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年末のMISIAと乃木坂46

タイトルにあるように、年末の音楽番組に出演したMISIAと乃木坂46を比較して考えたことを書きます。今まで書いてきたノートのような情報は少なく個人の意見が多くなると思います。

このノートを書こうと思ったきっかけは、12月30日に第60回目の「輝く!レコード大賞」と12月31日に第69回目の「NHK紅白歌合戦」が終わった後にTwitterで両者のパフォーマンスについての発言が見られ、その中でもMISIAのパフォーマンスを賞賛しレコード大賞を取った乃木坂46に対する否定的な意見があったからです。

MISIAの歌唱力が乃木坂46よりもすぐれているのは明らかなのですが、乃木坂46のパフォーマンスにもファンがみればよく分かる意味が込められているので、MISIAのファンを含め乃木坂46に興味がない人にもわかるように書きたいと思います。

このノートを書くことで、全く違う楽しみ方をしていることを乃木坂46のファン以外の人に理解してもらうことを目的にしています。



本編とは関係ないですが、一応書きます。

レコード大賞の権威は一部報道で報じられている買収疑惑によって完全に失墜していると考えています。優秀作品賞に選ばれている作品についても乃木坂46の「シンクロニシティ」を含め疑問をもっています。

一方蛇足になるかもしれませんが、レコード大賞が発足するきっかけになったアメリカのグラミー賞は一部ノミネート作品と受賞作品に時おり疑問は残りますがそれぞれの年を代表する作品を紹介することには成功していると思います。



ポイント
・他のミュージシャンとは違う楽しみ方がある
・他の(本格的な)音楽と全く別物と考えている


まずMISIAが披露した曲とパフォーマンスについて書きたいと思います。

MISIAは、レコード大賞では「逢いたくていま」と「アイノカタチ(feat.HIDE GReeeeN)」を、紅白歌合戦では「アイノカタチ(feat.HIDE GReeeeN)」と「つつみ込むように・・・」を披露しました。

「逢いたくていま」は作詞がMISIA、作曲が佐々木潤、編曲が弦一徹(落合徹也)で、「アイノカタチ(feat.HIDE GReeeeN)」は作詞作曲がGReeeeNで編曲が亀田誠治です。そして、「つつみ込むように・・・」は作詞作曲が島野聡で編曲が松井寛です。

紅白歌合戦では「つつみ込むように・・・」の時に3人バックダンサーがいましたが、レコード大賞の時にはストイックに歌のパフォーマンスをしていました。

紅白歌合戦でもバンドとオーケストラ演奏が行われていて、誰にでも分かるクオリティーの高いパフォーマンスが披露されました。Yahooの投票によると、MISIAは2018年の紅組で最も印象に残ったアーティストとして合計3881票中1438票を集めダントツの1位を獲得しています。


乃木坂46はレコード大賞で「インフルエンサー」と「シンクロニシティ」を、紅白歌合戦では「帰り道は遠回りしたくなる」を披露しました。

3曲とも作詞は秋元康で、「インフルエンサー」は作曲がすみだしんや編曲がAPAZZIで、「シンクロニシティ」の作編曲はシライシ紗トリです。そして、「帰り道は遠回りしたくなる」の作編曲は渡邉俊彦です。

レコード大賞ではオーケストラが演奏していましたが、MISIAとは違い紅白歌合戦では演奏はされませんでした。

また、歌唱についてもレコード大賞受賞後と1回目の「シンクロニシティ」があまりにも違うことが話題になっていました。

このような疑問が出ること自体他のアーティストに比べてパフォーマンスに欠点があるのは明確で、このことからレコード大賞を受賞する資格がそもそもないのではないかという意見も理解できます。


パフォーマンスの特徴について最も分かりやすい「帰り道は遠回りしたくなる」を例にとって説明します。

「帰り道は遠回りしたくなる」は乃木坂46のメンバーである西野七瀬さんの卒業シングルとされています。

西野七瀬さんは2012年の1枚目のシングルから参加している乃木坂46の1期生でセンター経験が最も多い屈指の人気メンバーです。

以前のノートに書いたのですが、乃木坂46の一番の魅力はメンバー同士の関係性であると考えています。乃木坂46の初期から活躍している西野さんにも当然メンバー同士の深い関係性ができています。その関係性が、曲の振り付けや歌詞に表れています。

最後のサビ前のブリッジ部分で[君と離れるのは悲しいけど大事な別れだ もっともっと広い世界知らなきゃいけない]という歌詞があるように、西野七瀬さんの乃木坂46からの卒業とこれからの活躍への期待が曲に込められています。

橋本奈々未さんの卒業シングルとなった「サヨナラの意味」やMr.Childrenの桜井和寿がカバーした「きっかけ」は似たような構造をもっていて、ファン投票でも1位と2位の人気を得ています。

紅白歌合戦で乃木坂46がパフォーマンスをしたのは後半の12曲目でした。

パフォーマンスの前に司会の広瀬すずが西野七瀬さんにとって最後の紅白になることと、お笑い芸人のバナナマンが西野さんの実家を訪ねコメントを貰っていたことを紹介します。

