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2024/08/17(ミュンスター:58日目~最終日)

 ミュンスター。悪くない街だった。短い雨が思い出したように降っては止み、気温は他のドイツの都市に比べて低め。旧市街の中心部にややトゥーマッチな大聖堂を据え、毎週水曜と土曜はマーケットで賑わう。人々は比較的標準的なドイツ語を話し、(他の都市の人々と同じように)テラスでの食事を好み、そして自転車を主な交通手段としている。特にこれといった観光名所はないがその分過剰に観光化することなく、地元の住民も住み良くなっている。
 ここには2ヶ月半住んだが、ライプツィヒという東ドイツの街に引っ越すことにした。学校の授業が満期を迎えたのとホームステイでの生活にややうんざりしたからだ。ホームマザーのアネットはいい人だった。しかしアジアとドイツの文化間には埋め難い溝があり、それはいくつかの軋轢を産むことになった。しかしその度に我々は粘り強く話し合いを繰り返し、時に大声を張り上げながらもお互いの文化の理解に努め、その結果、そこに文化の差異とその受容という問題があることを発見しそれらを400字詰め原稿用紙67枚にまとめた論文をマサチューセッツ工科大学に提出するところまで漕ぎ着けた。
まあそんなものは冗談なんですが、いくらかソリの合わないところがあったものの最終的にハグなどして、とてもいい別れ方だった。
 そして猫のミーツユー。彼女の外に出せ、飯をよこせ、構え。というバリエーションを著しく欠いた鳴き声は今も俺の鼓膜に焼き付いている。猫アレルギーを抱えてこの世に生を受けて以来、この人生で猫に郷愁を感じることになるとは思わなかったが、実際にそうなのである。
 学校の友人たち。トニー、ツェナ、フェリックス、ラミ、モハメド、グアシュ、ハリス…。特にハリスにはよく世話になった。同じアジア人ということもあり何かと気にかけてくれた。彼とはまたどこかで会うかもしれない。
 気に入りのカフェとセカンドハンドの店、場所がいくつかできた街だ。またくることもあるでしょう。みなさん、どうかお元気で。

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