モンテ・クリスト伯/Gran Cantante!!@星組梅田芸術劇場

ありちゃんをお迎えしての初めての星組公演です。
個人的には想像していた以上に星組暁千星様が素敵で、星組の楽しみがまた1つ増えました。バチバチに熱いショーが観たい。超観たい。

モンテ・クリスト伯

初演も観ているんですが、こんな感じだったっけ…?というのが観劇直後の印象でした。
記憶に残っている範囲で大きく変わっているところってストーリーテラーが謎の現代っ子集団からルイジ・ヴァンパ&ベルツッチオになったところくらいだと思うんですが、特にエドモンが監獄から脱出してルイジ・ヴァンパの船に拾われるあたりまでの前半部分が怒涛の説明ゼリフで場面がぶつ切りに感じられて、観ていて少し疲れを感じるレベルでした。
ただ、個人的にこの作品の好きなシーンって後半のエルミーヌ&エロイーズの暴露シーンとエドモンとメルセデスの一騎打ちなので、単にそれ以外の自分の記憶が飛んでるだけかもしれません。

ストーリーテラーをルイジ・ヴァンパとベルツッチオが担ったことで、役同士のバランスもちょっと変わったように思います。
初演時はエドモン・ダンテス対他で、悪役組も海賊組もなんならメルセデスまで含めてエドモン以外は皆横並びで(だからこそ役がいっぱいある楽しさもありました)したが、今回はルイジ・ヴァンパとベルツッチオの出番と台詞がかなり増えているので、相対的に悪役組の出番が少ないように感じられて、作品における比重が下がった印象を受けました。
だからといってルイジ・ヴァンパとベルツッチオのキャラクターや2人とエドモンとの関係性が掘り下げられているかというと、増えている部分はほぼあらすじ説明なので、特にそういうわけではないというのは残念だったり。。。

こんな感想から書いてしまいましたが、キャラクターを楽しむという点では楽しい作品です。

エドモン・ダンテス@礼真琴さんはとにかく歌が雄弁で、中でも「私から憎しみを奪うな」のそれまで内に渦巻いていた感情が一気に爆発するような迫力ある歌声が最高でした。メルセデスにアルベールとの決闘を止めるように懇願されるシーンで、まだメルセデスを愛していることが伝わってくるお芝居も好きです。アルベールとの決闘で死ぬことを告げるときの納得したような、肩の荷が降りたような静かで落ち着いた表情が印象深いです。
たまたま私が観た回のラストシーン、エドモンのボタンにメルセデスの髪の毛が引っかかってしまって2人でくっつきながら後ろ向いて一生懸命解いてる雰囲気がめちゃくちゃ微笑ましかったですね。ルイジ・ヴァンパとか手伝ってるのか応援しているのか囃し立てているのかって感じでした。
ラストシーン、ことちゃんのエドモンはまずメルセデスとの愛が何よりも大きそうで、2人の幸福感が全面に伝わってきて素敵でした。

メルセデス@舞空瞳さん、強さと弱さを併せ持つメルセデスがとても良かったです。濃い色味の大人っぽいドレス姿も美しくてお似合いでした。お芝居は何より決闘の中止をエドモンに求めるシーンで、必死さの中に芯の強さと母親としての愛情が存分に感じられてひっとんに釘付けでした。それだけでなく同時にエドモンへの愛もにじみ出ているところも好きで、星組のモンテ・クリスト伯はこのシーンのために観劇したと言っても過言ではないです。

エルミーヌ@音咲いつきさんとエロイーズ@都優奈さん。
いーちゃんエルミーヌは楚々とした雰囲気で美しくて大人しそうで、ダングラールはべた惚れだったんだろうなあと思います。対エルミーヌのときだけダングラールやたら気遣ってますしね、お母様抑えきれてないですが。
だからこそのあのなめらかな美しい声での暴露と指輪を外す姿のギャップが楽しくて楽しくて、開放感が良いです。
エロイーズの都優奈さん。代役発表の時にこれは観てみたい!と思いましたが、安定の上手さでしっかり仕上げられていらっしゃってさすがでした。
ただエロイーズの役柄からすると個人的には大人しすぎるように感じられて(純矢ちとせさんの印象が強すぎるのもあり)、ちょっと物足りなさがありました。実力がある娘役さんだと思うので、もっともっと弾ける姿が観てみたいです。

