準備編 | 日本のモノを仕入れて台湾で売る【日本展編】

ニーハオ、台北でクラフト・工芸品の代理販売をしているエーマンです!

日本のメーカーさん、自治体の方から「富山のクラフト・工芸品をどんなところで売っているの?また売れているの?」とご質問を頂きますので、個人的な主観を元にお伝えいたします。

百貨店の見極めが大切
台北では週年慶が盛んになる9月以降、毎月のように「日本物産展」が各百貨店で開催されています。大変ありがたいことに「日本」は集客力のあるコンテンツということです。
ただし、どの百貨店が、正確には「誰が」プランニングするかによって、クオリティにはかなり「差」があり、どの催事に参加するかは見極めが必要です。日本の百貨店経験者が担当しているかどうか?が個人的にはポイントだと思っています。

実は台湾の多くの日本展は「なんちゃって日本展」となっているのが現状です。百貨店側は出展業者を募るために、参加のハードルが低い現地の貿易会社に声を掛けています。出展者が現地企業が中心となっている場合、日本感を全然感じない日本展となり、場合によっては台湾産商品も混ざっていることも珍しくありません。*日本のような「〇〇(地域)物産展」「職人・工芸展」といったテーマではなく、「日本物産展」という場合が多いです。

台北では「SOGO忠孝館」が集客力も売り上げも圧倒的
SOGO忠孝館は台湾で最初に日本展を仕掛けただけあって、良い顧客を持っていますし話題となる「食」のコンテンツも充実しています。何より、日本人自ら訪台して会期中(約10日間)全て張り付きで参加している点が、消費者からの信頼が厚い理由だと思います。実はSOGO側も日本から訪台する際は、一定の条件を満たした場合に滞在費の補助を行うなど、日本からの出展誘致に力を入れています。(SOGO忠孝館の日本展には他の百貨店の日本展担当者が、出展業者探しに来るほどです)

僕は、過去夏に3回参加したことがありますが、大体毎回の売上は30~40万NTDの間でした。(*SOGO忠孝館は春夏秋に各1回、年三回開催していますが、夏は一番規模が小さいです)
特に初年度は「台湾初上陸」のような冠がつくため、注目してもらいやすかったです。

僕の商材は単価3,000NTD前後が主流なので、多くの方に知ってもらうこと、購入いただくことが必要になり百貨店の集客人数が大切になります。一方で出展業者さんの中には一つ、何十万台湾ドルの家具や銀瓶、時には100万NTDの金瓶といった、高額商品を実際に成約させている方もいました。SOGO忠孝館にはそういった富裕層の来店があります。

ただし、当時他の出展業者の方から聞いたお話では台湾の景気停滞気味で、以前はもっと活気があったとのことです。僕の印象としても、価格を理由で購入をためらう方が多いのは事実だと感じましたが、単純な販売価格よりも「日本との価格差」を気にしているようにも感じました。一方で日本人とのコミュニケーション(値引き交渉を含む)を楽しんでいらっしゃる方も多く、この辺りに日本展の成功のポイントがあると感じました。

参加に関して
開催時期の半年前には大体の出展企業が決まっていますので、なるべく早いタイミングで百貨店と接触する必要があります(場合によっては順番待ちになっていることもあります)

百貨店とうまく話が進んだ場合、商流や契約の話になるとその相手は百貨店ではありません。実際の契約は現地の貿易会社(口座元と呼ばれます)と取り交わすこととなります。
百貨店は取引口座をいくつも持ちたくないので、地場の出展業者(多くは日本人経営)が日本からの参加企業の取り纏めを行うこととなります。
この際ですが、百貨店の手数料とは別に「口座元への手数料」「売れ残った商品の取り扱い(引き続き台湾に保管や日本へ返送する)」「諸経費(貿易費用、送金手数料、販売スタッフ、百貨店への保証金などなど)」結構なコストが発生します。

時々、出展者と口座元で揉めている話も聞くことがありますが、特に日本側からは何にどういった費用が掛かっているか、コストが見えずらいのが正直なところですので、ためらわずに聞いてみましょう。

百貨店との契約条件に関して
傾向としては「販売手数料15~20%」「広告費用や管理費用として10,000NTD以下」「必要に応じて、什器利用料」という感じです。なお、販売スタッフは自前で手配し、自身の渡航や滞在に関する費用等も自社負担となります。

日本展の使い方は?
日本展の集客力は落ちているのではなく、数が多くて顧客が分散している状態です。なので、収益を求めていくつもの日本展を回るのは正直コスパが良いとは思えません。それなりにコストもかかりますので短期的な利益を求める場合、プライシングにも大きな影響を与えます。

一方で台湾初進出の場合の足掛かり(テスト販売や実績作り、顧客との関係構築)と位置付けた場合、活用方法は無限に広がります。
実際に台湾で代理店等を探すときなどは、販売実績や販売経験を含めて提案することができますので、かなり説得力を与えることができます。
実際に富山のラーメン屋さんは足しげく催事に参加しながら現地パートナー企業を探すという活動をされており、実際に「義美食品」という台湾大手の食品会社とパートナーを組むことができました。

B to C においても活用可能です。出展企業の中には海外であろうと顧客名簿を作っており、過去の台湾での購入者やインバウンドでのお客様に訪台の折には手紙を送り、お土産等を準備され催事に参加されています。日本展は顧客との出会い、再会、交流といった「場」として活用するのが良いかもしれません。

読んでいただきありがとうございます!

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