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第15節 アビスパ福岡vs湘南ベルマーレ レビュー[全文無料公開]

リーグ戦5連勝中のアビスパ福岡は、水曜日に行われたルヴァン杯・鳥栖戦にも勝利。良い雰囲気のなか、クラブ新記録をさらに伸ばすことができるのかに注目が集まっていた。

スタメン・ベンチメンバー

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アビスパ福岡は前節からのメンバー変更は1人。ジョンマリの位置に渡が入った。
ベンチにはクルークスが復帰。

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湘南ベルマーレもメンバー変更は1人。町野に代え、古巣戦となるウェリントンが加入後初スタメンとなった。

前半戦

試合の入りから、非常に勢いを持っていたのは湘南ベルマーレ。
シンプルながら左のハーフスペースや高橋・岡本という両サイドの選手を積極的に使い、クロスを上げていく。

3バックの真ん中でプレーする石原のロングボールの精度も高く、そこから両サイドへと一気に展開する形も多く見られた。

しかしクロスの精度を欠いたこと、ウェリントンがいたとはいえエリア内での高さ勝負ではアビスパが自由にやらせなかったことでベルマーレペースながら0-0で推移。

最初のビッグチャンスもやはりベルマーレ。17分、FKにFWタリクが飛び出したがここはミートできず。
前半の飲水タイムまでの大きなチャンスは、このFKぐらいだった。

アビスパとしても、ベルマーレのプレスに苦しんだことで普段以上に縦ばかりを狙い続け、幅を使えなかったことで攻撃が単調になってしまった。

左右に揺さぶり、最後は杉本がエリア内から速いクロスを入れた29分のシーンは可能性は感じたもののここもシュートには至らず。

ベルマーレは30分にタリクがアクシデントで交代。
しかし先制点が生まれたのはこの直後。

32分、アビスパのCKのこぼれ球に対し、ベルマーレが素早いプレス。これにアビスパが雑に蹴ってしまったことがきっかけとなり、その後の縦パスにベルマーレのMF名古が抜け出す。

この瞬間、後ろに残っていた前寛之はラインを上げオフサイドを取ろうとしたのだが、名古は斜めに動いたことで紙一重ながらもオンサイド。そのままGK村上との1対1も制し、ベルマーレが先制に成功した。

アビスパも36分にカウンターを狙ったが、ここはベルマーレの帰陣が速くカットされた。

それでも40分頃からアビスパがボールを握りアタッキングサードに入るシーンが増え、43分にはDF志知のクロスが岡本のハンドを誘いPKを奪取

同点にする絶好機だったが、FWブルーノ・メンデスのキックはGK谷が完全に読みセーブ
今季のJ1でも屈指のパフォーマンスを見せている谷の凄さを改めて感じる場面だった。

前半を終えて0-1。アビスパとしては久しぶりにリードされてハーフタイムを迎えることとなった。

後半戦

アビスパはFWフアンマとMFクルークスを投入し流れを変えようとしたが、後半も入り方が良かったのはベルマーレ。

53分には高橋が前線で前寛之からボールを奪い、途中出場の小林のパスにMF山田が決定的なシュートを放ったが、ここは枠の左。

ただ試合の入りから非常に勢いを持っていたベルマーレは少しずつ全体の切り替えが遅くなり、FWフアンマが前線でボールを収められることでアビスパの時間帯が増えていく。

62分にはクルークスが鋭いをクロス入れたが、ここはGK谷が適切な飛び出しからパンチング。

それでも65分だった。右サイドでMF田邉が倒され、アビスパはFKを獲得。
それほど良い位置ではなかったが、DFサロモンソンが蹴ったボールはDFとGKの間に向かい、DF2人に挟まれながらも身体がブレることのなかったFWメンデスの頭にピタリ

GK谷も防ぎようのないシュートがネットを揺らし、アビスパが同点に追い付いた。
メンデスとしては、前半にPKを失敗した悔しさを晴らすゴールとなった。

アビスパの勢いは止まらず、直後の67分にはMFクルークスのクロスからチャンスを迎えたがここはシュートは打てず。

70分には杉本がシュートし、ブロックされたがCKを獲得。71分、ここもサロモンソンが蹴ったボールにニアサイドで合わせたのはメンデス。
このシュートはGK谷が防いだが、こぼれ球に誰よりも素早く反応していたグローリが詰め、2-1。試合をひっくり返すことに成功した。

