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ピンクおばさん

ずっと憧れている人がいる。
保育園に通っていた頃の遠い記憶の中に、その人は存在する。

近所では有名だった「ピンクおばさん」。
頭から爪先まで全身をピンクのファッションで包み、ヒールで颯爽と歩く姿が印象に残っている。マダムな装いで、ハットを被り小振りなバッグを持ち、いつも気品に溢れチャーミングだった。私は子供ながらに憧れたし、とてもかっこよくも見えた。

明らかに他の人達とは異質であったのだけど、それがとにかく明るく世界を照らしているように感じた。ただピンクなだけでなく光って見えたと言っても過言じゃない。

このインパクトは未だに忘れられない。そして永遠のように脳に焼きついている。

私が初めて憧れた人。
どんな人になりたいかと聴かれたら、迷わず
「ピンクおばさん」を挙げるだろう。

名前も知らないし、どんな人なのかも知らないし、近所の商店街で見かけるだけだったので、全くもってミステリアス極まりないのだけど。

しかしながら、なんというかお花みたいだった。そこにいるだけで周りが明るく華やかになり、存在が輝いていた。

ずっとずっと憧れている。その想いはこれからも変わらないだろうし、私もあんな風になりたいと思う。





もしかしたら大人から見たら、ちょっと変わった人だったのかもしれない。近所では有名な名物おばさんだったようだけど、自身のポリシーを貫き通した姿には尊敬の眼差ししかない。

もう何年も前に亡くなってしまった、という話を聞いたことがある。叶うならば一度でいいから色々聞いてみたい。そのスタイルに至った経緯は?なぜピンクなのか?いつからそのスタイルなのか?最もお気に入りの一着は?愛用の香水は...?

書いてみて気がついたけど、我ながら気持ち悪いくらいに興味津々である。

でもそれほどに強烈だったのだ。

もう二度と会えないことは残念だけど、私がピンクおばさんのスピリットを受け継いで生きたいと思う。

個性やポリシーを大切に、ね。
そんな言葉が聞こえた気がする。

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