精度について、理論値狙いについて:耳で認識することの重要性
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ご無沙汰しております。うっでぃです。
皆さんは音ゲーで「理論値」を出したこと、ありますか?
ここで言う「理論値」はあくまでゲーム内での一般的な最高得点を指すことにします。ボルテで言ったらMAX(いわゆるS-PUC)のことではなくPUCを指します。jubeatは言わずもがなEXCELLENTを指します。maimaiはAPを指すと言いたいところですが、細かいことを知らないし興味も無いので、ブレイク(というものがどういうものかも曖昧にしか知らない)を全部取れた時の点数ってことにしましょう。DDRは……ハードルがバカほど高くなりますがMFCを指します、ごめんなさい。……何で謝った?
出したことがある人にしか出せる時の心構えは分からないこの感じ、童貞と非童貞の関係に近いと言えますね。実際のところ、「エクセ童貞」「PUC童貞」などの呼称があるのも結構納得のいく話です。さっきからこいつ何言ってんだ?
さておき、今回の話はボルテについて想定しながら書いています。ので、ボルテのことを想定しながら読んでいただければと思います。ボルテでPUCを出すのに必要なことを考察しながら、PUCが出せない人に向けた指南をするのが、今回の記事の目標です。
ついでに言うと、自分がPUCを出すまでに人より回数をかけてしまう(かかってしまう)原因についても判明すればいいな、と思っております。
それでは、ここから本題です。
「精度」とは何なのか
序論にして核心に迫る見出しといった感じですが、なにしろ分かることや分かりそうなことから話していかないと真相には辿り着かないですからね。これまで語ってきたことを繋ぎ合わせれば自然と結論が出そうなのはこのあたりの話っぽいと嗅ぎつけたので、まずはここから話をしていきます。
「どんだけこの記事こするんだよ」というほどこの記事を引用していますが、実際しっくり行く説明が出来たと自負している分だけあってこの気持ちは止まりません。
この記事ではっきりと言及したことの一つに、「地力とは、現れたノーツを視覚的に捉えることとノーツに対する的確な動作を行うことを同時並行で処理し続ける能力の高さである」というものがあります。
文章の中身からすればこれは考察の部分ではなく、考察に必要な定義付けだったんですが、「大体こういうもん」という感じだった「地力」というふわっとした言葉の意味を、しっかりと言語化出来たのではないかと思っています。
で……これを引っ張ってきて何が言いたいのかというと。
「地力」と「精度」って別物なのか?
切り分けて考えるべきものなのか?
という疑問がふと湧いてきまして。
三日三晩ほどではないがそれなりの長い時間向き合って考えた結果、「密接に関係しているものの、別々に伸ばされうるものだ」という結論に至りました。
いや、こんな長々と書く必要もないぐらい当たり前なことではあるんですけど……(弐寺に「クリアラー」「スコアラー」みたいな概念がある以上……)。
とはいえ、「じゃあ精度って一体なんなん?」と問われるとなかなか答え難い質問ではあり、いま一度考え直す必要のある問いではある気がします。しますよね。しませんか……?しませんかね……。
精度とはなんぞやというのを考える前に、ひとつ紹介したいお話があります。
大人気音楽ゲーム「jubeat」におけるトッププレイヤーである、S&YSN-Y(さとる)選手という人物がいるのですが、彼の実績たるや凄まじく、表記上の最高レベルである10.9の楽曲や、jubeatを代表するボス曲であるEvansなど、名だたる難関曲をハードモードでエクセしています。分からない人に説明しておくと、jubeatのハードモードにおけるパーフェクトの許容秒数は±21msと言われており、これは弐寺のPGと一緒です。います(2022.4.22訂正。弐寺のPG判定幅は±16.67msとこれより更に狭いそうです)。さらに言えば、jubeatのゲーム性からしてノーツの出方が一様に同じに見えるわけではないため、フレーム数のみでは計れない難しさがあるといえましょう。
10thKACにおいてもチャンピオンとなった彼の強さの理由は何なのか、個人的に尋ねたことがあります。「どうやったらそんなに上手くなれるの?」と。そうしたら、返ってきたのはこんな言葉でした。
「ひたすらハンクラを聴き込んで、それと同じリズムを出力することだけに集中してる」
(一応分からない人のために説明すると、ここでは「ハンクラ」とは「ハンドクラップ動画」と呼ばれる有志によって作られたjubeatの譜面動画のことを指します。ゲーム上の譜面をもとに、jubeat analyzerという専用のソフトで譜面を起こし、そのリズムにハンドクラップ音を乗せ、動画に収めたものがYouTube等にアップロードされているのです。)
その言葉を聞いた僕は物凄く納得するとともに、「精度」というものの本質を知った気がしました。どんな配置であれ、それが簡単だろうと難しかろうと、「機械が望む通りのリズムを出力する」ことを目指すことがもっとも絶対的な正解に近づける方法なのだ、という当たり前のことに立ち返ることが出来ました。
そして、それに対してなるほどと感心した僕は、いつも心にその言葉を胸に抱きながら音ゲーをプレーし、今もなおSクリを出すのが下手すぎて悩み続けています。…………なんで?
