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2024/06/23(ミュンスター:26日目)

 11時を少しすぎたころ、長めの朝をベッドの上で過ごしてからゆっくりとした1日が始まる。音楽を流しながら机に向かうのが好きだ。勉強をしてもいいしエッセイなんかを読むのもいい、ネットサーフィンに興じるのもいい。(ネットサーフィンは朝のうちか夜更け過ぎにするのに限る。それ以外は心が暗くなってしまうからいけない。)要するに何をしてもいい。MacBookのスピーカーから小さな音量でSpotifyのお気に入りのプレイリストをシャッフル再生する。 そこで一曲でもグッとくるようなものが聞けたなら、その1日はもうこっちのものだ。
 自転車を10分ほど走らせたところにあるカフェで友人に向けた手紙を書く。今までの人生で手紙を書くという経験に恵まれたことがなく、理想の手紙像のようなものもないので完全に我流で書く。別に友人への手紙の書き方に形式も何もないのだけど、なんとなく調子っぱずれなレイアウトで間を埋めていっている気がしてならない。まあこんなもんかと言うところで切り上げ、顔を上げると自分の他に若者が一人もいないことに気がつく。そして初夏の日差しが降るなか、ホットコーヒーを飲んでいるのが自分一人だけということにも。どこか遠い世界に来てしまったような気分になる。
 果てしなく続くかのように思える真昼の陽の下で家族連れが芝生に寝転がって本を読んだり、アベックが語り合ったりしている。思わず気後れしてしまいそうになるくらい、明るく爽やかな日差しのもとで人生の途方無さについて考える。


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