読書感想文

私がこの本を読んだのは高二に入ってすぐの頃です。有名な本だし、1度は読んでおこうかなという軽い気持ちで図書館で借りて読んだのですが、この本にがっちりと心を掴まれ、手元に置いておきたいと思い、すぐに書店で購入しました。この本は私と同じ高校生達の物語なのですが、物語なのにまるで学校の友達の話を聞いているようなリアリティがあって、日々自分が何となく感じていた言葉に出来なかった感情が言語化されたような不思議な感覚になりました。どの話も本当に好きで何度も読み返しているのですが、その中でも東原かすみ〜十四歳という章が心に残っているので、その章について書こうと思います。
この章はかすみと美紀、友未という3人の話で、3人は元々仲が良かったのですが、美紀が友未を嫌うようになり、関係が悪くなっていき、そのことを通してかすみが悩み、成長していく話です。私がこの章を読んだ時に最初に印象に残ったのは、美紀が美紀の好きなファッションモデルがヨーグルトは太ると言ったからと言ってヨーグルトを食べるのをやめるといいながらもチョコとキャラメルのいかにも太りそうなアイスを食べているシーンです。実際にはヨーグルトを毎日食べるよりもアイスを食べる方が健康にも良くないし、太るということは調べればすぐにわかることなのにそれをせずに好きなモデルが言った言葉を鵜呑みにしてしまっている美紀の姿が滑稽に思えました。そして、美紀にかすみちゃんも食べるのやめた方がいいよと言われ、「太るらしいからヨーグルト食べるのやめるかも」といったかすみに「おいしいし、好きなんだから誰かに何か言われても気にせずに食べたらいい」と言った友未がとても対照的に写りました。
誰かの言ったことに影響されずに自分だけが信じることをして生きていくのはとても難しい、実際にはほとんど無理なことだと思います。事実、私は今まで他者からの言葉によって成長してこれたと思うし、違う考えに触れ、悩んできたことが今の自分をつくってきたと思います。ですが、他者の意見に触れた時にその考えや意見についてしっかりと調べ、悩み、考え、自分なりの答えを見つけるという過程を抜かしてそのまま行動に移してしまうのは現代の情報が溢れかえる世の中においてとても危険なことだと思います。また、これは情報の正しい、正しくないの関係ない個人の価値観においてもいえることだと思います。誰かの生き方をそのまま自分の人生の指針にしてしまう美紀の生き方は確かに楽な生き方かもしれないけれど、何かに失敗した時、後悔するのは自分だけでそのときに他の誰かに責任を転化することはできないので、それはそれで辛いのではないかと思いました。
私はこの章を読んで美紀は誰かの言葉に左右されて本当に大切なことを見失っている気がしたし、自分の正しいと思うことをはっきりいえる友未は尊敬できるなと思いました。
だからといって友未のように生きていくことも楽ではないということがこの物語の報われないところだなと思います。かすみに他人に何かを言われても気にせずにヨーグルトを食べたらいいと言ってくれた友未は友未の中学校の部活の中で無視され、雑用を押し付けられているのです。
友未がいじめられているのを見てしまったかすみはショックを受けますが、「私と話したらかすみも嫌われてしまう」という友未に「友未が言ってくれたから私はこれからも自分の好きなものを好きで居続ける」と伝えます。
私は美紀と友未、生き方の違う対照的な2人に挟まれたときに自分の信じるものを信じようと決められたかすみに胸が熱くなりました。
そして、かすみは今まで話しかけたくても周りの目を気にして話しかけることを躊躇していたクラスメイトに話しかけることを決めます。
誰かに嫌われないように周りの目を気にして、話しかけられなかった人、好きと言えなかった物が私にもあります。だからこそかすみや友未の言葉が心に刺さったし、美紀を完全に否定しきれない自分がいることに気がつきました。誰かの意見に惑わされずに意見を言えることと他者からの意見を聞かないと言うことは全くの別物で私は自分の考えに強い芯を持ち、誰かの意見に対してはその意見についてしっかり考えられる、そんな人間になりたいとこの本を読んで強く思いました。
そして、この気持ちを忘れそうになった時は何度でもこの本を読み直そうと思いました。


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