2024/06/26(ミュンスター:29日目)
お昼に湖沿いにある学生食堂に行った。ずっとスーパーのパンを気に入って毎日食べていたけど、さすがに食べ飽きた。
食堂のシステムは日本の大学のものと同じように、セルフサービスの形式になっている。日替わりの肉類・麺類のメニューがありサラダバーの種類が結構充実していた。値段が安くて味は想像していたより悪くなかった。僕が昼食に求めるクオリティははっきり言って全然高くないので、十分満足できるレベルだった。味の雰囲気は機内食によく似ていた。機内食は好きだ。
昼食を終えると街を少し外れたところにあるセカンドハンドの倉庫に行った。外観は豆腐のような長方形の建物が地面にでんと立っているだけの愛想がないものだったけど、中に入ると生活雑貨や家具、衣服などかなりたくさんの古物が陳列されていてなかなか面白そうなものに思えた。全体的な物量は多く魅力的な光景ではあったけれど、一つ一つに目を凝らして見てみるとそれらは急に輝きを失ってしまうように思えた。結局、何も買うことはなくそこを出て、家に帰った。
軽く夕食を作って食べてから、街の中心部近くにある室内プールに行った。3レーンの25メートルプールが一つとジャクジーが一つ、温水のこじんまりしたプールが一つとオーソドックスなもので22時まで空いている。
身体をひんやりした水に浸し、ゆっくりと背泳ぎをする。ガラス張りなので気持ちのいい夕方の日光が入ってくる。日光は最も強かった時の勢いを緩め、夕焼けまでの時間をてろてろと待っている。高い天井を見ながら泳いでいると「かもめ食堂」の時の小林聡美を思い出した。プールについて作中では一切言及がなかったけど、彼女にとってプールで身体を水に浸すという行為は重要な意味を持っているように見えた。人は背泳ぎをすると基本的には水流の音しか耳に入らなくなる。そうすると、どうしても静かな気持ちになる。静かな気持ちになると、今度は自分の中で鳴っている音がよく聞こえてくるようになる。それは日常の中では聞き逃していた言葉たちであり感情であったりする。ヘルシンキの小さなプールでの背泳ぎを大切にしていた彼女の気持ちが今はわかる気がする。
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