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アビスパ福岡の強み。「出来ること・出来ないこと」を見極める力

ここまで9試合を戦って2勝3敗4分の勝ち点10で、消化試合数にズレがあるため暫定ではあるが20チーム中11位。
開幕前は降格候補筆頭に挙げられていたアビスパ福岡だったが、ここまで堅実に勝ち点を積み重ねることができている。

開幕直後の苦しみ

とはいえ最初から順調だったわけではなく、開幕直後はJ1のプレースピードに苦しみ前半での失点が続いた。
名古屋グランパスとの開幕戦では開始早々の4分に失点し敗れると、第2節の清水エスパルス戦でも12分に失点するなどし終了間際のサロモンソンのFKで同点に追い付くのが精一杯。
第3節の横浜F・マリノス戦も38分に失点し1-3で敗れるなど、降格圏にこそ入らなかったが開幕から3試合で2敗1分の勝ち点1。

昇格チームが残留するためのプランの1つである、スタートダッシュというものは叶わなかった。

徐々に上がる完成度

ところがここから、試合をこなす毎に徐々に完成度が上がっていく長谷部監督のチームらしさが発揮されていく。

第4節、昇格組同士の対戦となった徳島ヴォルティスとの一戦では開始直後に先制こそ許したものの、修正し後半の2得点で逆転勝利。

さらに第5節の鹿島アントラーズ戦では、鹿島のCBの退場があったとはいえ1-0で勝利。
J1では10年ぶりとなる2連勝を飾った。

その後の4試合でも勝ち星こそ挙げられていないが、昨年2位のガンバ大阪、4位のセレッソ大阪と引き分けるなど3分1敗と粘り強く戦えている。

出来ること・出来ないこと

そこにはもちろん様々な要因があるのだが、中でも選手が「出来ること・出来ないこと」をしっかりと認識し、出来ることを最大限表現できていることが大きいように思う。

長谷部アビスパの中での代表例を2つ挙げる。
こちらは去年からだが、主に左SHを務める石津大介。元々は相手の逆を取ることに長けているうえにある程度のスピードもあるドリブラーで、完全に攻撃に特徴を持つ選手だった。

ところが、一昨年に大怪我を負ってしまいスピードが低下。
昨季と今季を観る限り、自らの最大の武器であったドリブル突破は失われたとさえ言っていい。

しかし石津は、長谷部監督のもとで守備時のポジショニングを学び献身性が増したことで守備面が大幅に進化。昨季はJ1での経験が豊富な田邉や菊池というライバルを押し退け26試合に出場した。

田邉や新加入の金森らとしのぎを削る今季も、ここまでリーグ戦8試合に出場するなど戦術的に欠かせないピースとなっている。

ここまで守護神の座を掴んでいるGKの村上昌謙もそうだ。

セランテスが抜けた穴を埋めるべく開幕戦からゴールを守ったが、第2節の清水戦ではキャッチミスをし失点の原因となってしまう。
それでもここからの修正力こそが長谷部監督が率いるチームの真骨頂。

この試合以降は無理にキャッチに行かずにパンチングを選択するようになったことでミスが減り、元々の強みであったセーブが目立つことに。
これによって、開幕前は不安視されていたGK陣を引っ張る存在となっている。

それ以外にも、2018年にV・ファーレン長崎でJ1を経験したものの出場機会は0だった吉岡、開幕直後は判断のスピードでやや手こずったキャプテンの前などがJ1にアジャスト。

選手が自らの、そしてチームメイトの「出来ること・出来ないこと」を把握することで、チーム全体が「出来ること」を共有し最大限発揮して戦うことができている。

川崎フロンターレに対抗できるか

今日の相手は川崎フロンターレ。
今季もすでに首位に立っており、絶対的な王者と呼んで差し支えないだろう。

戦力差があることは認めざるを得ない。
各々の良さを組み合わせて戦えているアビスパが、この相手にどれだけ対抗することができるのか。

5年ぶりのJ1での現在地を測る、恰好の相手となる。
昨季アビスパでプレーしていたフロンターレの遠野、過去にフロンターレでプレーしていたアビスパの杉山や奈良など活躍を期しているであろう選手にも注目だ。


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