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花柄は「けしからん」?

春は色鮮やかなお洋服たちがショーウィンドウに並ぶ。
パッと目を引くカラフルなアイテムから可愛らしい柄物まで・・・、
春といえば、なわけで花柄のお洋服は圧倒的に多い。小花柄から大胆な花柄まで、どこのショップにも花柄はこのシーズンだいたいある。

私は昔、花柄が大嫌いだった。

当時高校生ぐらいだっただろうか。
mixi(流行ったよね)でも「花柄が大嫌いです」みたいなコミュニティに入るくらい花柄を嫌っていた。黒歴史なので恥ずかしい限りだけどあえて言おう。そう、私も・・・厨二病だった!!!

小学生からマリリン・マンソンを聴き、ゲーテを読み、ホラー映画を好み、黒い服に身を包み目の周りもメイクで真っ黒。誰が見てもわかりやすい、正真正銘の厨二病だった私(恥ずかしくて死にそう助けて)

花柄なんて媚びた柄はけしからんと思っていたし、それが似合う女は皆ビッチだと思っていたし(ひどい)、とにかく花柄を忌み嫌っていた。

可愛らしいのもあざといのも、全部が全部、気に入らなかった。


しかし私も女の子。
小学校に上がる前までは母が作ったワンピース(たぶん花柄とかの可愛いやつだったと思う)を着て、ロングヘアにカチューシャなんぞしていた。
自分で言うのもなんだけど可愛かったんだ。写真を見る限り可憐な女の子だったんだ・・・。どうして、逆に一体全体どうしたらいつの間にかそんな厨二病の化身になってしまったのか。

きっかけはたくさんあるんだけど。

ひとつ最初のきっかけは、美容室での出来事が大いに関係していると思う。

腰まであるサラサラのロングヘアだった私。ある時なぜかバッサリベリーショートヘアにされてしまった。

ベリーショートと聞いてどんな姿を思い浮かべるだろうか?
男の子もびっくりの、野球部もびっくりの、ツンツンヘアにされてしまったのである。
例えるならターミネーターのアーノルド・シュワルツェネッガーを思い浮かべてほしい。本当にあのレベルの短さにされてしまったのである。

この辺りのことは恐ろしいことにマジで記憶がない。たぶん、相当ショックだったんだと思う。

気がついたらサラサラのロングヘアを失い、シュワちゃんみたいな髪型にされてしまった私。いつの間にかワンピースを着なくなりジーンズを履くようになった。そうしていつしか「女の子らしい私」はどんどん失われていった。気がついた時にはドッジボール大会で優勝するくらい男勝りな女の子になっていた。

引っ越しをしたりして最初は周りの子に「男の子」と認識されていたくらいだし、気がついた頃には「女の子らしい私」はどこにもいなかった。
女なのに男みたい、と、いじめの原因のひとつにもなった。

当時はもちろん、最近まで気がつくことができなかったんだけども。
これは間違いなくトラウマのひとつなんだと思う。

私は元々花柄が大好きだった。ワンピースもカチューシャも大好きだった。
それを突如奪われた少女時代。自分が望む方向と全く違う方向へ進んでいってしまった結果、私はひねくれ、花柄を嫌うようになってしまったんだと今だから理解できる。


大人になった今。私は相変わらずマリリン・マンソンが大好きだしホラー映画も観たりするけど花柄のワンピースも着たりする。黒い服も相変わらず着ている。
年月を経た今、甘さと辛さのミックスを楽しむこともできるし色んな要素を交えながら「私」になっている。それはとても心地の良いもので、時を経ることで絶妙なバランス感を保ちながら、変わったり変わらなかったりしながら、「私」となっていく。

これに終わらず数え切れないほどのトラウマもあるし、その度に自分や他人を傷つけたり、とんでもない迷惑をかけたり、ぎゃーぎゃー騒いだりしながら、大人になることも年を重ねることも悪くないな、なんて思う。思ったよりも、悪くない。

私は昔、花柄が大嫌いだった。

今、失われた少女時代を取り戻すべく花柄のワンピースを着て髪を伸ばしている。
トラウマの回収をすることで、紐解くことで、本来の自分に戻る作業ができているみたいだ。それはとても、喜ばしいこと。

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