さて、譜面の認識には大別して「目による認識」と「耳による認識」がありますが、思うに、精度が高い人ほど「耳による認識」の能力がより優れているのではないでしょうか?
耳による認識というのは、「聞こえる音と見えている譜面の示すリズムを結びつける力」はもちろんのこと、「自分が出力すべきリズムを譜面と曲から想定する力」もそこに含まれます。
平たく言うと「機械側の出力に対しても自分自身の出力に対しても正しいリズムが分かる力」ということになりますが、こう表現してしまうと目による認識でも一応同様のことをしているので、もう少し解像度を上げた方がいいみたいですね。
たとえば、あなたが一番メインでやっている機種で、初見プレーの曲をやるとしましょう。
この時、「目による認識」と「耳による認識」は両方ともが機能すると思いますが、どちらをシャットアウトされるとより困るでしょうか?
答えは圧倒的に目の方ですよね。譜面がどのデバイスに対応しているかを把握し、流れてくるスピードとノーツ同士の間隔などからおおよそのタイミングを把握し、叩いた時のフィードバックを把握するのが目の認識が為している役割です。それを奪われたらまさしくゲームになりません。
上記を踏まえると、逆に言えば耳による認識は「正確さを高める」役割しか担っていないとすら言えるほど、音ゲーの「認識」における主役は目であり、耳は最後の詰めにのみ活用されています。
つまり、この「最後の詰め」こそが「精度」とされているものであり、そこに活用される耳の認識力が高いほど精度は良くなるのではないでしょうか。
よって、「精度」というものを改めて定義付けると、このようになります。
良かった、ちゃんとまとまって…………。
上記に従えば分かることですが、もちろん「正確にアウトプットする」のには身体的な能力が必要になります。ただし、それは「地力」に含まれる要素とほぼほぼ共通している要素であるため、「地力を上げると精度も上がりうる」というのはそういう意味で真なのだと思います。
なぜ理論値が出せないのか?
精度の何たるかを明らかにしたところで、今度は「理論値が出ない(≒精度が足りない)理由」について考えていきたいと思います。何でニアリーイコールにしたかといえば、精度についてはほぼカンストしているレベルの人間ですら、理論値を逃すことは往々にしてあるからです。
それでは、まずもって、理論値を出すことの何が難しいかについて語らねばなりませんね。
一つには、言うまでもなく、「全てのノーツを一定のフレーム以内に抑えて叩き、2分間前後を完奏する」ということ自体が非常に集中力を要するハードルの高い作業なので、「前提として難しいことをしている」というのがあります。未経験ならば尚更、「その難しいことを自分は達成したことがない」という事実が枷になります。
さらに、その人の精度が低ければ、一つ一つのノーツが光る確率からして低いのだから、2分間ノーツを光らせ続けることはたいへん低い確率を引き当てなければならないということになります。
また、精度が高い人や地力の高い人でも、失敗が許されない状況(理論値狙いはこれとの戦いでもあります)で平素の高精度を保てるとは限りませんし、目による認識が崩壊してしまったり手の動きがこわばってしまったりすれば元も子もありません。
このように、理論値狙いには「失敗できないことによる緊張感」がついて回るものであり、精度の良し悪しにかかわらず「複数回やらなければ出せない」という前提は変わりません(もちろん回数の多寡は変わりますが)。
「じゃあ精度を高めたところで理論値出ないかもしれないんじゃん、意味ねェ〜」みたいな声もないことはないでしょうが、もちろんそんなわけはありません。
僕は常々思っているのですが、理論値狙いとは自分の実力次第で確率を上げられるギャンブルのようなものではないかと。
目、耳、体、脚、手、指、それぞれに調子の良し悪しがある。環境の良し悪しもある。どれだけ簡単な譜面でも100%光らせられるとは限らない。しかも、いつ出るかは確証がなく、時間とお金を無為に費やすだけかもしれない。
地力を上げ、精度を高めたところで、「理論値」についてだけはどうしても運が絡むものなのです。
つまり、精度を上げる目的は「ギャンブルでの当たる(理論値が出る)確率を高めるため」以外の何物でもありません。
より早く、少ない回数で、より労力をかけずに、理論値が出るプレーを引き当てるためには、それぞれのノーツの光る確率を最大限高めるのがもっとも効率が良いに決まっています。
そして、それを基本にして考えたら、「難所を光らせられる確率がきわめて低く、それ以外にも難所がいくつか存在する譜面」や、「2分間まるまる光りにくい難所ばかり降ってくる譜面」などについては理論値が出る確率がきわめて低いのも当然です。
そうした譜面で理論値を出すためには、そもそも土俵に立てるレベルまで確率を高めることが先決になります。
ならばどうするか?
