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ハイバイ ワレワレのモロモロ

何年か前に五反田団の新年工場見学会で初めてハイバイの演劇を観た。内容はガチンコファイトクラブのパロディで、過剰演出の大喧嘩を夢中で観ていた学生時代を思い出し大爆笑。その時からいつか単独公演に行きたいと思い今回ようやく実現した。

演者自身が実際にあった酷い話を演劇で昇華する企画でタイトル同様ユーモア満載。すべらない話の演劇版のようで私たちの人生は如何様にでも面白くできる。

オープニングエピソードで演者がシャワーを浴びながら何気なくMy Little Loverのmen & womanを歌うシーン。小学生の頃一番好きだったマイラバの曲で初っ端から心を掴まれた。

そして恋人との変な思い出やトラウマ、疎遠だった父との交流、壮絶な出産体験、新宿二丁目のロマンスとバラエティに富んだ実話をノンストップで披露しあっという間の2時間20分。実体験を経て吟味された演技の故、表層的な笑いではなくあらゆる感情を根底から揺さぶられ圧倒された。

オムニバス作品はとっ散らかって統一感がなくなる危険性を孕んでいるが、影の主役だった四角いフレームの抽象的な舞台美術が素晴らしく、全編通して上手に具象化させながら一本の作品としての強度が増していた。

演劇は制約が多い分観客の想像力を引き出すことが肝である。視点は一つ、脳は無限。何を見せて何を見せないのか。

想像してごらん。