バナナマンは2011年から始まった「乃木坂って、どこ?」とその後継番組である「乃木坂工事中」の司会を務めています。

紅白歌合戦では、番組の中で様々な出来事を経て関係性が出来上がっている2人をインタビュアーとして起用し、パフォーマンスの途中からサプライズで会場に登場させるという演出がされました。これは明らかにファンなら知っている関係性を前提とした演出だといえます。


約2分30秒あるパフォーマンスの振り付けはCRE8BOYが行っていて、西野さんの卒業を意識した意味が込められています。

曲の冒頭、西野さんだけが正面を向いていて少し後方にいる他のメンバーが後ろを向いています。そして、中心メンバーの自分が卒業しても別れを悲しまないでこれからの活動を応援するかのように、西野さんはメンバーに近づき全員一斉に前を向いてダンスを始めます。

そして曲の終盤で、同じ1期生の秋元真夏さんと見つめあいながら踊って周りがそれを見守るという振り付けがあります。

真夏さんのポジションは若月佑美さんが担当していましたが、2018年の11月で卒業したため代役が立てられています。西野さんと真夏さんは活動の初期にわだかまりがあって、2014年に行われたライブで関係性が回復し現在では信頼し合っているという経緯があります。

本来であれば、若月さんの代役のポジションを任されているのは非選抜=アンダーだった中田花奈さんなのですが、上記の意味を込めるためにポジションが変えられたのだと思います。

最後に、ステージの前方には22枚目シングルの選抜メンバーがいてパフォーマンスをしているのですが、後方の階段の上にはアンダーメンバーがいます。

曲のクライマックスでは、選抜メンバーだけでなくアンダーメンバーも前方に移動して西野さんの卒業を祝福するかのように花道を作り花道の中央で西野さんが踊ります。曲が終わった後、卒業式の集合写真を撮るかのように西野さんの周りにメンバー全員が集まります。

以上のように乃木坂46のパフォーマンスにはファン以外にはわからない様々な意味が込められています。



次に乃木坂46の音楽それ自体と今回の場合のMISIAのような他の音楽をどう捉えているかを書きます。ここから個人的な意見が増えると思います。

乃木坂46の音楽については好きな曲は多いけれど音楽的に優れているとは思わないというのが基本的な意見です。曲それ自体というよりも歌詞に込められている意味や曲ごとにメンバーがどう関わっているのか、そしてライブでどう盛り上がるのかに曲の焦点が当てられていると思います。

今回のノートを書くにあたりMISIAの音楽を聴いてみたところ、スタジオアルバムは当然ライブアルバムやREMIXのアルバムも発表していて音楽的な幅がとても広くオーセンティックな作品が多いと感じました。

今最も興味がある音楽のジャンルは以前のノートにも書いたようなアメリカのラップです。最近になって音楽的な進化はあまり見られなくなったのですが、ドレイクやカニエ・ウエストといったラッパーがとてもユニークな挑戦を行っています。

興味がある人は2016年ぐらいからさかのぼってラップのヒット曲を聞いてみると現在までの流れがよくわかると思います。

日本の音楽については、MISIAの「アイノカタチ(feat.HIDE GReeeeN)」の編曲を担当されている亀田誠治が手がけた初期の椎名林檎の作品はよく聞いていて以前のノートに書いたように去年のライブにも何回も行きました。

そして「逢いたくていま」の編曲をしている弦一徹が一部の楽曲に参加しているaikoも好きでライブにも行きました。

以上のことから、MISIAとのつながりのあるプロデューサーの作品も聴いていて他のジャンルにも興味があることがわかると思います。


結論としては、MISIAのパフォーマンスはそれ自体で成立している圧倒的なものであって乃木坂46のパフォーマンスはファンには分かる意味が込められているということと、乃木坂46の音楽だけを無条件に好きなわけではなくMISIAと繋がりがあるような作品や他のジャンルにも興味をもっているということです。



冒頭に書いたように、今回のノートを書こうと思った動機はMISIAのファンと乃木坂46のファンを分離しようとする一部の人の意見を目にしたからでした。今回のノートで表現したかったのは、それぞれの楽しみ方は全く違うので両者を好きになることは可能ではないかということです。

しかし、このノートを読んでも全く意味がわからない人や言いたいことはわかっても自分には関係ないと思う人の方が多いと思います。その証拠に、前述の通り2018年紅白歌合戦の紅組で最も印象に残ったアーティストの投票でMISIAが1438票を集めているのに比べ乃木坂46は127票でした。3日間で18万人を動員するライブを行っていても、全国的に見たら楽しみ方を理解しているのはほんの一部だということがわかります。 

一般的な音楽ファンに向けて、今までとは違う楽しみ方を少しでも知ってもらい理解を深めてもらったらこのノートを書いた目的は達成されたと思います。




MISIAの「眠れぬ夜は君のせい」を聴きながら