Rain on Neptune@月組アンフィシアター

月組でごりごりのファンタジーが観たい。
というのが前回のロマンス劇場の時に抱いた夢だったんですが、あっという間に叶ってしまいました。しかも個人的に大注目の谷貴也先生で。
観終わったあとの満足感が心地良い、あ~楽しかった!と叫びたくなるような作品でした。

谷貴也先生的なキーワードは「約束」なのでしょうか。まだ元禄バロックロックとRain on Neptuneしか観てないので全然研究できていないのですが、谷貴也ワールドと呼べそうな確固たるファンタジーな世界観の中で描かれる約束を巡る人の物語は、心地よく、どこか愛しくもあり、心くすぐられます。

本編

Rain on Neptune、前半のストーリーパートはスピード感があって気持ちいいほどサクサク進んでアトラクションみたいな楽しさでした。大団円バンザイ。
強引だなあと感じる部分もありましたが、限られた時間で前提となる世界観から伏線まで一通り説明しきってその上で物語を描き切る勢いは清々しくて私は好きです。
また、パンフの谷先生のコメントから、この作品に、宝塚や観客、そして今に対しての色々な思いを詰め込んでくださったんだなということが分かってじーんときてしまいました。

今回の座席が舞台横側だったのですが、アンフィシアターの面白さを特に感じたのもストーリーパートでした。舞台正面からだと味わえないキャスト同士の距離感や奥行きが浮き彫りになって、普段とはまた違った臨場感があります。登場人物同士が向かい合って演じる場面でその表情の全てを観られるというのも、舞台横からだからこその贅沢でした。月城さんシャトーとうみちゃんネプチューンの互いへの表情がもう絶品で、それをがっつり観られただけでも座席に感謝してもしきれません。
照明も美しくて、舞台が輝いて見えたのも印象的でした。
もちろん、この場面は正面から観たい!という思いに駆られる場面もありましたが、アンフィならではを感じられたという意味でも楽しい作品でした。

シャトー・ド・カロー♦@月城かなとさん
美。ただでさえお美しい月城さんにSF属性を付加した結果がこうなるんだと目の当たりにしてもう言葉が出ません。ひたすら格好いい。
月城さんの真摯なお芝居がとても素敵で、達観した大人の男性でも少年のようでもあるミステリアスなシャトーの、ネプチューンに対する熱く真っ直ぐな思いが強く強く感じられて、全てを持っていかれます。終盤の場面でネプチューンに向ける月城さんの表情がたまたまよく見える席だったのですが、その時の信頼や切なさや色々な感情が感じられるような強い眼差しが忘れられません。
75分というあっという間でもっと観たいと思うくらいでしたが、観たかった月城かなとさんが詰まったシャトーを心の底から堪能させていただきました。

ネプチューン@海乃美月さん
まずビジュアルが好みど真ん中で直球で撃ち抜かれました。うみちゃんの大人っぽい美しさが最大限に引き出されていたと感じます。
登場シーンは人形のように整った静かで硬質なネプチューンの表情が、シャトーとの関わりを通じてどんどんほぐれて感情が溢れていく様子が何よりも雄弁にネプチューンの心情を表していて、その過程のお芝居まで含めて美しくもあり可愛くもあり、もううみちゃんから目が離せませんでした。特にうみちゃんは目で訴えるものがすごく大きくて、ぐっと心を掴まれます。
そしてお衣装も冠をはじめとしたアクセサリーもアイシャドウも(アイシャドウは月城さんも)全部光を受けるとキラキラ輝いていて、舞台の上に立つうみちゃん自身が光を放っているようでその美しさに息を飲むことが何度もありました。

トリトン@鳳月杏さん
あの口ひげでコメディ要員じゃなく、カッコよくてダークな部分も感じさせるちなつさん、何者ですか。
全編通して紳士的なのに、あの世界観の中でも飛んでいると感じさせるエキセントリックさを確実に匂わせてくるのがさすがです。それも含めてカッコいい。トリトンは歌も良くて、ノリの良さに楽しくなります。

ネプチューンはトリトンの妻だったときの記憶を持っている描写が一瞬有りましたが、最後にネプチューンを娘とだけ呼んでシャトーに託したトリトンは、ネプチューンは妻ではないと吹っ切ったんでしょうか。トリトンにとっての妻であり娘、シャトーにとっての初恋の人の影を全て背負うネプチューンがこれからどのような自分を見つけ、トリトンとシャトーの間でどのように生きるのかちょっと気になりますが、ハッピーエンド爆走作品なので勢いに任せて楽しみました。

