るな

この3つの学びは、ゴールデン街という特殊な場所だけではなく、日常生活においても非常に生かされています。

うるせえよ、と思いながらも一意見として心のどこかに留めておいてくれると幸いです。


あやぞ


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