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M-1グランプリ 2023

出場者も審査員も観客もスポンサーも全員がこんなにも熱量を持って挑む番組が他にあるだろうか。漫才がブームではなく映画や音楽のように作品として語れば語られるほど漫才の文化が成熟する。このままいけば向こう10年は安泰だろう。

自分の中でのハイライトは、ファーストラウンドで他の審査員がさや香に高得点をつける中、一人だけ令和ロマンは超えていないと80点代をつける松本人志だった。

過去にジャルジャルのピンポンパンの漫才を一番評価していたように、技術よりもセンスが漫才の最上位としていることがわかるシーンだった。

さや香は昨年の漫才に技術がさらにプラスされていたが、センスの面で言えば令和ロマンの方が斬新で予測できなかった。

1年であっという間に更新されてしまうセンスの基準。来年令和ロマンが仮に出場したとしてもさや香と同様にかなり厳しい戦いになりそうだ。

そして敗者復活戦という新しい才能を発掘させるシステム、ファイナリストの打ち上げと反省会、ネクストデイ、アナザーストーリーとサブチャンネルでのファンサービス。

命がけで作られたピュアなネタとそれを面白おかしく盛り上げるビジネスの両輪が爆発的な人気の秘訣。宮崎駿と鈴木敏夫のようだ。

M-1は最早ジブリである。