取りうる方法は二通りしかありません。
「地力を高める」か、
「譜面研究をして認識力の問題をすっ飛ばす」か、
です。
肌感覚的には当たり前のことですが、精度とは「譜面に追いつくので精一杯」という状況では発揮しえないものです。
そうでなければ、地力が上がらないまま精度だけが極端に上がってしまい、下位の単発系の譜面しか出来ない悲しきモンスターが生まれてしまったりはしないはずですから……。
となれば、やるべきことは「譜面に追いつけない状況を解消する」に他ならず、対策は「地力を高める」か「譜面研究をして認識力の問題をすっ飛ばす」の二択になるというわけです。
このどちらかによって「譜面に追いつけない」という問題が解決した時、初めて精度を上げる意味が出てきます。
さて…………、長々と「精度を高めるのがどんな形で理論値狙いに影響するのか」を語ってしまいましたが、この項のタイトルは「なぜ理論値が出せないのか?」です。忘れてません、忘れてませんよ〜。……ホントですよ?
あなたが理論値を出せない理由として考えられることは、大別して3つあります。
地力が足りない
最低限の精度が足りない
2分間認識・操作をパーフェクトの水準で保つ能力が足りない
もはや説明する必要すらないものもありそうですが、一応詳細を語っていきましょう。
地力が足りない?
ここまでの話を読んだ上で「この譜面一箇所も押せるとこ無え〜!!何で理論値出ねえんだよ!!」みたいなことを言っている人は本物のバカなので放っておくとして、一般的な感覚では理論値を意識し始めるのは「全パフェで通らないことの方が多い難所が2〜3箇所」ぐらいになったところからだと思います(もちろん壊滅的に出来ない箇所が一つでもあれば土俵に立てないのが理論値狙いではあるので、「全パフェで通らない」の程度にもよりますが……)。
失点がほぼその箇所だけで済んでいるのならば、「そこだけを研究する」という手段もあります。その譜面を捌ける動きを手に染み付かせることで、認識力如何を問わず擬似的に地力を上げることが可能というわけですね。
もしも狙っている譜面のレベルが自分の適正とするところよりも高く、「プレー中は終始、精度を意識していられない」と感じるのであれば、少なくとも難所以外では精度に意識を向けられるようなレベルになるまでは、適正少し上ぐらいの譜面に多く触れるなどして地力を上げる方が良かろうかと思います。
最低限の精度が足りない?
「最低限の精度って、何?」
そんな綾波レイ(仮称)の声が聞こえてきた次第なので説明します。
先ほど理論値狙いをギャンブルと喩えたくだりで出てきた通り、精度はあくまで「確率を上げるため」のものであって、それだけで直ちに理論値を出せるものではありません。
実際に理論値を出せるかどうかを規定しているのは「地力が足りているかどうか」の方です。
地力が足りているならば、そこから先は「抽選する回数を増やす」ことで理論値を出すこと自体は可能でしょう。
しかし、抽選する回数を増やしたところで、当たる確率が天文学的数字だったらどうしようもありませんよね。
天文学的数字とはいかないまでも、難所とは言い難いようなところでポロポロと点数を落としてしまうようであれば、それもまた土俵に上がることは能いません。
この場合に足りないのは地力よりもむしろ精度の方です。認識も操作も出来る簡単なところを光らせることができないとすれば、磨く必要があるのはやはり精度でしょう。
このケースに該当するような人におすすめしたいのが、いわゆる「下埋め」というやつです。
適正より数段下のレベルで精度の取り方を学ぶようなプレーをし、「光るのが当たり前」と思えるレベルを底上げしたり、そう思えるパターンを自分の中に増やしたりすることが、下埋めの目的であると僕は捉えています。
「曲に合わせる」「正しいリズムを刻む」ということを体得しているかどうか、というのが、「最低限の精度」の意味するところです。それを学べたと感じるまでは、下埋めをするべきかなと思います。
2分間認識・操作をパーフェクトの水準で保つ能力が足りない?
