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陰謀論の疑似科学と偽情報――陰謀論のタイプと検討

陰謀論には様々なタイプがあります。そしてどの言論や言及が正しいのか、あるいは間違っているのかを判別することは必ずしも簡単なことではありません。

前回紹介した科学的方法として適切ではない方法や、心理操作の方法などを加味して考えるとある程度見えてくるものがあるのではないかと思います。

バロニー検出キットと論理的誤謬

カール・セーガンによるバロニー検出キットがどれだけ正確にバロニー(馬鹿げたもの)を見破れるのか判別することは難しいですが、それでも一定の指標にはなるのではないかと思います。

次の項目は仮説が科学的な方法に基づくのかを判別するのに役立てることができる。

①可能である限り事実の確認を行う。
②あらゆる観点から証拠についての議論する。
③権威からの議論が常に信頼できるとは限らないと認識する。
④複数の仮説を検討する。
⑤自分自身の仮説に純粋に固執せず、偏見を持たないように最善を尽くす。
⑥数値・数量化が可能であるならばデータをもって検討する。
⑦引数がある場合、そのチェーンがすべてリンクすることを確かめる。
⑧仮説は出来る限り単純な仮定のものを選択する。
⑨仮説が検証または改ざんされうるものかを確かめる。

論理的誤謬のキットはここでは省略しますが、20ある項目を一つ一つ点検することでそれが科学的方法に基づいているのかを確かめることができるに違いありません。

心理操作

心理操作は議論の相手が無自覚であれ、自覚的であれ、相手の心象を分析することができます。まず第一に自分の脆弱性を相手が攻撃しようとしているのかどうかを確認しましょう。

①自分の相手を喜ばそうとする気持ちを利用していないか。
②自分の相手から承認されたいという気持ちを利用されていないか。
③相手の否定的な対応による自分の恐怖心を利用されていないか。
④自分の主張・否定しない態度を利用されていないか。
⑤自分の曖昧なアイデンティティを利用されていないか。
⑥自分の依存心を利用されていないか。
⑦自分への評価は外的要因によるという考えを悪用されていないか。

また、心理操作の方法についても理解しておく必要があります。

①バレない程度に嘘を制御する。
②真実を告げない。
③間違いを認めない。
④辻褄が合わないことにもその場しのぎで言い訳を繰り返す。
⑤自分の非を認めない。
⑥賛同者を選び、批判者を排除する。
⑦質問への直接的な回答を避ける。
⑧見抜きにくい脅威を与えて脅す。
⑨相手の恐怖心や自己不信を利用する。
⑩被害者のふりをする。

繰り返しになりますが、これらの方法は自覚的なものと無自覚的なものがあるため、善意による心理操作か、悪意による心理操作なのか見分けるのが難しいところもあります。しかし、自覚的な攻撃者と無自覚的な攻撃者の違いは大きいですが、攻撃者であるという点では変わらないので注意は必要です。

陰謀論の真偽

さて、具体的な陰謀論については、別の記事で、様々なタイプを紹介しましたが、そのうちでもキリスト教的前提に基づいた陰謀論というのがあります。これは元々科学的な方法を採用していませんので、必然的に疑似科学に分類しないわけにはいかないでしょう。

ただしキリスト教的前提に基づいた陰謀論については部分的に事実に基づいているものもあります。このことは重要なことです。キリスト教的前提に基づいた陰謀論の中の一つにはフラットアース説があります。これがなぜ、陰謀論に分類されるのかは、キリスト教的視点に立たなければなりません。

フラットアース説の特徴は、前近代的な聖職者の世界観が前提となっており、科学的方法論には従っていません。しかしながら、フラットアース説は科学的であることを偽装しています。フラットアース説による太陽の高度などは、一応数値化されていますが、その数値には科学的根拠はありません。また、また、様々な観測点からの緻密なデータもありません。フラットアース説は全く科学的ではないと言わざるをえません。

近年話題になっているQanonはキリスト教的な陰謀論とは一線を画す部分がありますが、Qanonにはプロパガンダ的性格があることは否定できないでしょう。もちろん全ての言論が偽りとは言えないでしょうし、部分的には有益な情報を提示しているというのも事実かもしれませんが、全体を通して見ると、Qanon側が大衆を利用しようとする意図が見えます。

他にも様々なものがありますが、言及するほどのものでもないものも多く、また今まで検討してきたものや今後別に検討したいことなどもあるので、ここでは軽く触れる程度にします。

ただし、陰謀論と呼ばれるものについての一つの分析的な方法について紹介する必要性がありましたので、今回はそこに重点をおくことにしました。

小さな仮定の積み重ね

陰謀論のすべてとは言いませんが、党派が形成されている場合、一定の虚偽や心理操作が発生しているように見受けられます。また、党派が形成されることで、科学的検証もまた、不十分なものになっていきます。意見が統一されるためには、複数の仮説を同時に保持することは、団結心を阻害することにもなりかねません。

結局は小さな仮定を繰り返し検証していくより仕方がありません。もしかすると、その作業は、途中でその殆どすべてが台無しになってしまうかもしれません。しかし、それまでの作業に真摯に取り組んでいたのであれば、その失敗も大きな礎の一つとなるに違いありません。

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