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臨床1年目の教科書

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リハカレスタッフによる、新人さん向けのマガジンです。
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#作業療法士

足部の評価④

前回はリスフラン関節の役割について整理しました。ショパール関節、リスフラン関節共に、臨床的役割を把握することでより具体的な目的を持った評価が可能となります。 前回の内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回はリスフラン関節でも第1中足足根関節について整理していきましょう。 1 特徴 前回の復習になりますが、リスフラン関節は5本の中足骨と足根骨の間にある関節のことで、足の全体構造の中心です。 役割としては後足部と中足部の中間にあり、前後のバランスを整えます。 2 どう可動して

足部の評価③

前回はショパール関節でも「踵立方関節」について整理しました。立方骨が歩行時にどう可動しているのか?を整理することで、なぜそこを評価するべきか?が明確になり、臨床的意義の高い評価となります。 前回の内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回は足部のバランスを整えるリスフラン関節について整理していきましょう。 1 特徴 リスフラン関節は5本の中足骨と足根骨の間にある関節のことで、足の全体構造の中心であり、その中でも、第2趾のリスフラン関節は頂点となる非常に負担の大きな部位です。

足部の評価②

前回はショパール関節について整理しました。ショパール関節は距骨下関節と協働することで足部の剛性と柔軟性を担当していることが理解でき、なぜ評価するべきか?も理解できます。 前回の内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回はショパール関節でも、特に重要な「踵立方関節」について整理していきましょう。 1 特徴 前回の復習になりますが、ショパール関節は「横足根関節」とも呼ばれ、「距舟関節」と「踵立方関節」から構成されます。 特に今回注目していく「踵立方関節」の立方骨は舟状骨を下から支

足部の評価①

前回まで足関節、つまり距腿関節のついて整理しました。距腿関節が可動する際にどこの関節が動いているのか?を整理することで評価項目が明確になります。 前回の内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回は前回紹介した距骨下関節を評価する際、必ずセットで評価してもらいたいショパール関節について整理していきましょう。 1 どう可動しているのか? ショパール関節は「横足根関節」とも呼ばれ、「距舟関節」と「踵立方関節」から構成されます。 特にチェックしておきたいのが、運動軸が長軸と斜軸の2種

足関節の評価⑥

前回まで距腿関節がどう可動しているのか?それをどう評価していくのか?を整理しました。距腿関節は距骨の可動性に注目するだけでなく、脛腓関節も注目して評価していきましょう。 前回の内容はこちら 臨床1年目の教科書 足関節は距腿関節だけでなく、距骨下関節の可動性も重要です。今回は距骨下関節について整理していきましょう。 1 特徴 距腿関節の背屈の平均は26°、底屈の平均は48°と報告されている。しかし、ここで注目するべきなのが、距骨下関節は背・底屈に関連した運動として、この全可

足関節の評価⑤

前回は、脛腓関節の評価として近位脛腓関節の評価方法を整理しました。ポイントは腓骨頭を関節面の方向に誘導することです。しっかりと運動方向を意識して評価していきましょう。 前回の内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回は遠位脛腓関節の具体的な評価方法について整理していきましょう。 1 特徴 前回の復習になりますが、脛腓関節は可動し、両果部間のスペースを一定の範囲内で変化させます。 具体的には底屈時に最小となり、背屈時に最大となります。これにより距骨が後方にスライドできるスペース

足関節の評価④

前回は足関節の背屈時に距骨が後方にスライドするためには、距骨と脛骨の間が開くことがポイントであると整理しました。そのため、脛腓関節の評価をすることが重要です。 前回の内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回は脛腓関節の具体的な評価方法について整理していきましょう。 1 特徴 前回の復習になりますが、脛腓関節は可動し、両果部間のスペースを一定の範囲内で変化させます。 具体的には底屈時に最小となり、背屈時に最大となります。これにより距骨が後方にスライドできるスペースが確保されま

