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S村女史との旅⑥ はるばる来たぜ知床編

そもそもなぜ知床なのか、といえばS村さんが「ヒグマが見たい人」だからに他ならない。

知床が世界遺産だからとか美しい景色が見たいってわけではないのだ。S村さんは常に「熊出没情報」Twitterを追い各地の熊出没情報をチェックしている。職場で世間話をしたなにかの折に「私クマが好きなもんで」と言われた時は、すっかり「テディベア」とか「リラックマ」なんだろうと思っていた。まさかリアルな熊、しかもヒグマとは。
紋別からのドライブは途中休憩を挟みつつ、ほぼ直線。海沿いを走る。

斜里町・チャシコツ崎にある亀岩。どっから見ても亀。

知床五湖をトレッキングする予定なのだが、まずは知床自然センターでレンタカーを置いて、そこから先は専用のバスになる。たやすく外来種を持ち込まない為の手段。翼よ、ここが知床自然センターだ。

綺麗だ。さすが世界遺産登録。オシャレなカフェと使いやすいトイレ。ショップのお土産もデザイン性が高くどれも欲しくなる。アウトドアブランド、mont-bellショップも併設。私はショップでお土産にクマさん柄の軍手やらかわいいカップなど購入。そしてS村さんは。

ヒグマ遭遇回避と遭遇時の対応マニュアル第2版

さり気なく置いてあったこの本を見つけ、「第1版は置いてないですね〜」と少し残念そうにしていたがS村さんは即購入した。

専用のバスに乗り早速知床五湖へ移動。トレッキングの前には指導員さんからスライドを混じえ、自然保護とヒグマ遭遇回避と遭遇時の対応の、20分のレクチャーを受ける。一緒に回る人は少なく、6、7名ほどだったかな。「ヒグマはとにかく嗅覚がすごいので、たとえパッケージの中に入っていても飴の匂いを嗅ぎつけて人に近付いてきます。お菓子の袋などありましたら未開封のものでも預けて下さい。こちらにお願いします」と回収される。「もしトレッキング中にヒグマを見つけたらそのまま引き返して、後続の人にもそれを伝えて一緒に戻ってください」と脅される。
トレッキングコースに出る前には備え付けの泥取りブラシで靴裏を掃いてから出るよう指示を受ける。靴裏に付着した外来種の種などを持ち込まないためだ。「ではいってらっしゃ~い」と指導員のお姉さんに笑顔で送り出され、いざ!周回3キロの全行程のコースへ。
先頭を切ってS村さんは歩き出した。

見たことのない植物や木の生え方にイチイチ気を取られる私。早速道端に見たことのない赤いキノコを発見してスマホで撮ろうと取り出しながら「S村さん見て見て〜、キレイなキノコが…」と顔を上げると…S村さんはすでにはるか前方。速い!速すぎる!!
私はキノコを撮ることを諦め、速足で追いかけた。なぜそうも急ぐのだ?!

さんこ
よんこ
ごこ

と、人を喰ったような名前の知床五湖なのである。ビュースポットは少し広くスペースを取ってあり、撮影する人はゆっくり立ち止まってカメラに収めることが出来る。私はトレッキング中、S村さんに直線で離され、そしてビュースポットで追いつく、を繰り返した。

続く。

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