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星野源 Cube

村上春樹の小説は癖のないドライな文体で読みやすく、どんどん先に進んで気付いたら謎の異世界に放たれる。星野源の新曲Cubeにも似たようなものを感じた。

歌声やメロディ、コーラスワーク自体は耳触りが良いが、曲展開や鳴っている音がかつてないほど凄まじい。メインとなるドラム、ベース、オルガンが暴れ狂っていてオケだけ抜き出したらアバンギャルドそのものだ。一歩間違えれば崩れ落ちてしまうギリギリのラインを保ちながらも最後には極上のポップスに仕立てる圧倒的なセンスとスキルと志。

一つの到達点のPOP VIRUS以降、ちゃんと私たちの手を握ったままJ-POPというフィールドを拡張し縦横無尽に駆け抜ける。今年に入ってから、創造、不思議とアクセル全開だ。

邪魔する人たちは、これからは音でぶっ飛ばしていきたい

最新のインタビューでも自分の音で邪魔者をねじ伏せる覚悟と自信をのぞかせている。次のアルバムは楽しみでもあるし恐ろしくもある。
正気か狂気か。そう賽の目次第。