Rの軌跡 第九話「坂の上の高校」
合格発表の日。慣れない電車と永遠に続く坂道。同じ中学から受験したのは男子5名、女子3名の計8名。その中でも俺はダントツに成績が悪い。滑り止めの私立は合格しているが、これからこの高校に通うことになるのかどうか。運命の日。
正面玄関に多く広げられた合格者番号の列。心臓がバクバクしている。
俺の番号があった。
ほっと一息。合格者だけが並ぶことのできる列につく。心臓はまだ落ち着かない。
俺:奇跡だ奇跡。いや運命か。
僕の前には涼しい目のイケメン。後ろには目つきの悪い坊主頭。背が高くてちょっと怖い。この学校にもこういう奴っているんだ。そう思って一歩進もうとしたその時、
目つきの悪い坊主頭:おい、
俺:(あちゃー、初日からかよ。。)
目つきの悪い坊主頭:お前、ギターうまいんやってな?
俺:(は?何それ。どこからそんなこと)あ、ああ、まあ、
目つきの悪い坊主頭:俺T。俺とバンドでてっぺんとろうや。
俺:(まじか、やばいのきた、でもバンド?)あ、ああ、俺はF。T君もバンドやるんだ。
目つきの悪い坊主頭:おお。コブラとかガンズとかな。
俺:コブラ?は知らないけどガンズは分かるかな。スキッドロウとか好きだけど。
目つきの悪い坊主頭:ほんまか!俺もスキッドロウ好きやねん。18&LIFE最高やろ!
目つきは悪いけど彼の瞳はキラキラしていた。とても魅力的な笑顔を浮かべ子供のようにけらけらと笑う。
僕:あ、好き好き(なんだ、いいやつじゃん)
僕らが盛り上がっていると前に並んでいた涼しい目のイケメンがこっちを見ながら言った。
涼しい目のイケメン:俺もギター弾くけど。
俺と目つきの悪い坊主頭:おお!これは!
入学式が終わり、しばらくの間は学校生活に身体と心をなじませる。まだ部活動は始められない。だがもう入る部活は決まっている。軽音部。
どこで活動しているのかと校内を探索。
下足室に一番近い階段を2階から1階へ下りる。おりきったところでフロアタム(ドラムの一つ)を運ぶ、ヒョロガリモジャ頭の学生服が目に入った。
俺:あ!ドラム!君軽音部?
ヒョロガリモジャ頭:ん?ああ、軽音部だけど。
俺:俺、軽音部入りたいんだけど。
ヒョロガリモジャ頭:ふーん。でも止めといたほうがいいよ。ここの機材ボロボロだから。
俺:機材なんか学校に買ってもらえばいいじゃん。
ヒョロガリモジャ頭:ふん。おまえあほなん?そんなに簡単に学校サイドが動くわけないやん。
俺:(なにこいつムカつく)そんなもん分らんよ。やってみんと。ってか部室行くの?ついて行っていい?
ヒョロガリモジャ頭:これ(フロアタム)修理するだけだから。部活は明日集まるから、北館に部室あるから。
それだけ言ってヒョロガリモジャ頭は行ってしまった。何だあいつ。2年生とかかな。。
翌日、俺は彼が同級生だと知ることになる。何者だあいつは?
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