ロロ ここは居心地がいいけど、もう行く
今年は映画よりも演劇を沢山観る年。気になる劇団は時間とお金をかけて足を運び何かを感じたい。演劇は観ている時よりも観終わったあとに思い出して感動することが多々ある。この作品もそうだった。
高校の同級生だった2人が、先生と母親の立場となり20年ぶりに文化祭で再開する。長い時間をかけてそれぞれの人生を歩み変化した2人だが、会話の掛け合いや距離感は当時のまんま。どんなに時間が経っても変わらないものが必ずある。
隣り合わせの旧校舎と旧旧校舎の豪華なセット。そこで交互に展開される会話劇。二つの異なる場所で放たれる言葉や仕草が偶にリンクして一つに混ざり合うシーンは堪らない。可笑しさと切なさを帯びた役者の演技はもちろん、高校生にしてはハイセンスなコントも面白かった。リアル過ぎるエイリアンの存在は嫌というほど記憶に残る。
引きこもりだった少女が好きなラジオの仕事に就きディレクターとしてバリバリ活躍する現在。そのラジオを熱心に聴いている現役高校生と心通わせるクライマックスは胸が熱くなる。
青春時代の独りよがりな発信がいつかどこかで誰かに届くことだってあるし、大人になってからでも遅いということはない。いつだって今の気持ちを大切に生きれば過去も未来もすべてつながっていく。
この夏ステキな作品に出会ったけど、もう行く。