このまま飲水タイムに入り、結果を残したメンデスはここで交代。FW山岸が投入された。
ベルマーレも直後に3枚替えを行い、得点を目指していく。

77分、山岸の裏へのボールにクルークスが飛び出したが、GK谷がカット。

ベルマーレはウェリントンをターゲットにロングボールを入れる場面が増えるが、高さ勝負ならばアビスパのCBの得意とするところ。

アビスパは87分には共にDFの宮と湯澤を投入し、5バックにして逃げ切り体制に。

これに対してウェリントンは引いて受けようとする動きが増え、アビスパとしては怖さは減少した。

ベルマーレの最後のチャンスはアディショナルタイム4分。CKにGK谷も上がり、高橋の蹴ったボールにその谷が頭で合わせたが、これはミートし切れず。

セットプレー2発で逆転したアビスパ福岡が、2-1で6連勝を達成した。

90分間というもの1つの括りにした戦い方とマネジメントを敢行したアビスパ福岡と、試合の開始と共に勢いを持って、つまりは飛ばして入った湘南ベルマーレとの戦い方の違いが結果に現れた一戦だったと言えるだろう。

ベルマーレとしてはアクシデントで途中交代したタリクの状態が気になるが、ウェリントン・タリクという2トップだった時間帯は戦い方がはっきりしており、この戦い方が浮上のきっかけとなるかもしれない。

また、アビスパのサポーターとしてはエースストライカーだったウェリントンの相変わらずの身体の強さはもちろん、2019年にはアビスパに所属しSBが主戦場だった石原広教が、3バックの中央でカバーの速さとロングパスの精度を発揮できるようになっている姿を観られたこともこの試合の見所の1つだったと言えるだろう。


採点(及第点5.5)、寸評

GK村上昌謙  6.0   1失点はしたものの、久しぶりに目立つシーンは少なかった。勝利した試合でGKが目立たないというのはポジティブなこと。

DFエミル・サロモンソン  7.0  FKとCKで抜群のボールを供給。中でも同点ゴールに繋がったFKは、「ここしかない」というポイントを突いたものだった。

DF奈良竜樹    6.5  ウェリントンにボールを収められるシーンは多くややフラストレーションを溜めていたが、最後の場面では仕事をさせず。

DFドウグラス・グローリ  7.0    MOM。守備時の安定感に加え、誰よりも高い集中力から決勝点を奪った。

DF志知孝明  6.5  前半43分にはクロスでハンドを誘発、PK奪取に繋がった。守備時は相手との距離を詰めクロスを上げさせない守備を徹底。対人守備に自信があるからできること。

MF金森健志  5.5    攻守によく走ったが、主導権を握られた状況を打開できず。前半のみの出場となった。

MF前寛之    5.5  特に前半は相手のマークが厳しかったこともあり、ミスが多かった。失点時も、名古をオフサイドにしようとしたが失敗してしまった。

MF田邉草民    6.5  守備はもちろんのこと攻撃にもよく絡んだ。ポジションが違うとはいえ、やや試合から消えることもあった数年前の彼とはまるで別人だ。

MF杉本太郎    6.5    得点に絡むことは出来なかったが、巧みな技術を発揮。特に後半は横幅を極端に絞り、局地戦で優位に立つ原動力となった。

FWブルーノ・メンデス    6.5    前半にはPK失敗。しかしその悔しさをぶつけて後半には同点ゴールを決め、さらには決勝点に繋がるヘディングシュートを放った。

FW渡大生    5.5  ベルマーレはロングボールが多く、いつものようにプレスが効かず。前半アディショナルタイムの飛び出しのシーンは生かしたかった。

FWフアンマ・デルガド    6.0  後半開始から渡に代わり出場。やはり収める能力は非常に高い。また、5バックにしても前線の迫力があまり落ちないのは彼の存在が大きい。

MFジョルディ・クルークス    6.0    後半開始から金森に代わり出場。1度ボールを持つと取られることがほぼないため、味方が安心して上がることができる。クロスの鋭さも素晴らしかった。

FW山岸祐也    5.5   72分からメンデスに代わり出場。2トップの一角として、はたまた5バックに変更後は左サイドでプレー。今後は渡とのポジション争いとなるか。

DF湯澤聖人    採点なし    87分から志知に代わり出場。途中出場からでも常に堅実なプレーを見せてくれる。

DF宮大樹    採点なし  87分から杉本に代わり出場。彼がCBの3番手にいることは非常に心強いが、本人としてはレギュラー奪取を目指したいところだろう。

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※余談

 逆転したあとの88分のシーン。ベルマーレのシュートミスのボールがゴールラインを割ったのだが、GK村上はこのボールに向かってダッシュ。ボールパーソンからボールを受け取るよりも数秒多く消費するためだが、勝利の可能性を少しでも上げるための見事な動きだった。

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