クール♥@彩みちるさん
クールの後ろ姿が髪型からアクセサリーからキャラクターとして完璧で、登場シーンで舐め回すように観てしまいました。後ろ姿がよく見える席だったんで私悪くないです。
アンドロイド女の子でしっかり者で強くてシャトーのことが好きでっていういかにもな設定が盛りに盛られたクールですが、アニメ的な可愛さがみちるちゃんにすごく似合ってて、ビジュアルもお芝居もとんでもなく可愛かったです。
劇場では全く気づかず配信で知ったんですが、若干ですが声が機械音っぽく加工されてたんですね。並々ならぬ(多分演出家の)こだわりを感じます。誤解だったらすみません。

下級生まで役がついてて、しかも全員キャラクターに合わせてこれでもかとビジュアルを作り込んでいるので本当に目が楽しい作品でした。一人ひとり衣装やかつらやお化粧を細部まで見たいくらいです。

フィナーレ

続いてショーパートです。片っ端から美味しいものをひたすら詰め込みました!みたいなショーで私はすごくすごく楽しかったです。

最初のOver the Rainbowは宝塚の王道のような端正なシーンで歌もダンスもうっとりしました。
ディズニーメドレーはウキウキします。うみちゃんが力強く歌い上げていたHow Far I'll Goが特に印象的でした。

で、この後です。
宝塚でアニソンメドレーをこんなにがっつりやっていいの!?って初見でびっくりしてたら、メドレーが終わったあとに月城さんがさらっと「スペースメドレー」とご紹介されていて、、、何というか、モノは言いようというか、オタクが制作側に立つとこういうことができるのかと感心したというか。選曲どなたかわからないですし趣味ってわけでもないかもしれないんですが。でも偶然でこの選曲にはならないと思うんです谷先生。

いやあ超楽しかったです。何ならショーパートの中で一番興奮しました。
特に90年代以前のアニソンって派手でカッコいいので、宝塚のキメッキメなショーとの相性が非常に良くて相乗効果が生まれてました。
宇宙戦艦ヤマトはカッコつけた男役の群舞がかっこよかったですし、コブラは白河りりちゃんのセクシーで伸びやかな歌声が素敵でした。

乙女のポリシー~ムーンライト伝説は、そもそも私はセーラームーンを見て育って今でもずっと好きな作品なので、好き(宝塚)×好き(セーラームーン)っていうまさに夢の時間でした。
乙女のポリシーは皆可愛すぎてオペラグラスをいったりきたりさせて見てたせいでめちゃくちゃ忙しかったです。月娘を率いて月組のお姫様うみちゃんが可愛く踊る乙女のポリシーbyみちるちゃんってなんのご褒美でしょうか。好き。
そしてムーンライト伝説です。まず、宝塚のトップコンビのデュエットソングとして最高かつ完璧です。歌詞の一節一節ごとにこれは2人のことを歌っているのでは!?となります。
その上れいこさんの甘く格好いい歌声と優しく澄んだうみちゃんの歌声のハーモニーと息ぴったりのダンスです。視線を交わして歌い踊るトップコンビがとにかくロマンティックで、素晴らしいシーンでした。まだまだ観足りないので何回も観たいです。

ここまででもう息も絶え絶えになっているんですが、ここでブレイクのトークコーナーです。劇場と配信で1回ずつ拝見したのですが、月城さんがすごく月組生から慕われているんだなあということをしみじみ感じました。皆さんの月城さんを語る言葉が暖かく、優しく、憧れが詰まっていて、いい雰囲気だなと思います。
あと、月娘さん(男役もですが)は下級生までめちゃめちゃしっかり話されますね。結構こういうトークコーナーって下級生ほど緊張と興奮でしっちゃかめっちゃかになっていたりする印象があるのですが、すごくはっきりしっかり熱のこもった自分の言葉で語っているのがすごかったです。

ここから最後までが宝塚メドレーです。海外ミュージカルからの選曲も多くてとにかく華やかで聴き応えのあるメドレーでした。
何よりやっぱり御庭番衆の最強という~がまた聞くことが出来たのが嬉しいです。事前に知っていたので今か今かと待っていたんですが、もう前奏から楽しすぎました。二刀流を引き抜く瞬間とか特に好きです。
ル・ポアゾンやアパショナードのショーナンバーも見応えがありました。

Rain on Neptune、最初から最後まで夢が詰まっていてとても楽しかったです。改めて、宝塚にパワーを貰って生きていると思いました。


ところで上にも書いた通り、今回のうみちゃんのビジュアルが好みど真ん中だったのでシャトーとネプチューンのアナザーショットを期待してパンフレットを買ったんです。そしたら、ページをめくってもめくっても月城さんしか写ってなくて笑いました。
お目当ては残念ながらなかったですが、月城さんシャトーの暴力的な美貌をこれでもかと堪能させてくれるパンフレットもといシャトー写真集の超コスパにびっくりです。いつまでも眺めていられそうです。