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新加入選手紹介:永石拓海 大学No.1の意地を見せろ

高校生の頃から年代別代表に呼ばれ、高校卒業時にはJリーグのクラブからのオファーも届いた。

大学進学後も年代別代表に呼ばれ、大学サッカー界のトップとまで言われたGKがプロ入り後非常に苦しんでいる。

永石拓海。セレッソ大阪から期限付き移籍でアビスパ福岡に加入したGKだ。

慣れ親しんだ土地で迎える今年は、本当の意味で勝負の年になる。
もしかすると、誰よりも覚悟を持ってアビスパへやってくるかもしれない。

その覚悟が結果に繋がることを信じて、厳しくも期待を込めて記す。

小学校からプロ入りまで

日本三天神にも数えられる防府天満宮が有名な地、山口県防府市で永石は産まれた。そして地元の牟礼FCでサッカーを始める。

GKになったきっかけが変わっている。
小学校2年生の頃、熱性けいれんを起こし運動してはダメだと言われてしまう。そこで言うことを聞いて素直にやめていたら、今の永石はなかった。

しかし永石少年はGKなら動かなくていいだろうと考え、GKになったのだ。
それがプロにまで進むきっかけとなるのだから人生は面白い。

その後は地元の防府市立国府中学校へと進み、今年の全国高校サッカー選手権にも出場した高川学園高校へ進学。

ちなみに高川学園高校は以前は多々良学園高校という学校名であり、アビスパやベガルタ仙台などでプレーした中原貴之、大分トリニータなどでプレーした高松大樹などの出身校でもある。

この地で評価を高めた永石は2013年にU-17日本代表へと招集され、UAE遠征や新潟国際に参加。

これらの活躍によりJリーグのクラブからオファーも届いた。が、このままプロになると半端なままで終わってしまう、メンタル的にも技術的にもまだまだ未熟だと感じ、大学進学を選択する。

そして九州屈指の強豪、福岡大学へと進学。
1年生の頃から出場機会を掴むと、2014、16、17年には全日本大学選抜、2017年にはユニバーシアード日本代表にも招集された。
ちなみにこのユニバーシアードには宮と重廣も招集されているため、今季同じチームでプレーできることはお互い心強いはずだ。

この過程で2015年の7月にはサガン鳥栖に特別指定選手として登録され練習に参加している(この時は特別指定=内定ではない)。

2017年5月16日、セレッソ大阪に内定したことが発表され、26日には特別指定選手に承認された。

実際にプロの選手になるまで約1年。永石はこの間にさらなるレベルアップを狙った。この頃のJリーグでは韓国人GKがブームであり、卒論のテーマを「なぜここまで日本人GKがJリーグで試合に出られないのか」というものに。
その分析データを、自分のプレーに転換させようとしていた。

セレッソ大阪を選んだのも、絶対的な守護神である韓国代表のキム・ジンヒョン選手と真っ向から戦って超えたいという想いがあったからだ。

プロ入り、そして誤算

2018年、正式にセレッソ大阪に入団。与えられた背番号は、1年目ながら「1」。クラブから非常に大きな期待を寄せられていた証拠だろう。

この年はJ3に参加していたセレッソ大阪U-23で11試合に出場。トップチームでの出場はならなかったが着実な一歩を踏み出した。

翌年、1月7日にレノファ山口FCへの育成型期限付き移籍が発表される。J2の舞台で多くの試合経験を積むことが期待されてことだったのだろう。しかし、この年はとことん怪我に泣かされることになってしまう。

加入直後の1月18日に左膝後十字靭帯を損傷し長期離脱を強いられると、ようやく復帰してきた9月には右大腿四頭筋の肉離れで再び4週間ほど離脱。

結局、1試合も出場することなくセレッソ大阪へ復帰となってしまったのである。

セレッソで挑むこととなった2020シーズンは、大きく山あり谷ありを繰り返しながら歩みを進めた1年。

3月に入籍し私生活で幸せを掴んだが、4月1日には新型コロナウイルスへ感染したことが発表され2週間ほど入院。
さらに、復帰した5月に以前から違和感があった箇所を手術した結果、右脛骨疲労骨折が判明し全治4ヶ月で長期離脱となってしまう。

それでも9月10日に第一子となる長男が誕生すると、この辺りから徐々に調子を上げていく。

セレッソ大阪U-23で5試合に出場するとともに、ベンチ外が続いていたJ1でもついに20試合でベンチ入り。キム・ジンヒョンからポジションを奪うまでには至らなかったが、2ndGKと呼べる位置まではい上がったシーズンだった。

しかし、冷静に現状を見ると絶対的な守護神がいる限り永石がプレーできる可能性は低く、さらにセレッソはベトナム代表のダン・バン・ラムの獲得にも迫っているとの報道もあった。

それらの事情もあってか、アビスパ福岡へ期限付き移籍することに。

今季の重要性

実戦経験の少なさゆえ不安の声もあるが、ポテンシャルは間違いない。

191cmと非常に恵まれた身長を持つ真面目な熱血漢は、ハイボールに強く試合経験を得ることで一気に開花する可能性は十分にある。

はっきり述べるが、恐らく今季が彼の今後のプロサッカー人生を大きく左右することになる。
セレッソで少しずつ立場を上げていったように地道な努力を惜しまず、訪れたチャンスを無我夢中で掴み取ること。

今季に向け、2年間アビスパの正GKを務めたセランテスが退団。
現状は村上が1stチョイスではあろうが、他の3人にとっても十分にチャンスのあるシーズンとなる。永石にとっては、チームの結果以上に自分自身の結果が求められるシーズンとなる。


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