「2分間認識・操作をパーフェクトの水準で保つ能力って、何?」
またも綾波レイ(仮称)の声が聞こえました。
実は理論値が出ない理由も理論値狙いをギャンブルとする理由も、ほぼ全てこれに尽きるのではないかと思っているレベルの話です。
めちゃくちゃ端的に言うと、「緊張し始めると体が思うように動かなくなるし、普段の理想的な認識も忘れちゃうよね〜」というだけのことなんですが……。
緊張のみならず単なる集中力切れもそうですが、2分間目と耳と体をフル稼働させること自体あまり日常的なこととは言えませんし、ましてや目を一定の視野に固定して保ったり、脳内で一定のリズムを流し続けたりすることなど、並大抵のことではありません。
これを克服することを、いわゆる「理論値慣れ」と呼ぶのかな?と、今ふわっと理解した気がしました。雑すぎる…………。
まぁたしかに、理論値というものに慣れている人が「ここさえ抜ければ後はいつも通りにやれば大丈夫になる」と考えるような箇所を実際に抜けた時に何を意識しているかといえば、やはり「普段通りの認識を保つこと」ではないかなと思います。
緊張しているときには目による認識・耳による認識ともに能力が低下します。それはもちろんそうなんですが、どちらの方がよりどうにもならないかといえば、圧倒的に耳による認識です。逆に言えば、目による認識は「普段通りを目指す」だけで幾分もマシになります。
基本的に、目による認識がダメになる理由のほとんどが「失敗を恐れると目線が下がる」ことにあります。そのため、普段光らせられている時の目線を保つことを忘れさえしなければ、かなり改善するはずです。
他方、耳による認識については、もはや緊張すると乱れることが当たり前とするべきで、特に正解より早まる方にブレやすいです。これについては、努めて落ち着くこと、普段から精度を高める意識を持っておくことぐらいしかやりようがありません。
上記の認識力の改善に打つべき策は、やはりこれも「下埋め」ということになるでしょう。
2分間ぶっ通しで、目線をしっかりと上げながら音をよく聞きながら、下位曲で理論値を出してみましょう。それによって成功体験を積めれば、適正レベルでの理論値の出し方が分かってくるようになるはずです。
おわりに
「精度」の意味するところと、「理論値狙い」が上手くいかない理由とその対策について、滔々と語ってきました。
まとめておきますが、僕自身の見解としては、「理論値狙いには複数回かかる」ということを前提にするならば、問題は精度よりも地力の不足にあると考えています。
そして、精度を高めることでその回数が減りうるのだということも述べました。
地力を高めるならば適正より上の譜面を満遍なく触ること、精度を高めるならば適正より下の譜面で感覚を掴むことが大切だということもお伝えしました。
適正を少し超える曲で理論値を出そうとする時は、やはり総じて地力不足がネックになるだろうと思います。ですが、精度を高めておくとそれに引っ張られるような形で地力が上がることがあるのも経験上事実です(譜面を捌く余裕はないが、理想の打鍵音に近付けようとすることで追いつけたりする)。今回はこの辺りの話をしそびれてしまった感があります。今後の課題ですね。
そういえば。
冒頭でこんなことを言いましたが、覚えておいででしょうか?
これ、色々と話を進めているうちに明らかになったかと思いますが、何が足りないって精度ですよね。つまり、耳による認識が疎かになりがちということです。思い当たる節がめちゃくちゃあります。
そういうわけなので、僕も下埋めやろうと思います。Sクリ意識しながら。
それでは、今回の記事は以上となります。お疲れ様でした。
理論値、出ると気持ちいいですからね。出せるようになるといいですね。
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