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一般オタクが『帰ってきたあぶない刑事』を観た話

映画『帰ってきたあぶない刑事』を観てきました。

いやー面白かった。

シリーズのファンである母の付き添いで観にいくだけのつもりだったのですが、感想を書きたくなるくらいにはしっかり楽しんできてしまいました。

ちなみに私はシリーズ初見ではありませんが、全部を追っているファンというわけでもありません。

それでもいいよという方は読んでいってください。

※以下本編のネタバレが含まれます


・全体的な感想

映画として面白かったのはもちろんですが、個人的に良いなと思った点は、タカとユージの老いから逃げていないところ。

長く続いている作品ということもあって、キャラクターも、そして役者さん自身もずいぶんお年を召されており、上映中は顔がアップのシーンになる度に「いやー流石に老けたなぁ」と思っていました。

『帰ってきたあぶない刑事』予告篇より
(もうお父さんというよりおじいちゃんでは…) 

若く見せるようなメイクや、もう少し激しいアクションなんかもやろうと思えばこの方々ならできたのかもしれませんが、この映画はそういうことをせず、老いた彼らをありのままに描いているのが素敵だと思うのです。

劇中では、走ればすぐに息切れしてしてしまうし(RunningShotが思ったより短くてちょっと笑いました)、殴り合いをすれば2人がかりでも普通に力負けしそうになったりします。

それでも、老いることは悪いことじゃないと感じさせてくれる格好良さが彼らにはあります。

頭の冴えや銃の腕、コミカルな掛け合いはそのままに、彩夏への父性や若手刑事たちへのクールなアドバイスなど、年齢を重ねたからこその彼らの深みを描いてくれたのがとても嬉しかった。

特に、タカ&ユージと彩夏が共同生活を送るシーンで描かれた、セクシーでもダンディーでもない、純粋で穏やかな父親としての側面は本当に素敵だったと思います。

それからメインキャストで言えば、町田透がとてもよかった。

相変わらず「とろい動物」なんて2人にからかわれていましたが、ちゃんと優秀な警察官としての格好良さを見せてくれます。

『帰ってきたあぶない刑事』予告篇より
(仲村トオルさんずっと若くないか…?)

探偵事務所のシーンでまだまだ近藤課長には及ばないな〜と思わせておいてからの、県警上層部とバチバチにやり合うシーンが最高。

腹パン→「私が全責任をとります!」の流れで、思わず劇場で「かっけぇ…」と口に出してしまいました。

なんだかんだ言いつつもタカとユージをめちゃくちゃ信頼しているところ、好きです。

あんたは間違いなく3代目だ…。

ちなみにほかのメインキャラ3人とは対象的に、真山薫はキャラクターとしてはまったく変わっていませんでしたね。

というか逆にあの歳でアレなの怖すぎる。透の車に轢かれかけたシーンはバケモンかと思いました。

まあ、作品としてはそれが逆に安心できる要素にもなっているのですが(笑)。

いや本当に不思議な魅力のあるキャラクターです。


もう1つ良かった点は、いつもの『あぶない刑事』をやりつつも、現代ナイズドしてくれていたところ。

それがよくわかるのは銃の取り扱いの部分でしょうか。

『あぶない刑事』シリーズといえばやっぱり派手な銃撃戦とカーチェイスのイメージが強いです。

ところが今回、タカとユージは警察官を退職しているので、当時ほど派手なことはできません。いつものように銃を撃ちまくることなんて許されない立場です。

正直、映画の前半は「この人たち刑事でもないのにいつもの銃撃戦するつもりなんだろうか」と若干心配していましたが、そこは心配御無用。

なんと、探偵をやっている間はほとんど銃には触れません。唯一銃を撃つシーンでも、タカがユージのピンチに仕方なくシャンデリアを撃つという形に落ち着いており、それ以外はあくまで肉弾戦で対応しています。

ここが個人的にはとても良かった。

これは私だけかもしれませんが、現代日本が舞台の作品での「銃の扱い」に違和感を覚えてしまうと、没入できなくなってしまうことがあります。

いくら天下の『あぶない刑事』とはいえ、令和の日本で警察官でもない人が銃撃戦をしていたらちょっと受け入れられなかったかもしれません。

そういう意味では、今作での銃の扱いのバランス感覚は絶妙だったんじゃないかなと思います。

前半に銃撃戦をさせずに一定のリアリティラインを確保をしながら、最終決戦で生まれるカタルシスを大きくすることに繋げる、という流れはうまい。

もちろん、いつものような銃撃戦もしっかり用意してあって、物語後半に一時的に「あぶない刑事」戻ってからはバカスカ銃を撃つところを見せてくれます。シリーズお約束、タカのバイクアクションも格好いい。

今思うと『帰ってきたあぶない刑事』のタイトル回収、天才すぎるな…。


・魅力的なキャラクター

今回登場したキャラクターたちはみんな魅力的で素晴らしかったのですが、メインキャスト以外ではリウ・フェイロンがお気に入りです。

『帰ってきたあぶない刑事』予告篇より
(フェイロンさん…いいね…)

序盤はコッテコテの「中華マフィアの敵役」といった印象でしたが、物語が終わってみるとかなり味のあるキャラクターだったように思います。

殺人にも関わっているらしいので決して同情できるような人間ではないのですが、海堂の卑劣なやり口に反対したり、ステラ・リーや部下を大切に扱う姿だったりと、まさに憎めない悪役でしたね。

この映画で泣いてはいないのですが、1番泣きそうになったのはどこかと言われたらフェイロンの最期です。

……ロマンチストなのはお前じゃい!!!


それから、これは役者さん込みでの評価になりますが、ラスボスの海堂巧も良かった。

『帰ってきたあぶない刑事』予告篇より
(悪人面がうますぎるだろ…)

過去に登場した敵役の息子ということで、にわか『あぶない刑事』視聴者の私としては、もしかしたら感情移入できないかもな〜と思っていたのですが、そんなことはありませんでした。

キャラクターとしては、流石に前作のラスボス(演:吉川晃司さん)ほどの強敵感はありませんでしたが、若さゆえの野心とタカ&ユージとの因縁が相まっていい敵役になっていたと思います。

私は普段そんなにドラマを観ないもので、彼を演じられていた早乙女太一さんをあまり存じていなかったのですが、演技力の高さに驚かされました。

タカとユージを睨みつけるあの顔はほんとに凄い。


・おしまい

衝動的に書いたせいで長文になってしまいましたが、それだけ作品を楽しめたのは幸運でした。

いつの日か『あぶない探偵』が制作されることを期待しながら、今回はこの辺りで失礼したいと思います。 

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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