足関節の評価③

前回は距腿関節において距骨がどうスライドしているのか?を整理しました。機能解剖で確認することで、なぜ距骨のスライドを評価するべきか?が整理できます。 前回の内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回は距骨がスライドするための前提条件を整理していきましょう。 1 特徴 距骨は背屈時に、距骨の上面は下腿に対して前方に転がり、同時に後方に滑ります。底屈時には、距骨の上面が後方に転がり、同時に前方に滑ります。 この滑り込みがあるからこそ、底背屈が可能です。 しかし、この距骨は上から

足関節の評価②

前回から足関節の評価について整理しました。足関節の運動軸は水平面、前額面ともにずれがあるため、その軸に沿ったROM測定をすることで本当に生活で利用している可動域測定が可能となります。 前回の内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回は距腿関節が可動する際に、距骨がどう動いているのか?を整理し、評価に繋げていきましょう。 1 特徴 前回の復習になりますが、距腿関節は蝶番関節で、運動自由度は1度であり、矢状面で足部と下腿間の運動を調整しています。 また、屈曲、伸展の運動が最大なっ

足関節の評価①

前回までに膝関節の評価について整理しました。膝関節が動くための条件を機能解剖を基に確認することで評価する項目、目的が明確になります。 前回の内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回からはこちらも臨床で評価・介入する機会の多い足関節について整理しましょう。 1 特徴 一般的に足関節と言われると、距腿関節であり下肢の末端の関節のことを指します。この関節は蝶番関節で、運動自由度は1度であり、矢状面で足部と下腿間の運動を調整しています。 非常に堅固に連結した関節であり、一側下肢で体

膝関節の評価⑧

前回、前々回と脛骨大腿関節の後方を安定させる膝窩筋、半膜様筋について整理しました。機能解剖と筋の走行を一緒に確認することで、解剖学の知識と臨床がつながり、評価の目的が明確になります。 前回の内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回は膝窩筋、半膜様筋と一緒に脛骨大腿関節の後方を安定させる腓腹筋について整理しましょう。 1 特徴 復習になりますが、脛骨大腿関節の後方関節包は、膝窩筋、腓腹筋、ハムストリングス、特に半膜様筋腱の延長線維によってさらに補強されています。 それぞれに走

膝関節の評価⑦

前回から脛骨大腿関節を安定させるためにどんな要素が必要か?を整理しています。前回は膝窩筋の機能について整理しました。膝窩筋は小さな筋ですが、屈曲時にも、伸展時にも働く重要な筋です。臨床では絶対評価をしたいですね。 臨床1年目の教科書 今回は脛骨大腿関節を安定させる3つの筋のうち半膜様筋について整理しましょう。 1 特徴 復習になりますが、膝関節の安定性は、しっかりした骨性適合ではなく、筋や靭帯、関節包、半月、体重による外力や物理的な閉じ込めによって得られます。特に後方関節

膝関節の評価⑥

前回は脛骨大腿関節の完全伸展に必要な終末強制回旋運動(SHM (screw-home-movement))について整理しました。膝関節は完全伸展で安定性が得られます。その完全伸展のためにもSHMを評価していきたいですね。 臨床1年目の教科書 今回は脛骨大腿関節を安定させる機構をどう評価するか?について整理していきましょう。 1 特徴 復習になりますが、膝関節の安定性は、しっかりした骨性適合ではなく、筋や靭帯、関節包、半月、体重による外力や物理的な閉じ込めによって得られるこ

膝関節の評価⑤

前回までに膝蓋大腿関節の評価について整理しました。臨床で膝蓋骨を評価することは多いですが、膝蓋骨が滑走するための条件とは?を整理することで、評価がより詳細になります。一つ一つ確認していきましょう。 臨床1年目の教科書 今回からは脛骨大腿関節の評価について整理しましょう。 1 特徴 復習になりますが、膝関節は、内外の脛骨大腿関節と膝蓋大腿関節からなる複合関節です。運動軸が2つあり、1つは矢状面における屈曲・伸展、もう一つが水平面に置ける内外旋となっています。 脛骨大腿関節は