そしてくらっちのエロイーズも心底観たい。くらっちってお芝居の上手さに加えて存在感とかインパクトがすごくあるので、エロイーズをどんな風に魅せてくれるのか考えただけでワクワクします。しっかり休まれて、1日も早く復帰されることを祈っています。もう全ツのチケット持ってないんですけどね。。。

エデ姫@詩ちづるさん、シンシア@彩園ひなさんのお2人も目を引いて可愛かったです。エキゾチックな衣装がお似合いでした。

悪役3人はキャラクターは三者三様ではっきりしてましたが、中でも瀬央さんのフェルナンは男前な見た目と内面のゲスさの落差が大きくてさすがの存在感です。メルセデスにエドモンが死んだと嘘を告げるときの狂気じみた笑いといったらもう憎らしい通り越して得体の知れない怖さがありました。
ルイジ・ヴァンパ@天華えまくんとベルツッチオ@暁千星さんはキャラの濃さに加えて掛け合いがうまくて、登場するとぐっと引き込まれます。ベルツッチオの真っ直ぐな言葉からエドモンへの思いやりが伝わってくるありちゃんのお芝居が良かったです。(肝心なところでダンテス!って呼びかけてて、なんか距離感がよくわからなかったりするんですが脚本)

あとは、密輸船のアドリブが回ごとに違っていてくすっと笑えるのが楽しいです。

最後に。日本語の感覚が相変わらず石田先生と合いません。なんでその言葉/表現選んだ?みたいなのが今回もちらほらありました。

Gran Cantante!!

やっぱり好きです、このショー。
本公演も好きでしたが、今回の全ツ版もすごく良かったです。何度でも観たいです。

この公演だけでもありちゃんのショースターぶりを存分に見せつけられました。ダンスも歌も上手くてスタイルがいい。
バチバチのダンスコンビのことなこ率いる星組にありちゃんがどんな化学反応を起こすのか、期待が膨らみます。

ことなこと言えば、今回のグランカンタンテのペアのスチールがいかにもことなこ!という感じで最高でした。脚!そしてスタイリッシュでクールな雰囲気。堪りません。

本公演の美穂圭子さんの歌を色んな娘役さんが担っていらっしゃったのも全ツならではの楽しみです。特に紫りらちゃんが大活躍で、中詰のことちゃんとの同期デュエット(くらっちの代役かも)は歌ウマ同士で聴き応えがありました。

印象的な場面はボニータ。この場面だけでショーいくらでもリピートできそうなくらい本公演から大好きな場面です。
はるこさんパートを彩園ひなちゃんが踊ったのですが、いかにも楽しそうなのが伝わってくる軽やかなダンスが素敵でした。目鼻立ちがはっきりした美人さんで、大人っぽい雰囲気をまとっていて目を引きました。

あと衝撃だったのが中詰の瞳の中の宝石。
直前までてっきり白いドレスでスタンバっているのはひっとんだと思いこんでて、ダンスが始まるまでどなたか気づかなかったんです。
はじまったらありちゃんでびっくり。
いや、私が観たいのはそっち(女装)じゃない。
誤解のないように書いておきますが、ありちゃんの女装自体がどうって話じゃないです。特に白いドレスで強調された体のラインの美しさは見事で、オペラグラスでじっくり観てしまいました。
せっかくことちゃんとありちゃんがダンスで組むならがっつり男役同士のダンスが観たかった…! マタドールとかいいじゃん!絶対かっこよくて見応えあるじゃん!
藤井先生の男役女装多用癖は知っていますが、せっかくの星組らしいラテンショーだからこそ、男役同士でぶつかり合うようなダンスが観たかった…と個人的には思います。

カーテンコールでは恒例のご当地出身者の紹介。皆さん舞台の前に勢いよく飛び出してくるのが新鮮で良かったです。
そして9/3から休演されていた紘希柚葉さんも復帰されて、ことちゃんもご挨拶の中で紘希さんとくらっちにも触れていらっしゃって、温かいムードが漂ってました。