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臨床1年目の教科書

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#脊柱

骨盤の評価④

前回までに骨盤を前傾するために協調して働く関節とその評価法について整理しました。仙腸関節、股関節、腰痛の可動性の確認がポイントでした。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は骨盤前傾するために働く筋について整理していきましょう。 1 特徴 上記にも記載した通り、骨盤は仙腸関節、股関節、腰椎が協調して動き、前傾していきます。つまり、骨盤前傾の不全を確認した場合、仙腸関節を動かす筋の不全によるものか?股関節・腰椎の不全によるものか?を分けてMMTなどで評価していく

骨盤の評価③

骨盤前傾・後傾には仙腸関節、股関節、脊柱が協調して可動することが重要です。前回は骨盤前傾に必要な股関節の動きの評価についてまとめました。やはり解剖学を理解していることがポイントとなりました。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は残りの脊柱の評価について整理していきましょう。 1 特徴 復習になりますが、骨盤は前傾することで安定性を得られます。 その機序としては、仙腸関節は前屈運動によって関節面の圧迫と剪断(摩擦)力が上昇し、それによって安定度も高まります。仙

骨盤の評価②

前回より骨盤の評価を整理しています。前回、骨盤輪が安定することの重要性が理解でき、その骨盤輪を構成する仙腸関節の評価方法について整理しました。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は骨盤を評価する際に一緒に確認しておきたい股関節について整理していきましょう。 1 特徴 上記でもあった通り、骨盤輪全体の安定性が、体幹の荷重を下肢に伝えるとされています。では、この骨盤輪はどうしたら安定するのでしょうか? 仙腸関節は前屈運動によって関節面の圧迫と剪断(摩擦)力が上

胸腰椎の評価④

前回までに胸腰椎の屈曲、側屈の観察・評価ポイントについて整理しました。ただ観察するだけではなく、それぞれの椎間関節の可動性を知った上で観察すると評価の精度が変わってきます。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回はやはりカップリングモーションを加味するために評価したい回旋について整理していきましょう。 1 どう稼働しているのか? 前回の復習になりますが、椎間関節は胸椎に向かうに連れて垂直方向に傾く構造となっており、腰椎の関節面は、ほぼ垂直になっており、上関節面は

胸腰椎の評価③

前回は胸腰部の各椎間関節の構造と可動域について整理しました。屈曲ー伸展運動はほぼ均等に起こり、回旋運動は上位胸椎で大きく、下部では小さくなります。評価ではそれを理解して観察することが重要です。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は前回紹介した胸腰椎の屈曲の評価の次にカップリングモーションを加味するために実施したい側屈について整理していきましょう。 1 特徴 前回の復習になりますが、椎間関節は上関節突起の矢状面に対する傾きが水平方向であれば椎体の前方滑りを、垂

胸腰椎の評価②

前回より胸腰部の評価のついて整理しています。前回は脊柱の役割を確認し、その役割を担うためには安定性と運動性の両立が重要であることが理解できました。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回はその安定性と運動性のために胸腰椎はどの様に可動しているのか?について整理していきましょう。 1 特徴 脊柱の動きを理解するためには椎間関節の構造を知ることが重要です。 椎間関節は上関節突起の矢状面に対する傾きが水平方向であれば椎体の前方滑りを、垂直方向であれば軸回旋の抑制効果を

胸腰椎の評価①

前回まで頸部の可動性、筋力の評価法につい整理しました。それぞれROMを測定した後にやるべき評価、MMTを頭部と頸部で分けて測定する目的、について機能解剖を基に整理すると、それぞれの評価の意義を理解できます。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回からは胸腰椎の評価をテーマに整理していきましょう。 1 特徴 脊柱の役割として体幹の安定性と運動性という対照的な役割を果たしています。また、S字状の生理的な湾曲を有しており、その湾曲(S字状)により荷重の分散や、衝撃の緩

頸部の評価①

今まで、肩関節、肘関節、前腕、手関節の評価について整理しました。それぞれの機能解剖を確認すると、なぜその部位を評価するべきか?が明確になります。ぜひ一度ご自身でも機能解剖を確認されることをおすすめいたします。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回からは頸部の評価方法について整理していきましょう。 1 特徴 脊柱は生理的S字を有しており、その湾曲(S字状)により荷重の分散や、衝撃の緩衝が可能となっています。 頚椎は前弯しており、この頚椎の前弯が減少すると、他の脊

第4・5腰椎の触診

さて、前回までに頸椎・胸椎の触診方法について整理していきました。 脊柱の触診では ・棘間は側面から触診することでわかりやすい ・各ランドマークをしっかり確認する が非常に大切になっています。ぜひ、臨床で意識しながら触れるだけでもいい練習になりますので、取り組んでいきましょう! 今回は脊柱触診の最後として、腰椎の触診について整理していきましょう。 1 腸骨陵の確認ヤコビー線は以前も整理しましたが、もう一度整理していきましょう。 ヤコビー線は両側の腸骨陵の1番高い箇所を触れ

胸椎棘突起を触れる前に

1 胸椎の構造脊柱はS字状の湾曲を描いています。 これにより、荷重の分散や、衝撃の緩衝が可能となっています。 そのなかでも胸椎は第9胸椎を頂点に後弯を有し、 この第9胸椎を境に椎間関節の形状が 水平方向から垂直方向に変化しており、 上位胸椎と下位胸椎の可動方向の違いが生じています。 具体的には ・上位胸椎は回旋方向の大きく可動性を有している ・下位胸椎は屈伸方向に大きく可動性を有している となっています。 2 触れて時の基準は?上記でも記載した通り、 胸椎は上位と下位と

第7頸椎に触れてみよう

前回の内容は、 脊柱の棘突起を触れる時には、 上からではなく、 側面から触れることで、 椎間がわかりやすくなります、と整理していきました。 臨床で試した方はいるでしょうか? ぜひ、臨床で試してみてくださいね。 本日は、 頸椎や上位胸椎の重要なランドマークである 第7頸椎の触診方法について整理していきましょう。 1 第7頸椎とは? (引用:機能解剖学的触診技術 下肢・体幹より) 第7頸椎は隆椎とも呼ばれ、 棘突起がもっとも後方に突出している。 そのため、頸椎の中では触

脊柱の触診って難しくない?

みなさんと一緒に整理している触診をシリーズ。 本日より脊柱の棘突起の触診に移行していきましょう。 棘突起の触診でみなさんは 『項靭帯や棘上靭帯との触り分けが難しい・・・』 と悩むことが多くないでしょうか? 触診を勉強した頃の私はすごく悩みました。 本日はどのように棘突起を触れていけば触り分けができるのか? を整理していきましょう 1 脊柱の触診する意義まずは、なぜ脊柱の触診が必要なのでしょうか? 考えていきましょう。 療法士として関わりが多いのが、 ① 生理的S字を考慮した