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日本代表vsオマーンを観て、言わずにはいられなかったこと。

私は基本的には、森保監督に対して肯定的な意見を持っている。
厳密には、当時のJリーグで最も結果を出していた監督は間違いなく森保氏であったわけで、その彼で結果が出なければ批判どうこうというよりも『仕方がない。その場合は再び実績のある外国人監督を後任に据えるべきだ』と考えている。

オマーン戦に欠けていたこと

とはいえ、今日行われたカタールW杯最終予選の初戦。
ホームで行われたオマーン戦には苦言を呈さざるを得ない。

0-1で負けたこと以上に、内容においてもポジティブに観て五分五分だったこと、これがホームでの試合であったこと。
大きな不満を抱えながら90分間を観て、終わった直後には情けなささえ感じた。

ピッチで戦うのは選手達であり、もちろん1人1人に大きな責任がある。
だが、この試合においてはそれ以上に森保監督の采配に疑問を感じた。

個人的に好きなクラブの話を出して申し訳ないが、アビスパ福岡の長谷部監督が「適材適所」の選手起用で下馬評を覆すような結果を出していることと真逆に見えたのだ。

より具体的に言えば、コンディションの良い選手を、最も輝ける位置で、最もエネルギーを爆発させられるタイミングで起用する。
それが長谷部監督の起用法であり、オマーン戦の森保監督に欠けていた部分であった。

オマーン戦における選手起用の問題点

まず、この試合は欧州でプレーする選手達には非常に難しいものだった。
欧州の各リーグはシーズンが開幕したばかりで、選手のコンディションはまだまだ上がりきっていない。
そんな中で日本までの長い距離を移動し、短い準備期間で試合に臨まねばならない。
欧州組が増え続けている日本代表は、この時期の試合においてはこれらを考慮せねばならないのだ。

この点への対策としては、シーズン真っ只中でコンディションの良いJリーグ組や、Jリーグから海外へと移籍したばかりの選手達を招集しておくこと。

オマーン戦でいえば権田修一選手や古橋享梧選手が当てはまる。
清水エスパルスの権田選手は実際に安定したセーブを見せたし、ヴィッセル神戸からスコットランド1部・セルティックへと移籍し、9試合で7得点と荒稼ぎしている古橋選手もコンディションは良さそうに見えた。

だが、森保監督は1トップの位置に日本代表での実績が豊富な大迫勇也選手を選択。個人的には彼のポストプレーは日本代表の大きな武器と考えているし、大迫選手に対してどうこう言いたいわけではない。

単純に、今日の彼はコンディションが悪かった。
オマーンの選手がしっかりとマークに付いていたにしても、前半からボールを収めることが出来ていなかったことからも明らかだった。

古橋選手と反対に、シーズンの終わった欧州からヴィッセル神戸へと移籍したばかりの彼は現在コンディションを上げている途中であり、やむを得ないことである。

後半開始から古橋選手を起用するとなった際に、だから大迫選手に代えるのかと予想していた。
しかし古橋選手は原口選手と交代し、左サイドに配置された。

古橋選手は先日、セルティックでも左サイド、正確には左WGで起用されている。
そしてライバルであるレンジャーズに敗れ、試合後、元横浜F・マリノスの監督でもあるアンジェ・ポスコテコグルー監督は「彼をこのポジション(CF)でスタートさせるべきだったかもしれなかった」と認めた。

ただスピードがあるだけでなく、スペースへの入り方が抜群に上手い彼が最も輝くポジションは明らかにCFなのだ。

森保監督がレンジャーズ戦の出来事を知らないとは思えないが、それでも左サイドで起用。これは適材適所では到底なかった。

同じような起用法は、東京五輪の前田大然選手でも見られた。この時もやはり、結果は出ていない。

この試合に必要だったこと

お互いのことを把握しているはずの日本代表の常連がスタメンに名を連ねたにも関わらず、全体として低調な出来だったこと。
スタメンにJリーグ組は3名で、海外からJリーグへ移籍したばかりの酒井選手・大迫選手を除くとGKの権田選手のみだったこと。

これらは無関係ではない。
なにも、常にJリーグ組を積極的に起用せよと言っているのではない。
海外組のコンディションが上がっていないこの時期はJリーグ組を、Jリーグ組のコンディションが上がっていない時期は海外組を、積極的に起用するべきだと言いたいのだ。

あまりに単純だと思われるかもしれないが、これほど単純な話をする必要があるほどにオマーン戦が酷かったということ。

いくら力のある選手の集団であっても走れなければ、力を発揮出来なければ勝てるわけがない。

オマーン戦であればCFにはJリーグから移籍したばかりの古橋選手を起用し、加えてJリーグ組でかつ日本代表での経験もある選手、前の試合で負傷してしまったためあくまで例えであるが畠中槙之輔選手(横浜F・マリノス)などを数名招集しておき、海外組が合流してからあまり時間のないこの試合だけでも彼らを積極的に起用すべきではなかったか。

短い間隔だとはいえ、僅か2試合のために24名を招集している。その枠をフルに活用し、総力戦で挑むべきではなかっただろうか。


海外組が増えている一方で、Jリーグも着実に力をつけている。日本サッカーはもう1つ上の景色を現実的に目指せる、新たな局面に入りつつあると考えている。そんな状況だからこそ、森保監督には適材適所かつ柔軟な発想を期待したい。

次の相手は中国。
中国は帰化によって代表チームを補強しており、さらにアウェーでの試合となる。
間違いなくオマーン戦以上に難しいものになるだろうが、監督がコンディションの良い選手を積極的に起用し、選手達が期待に応え勝ち点3を持ち帰る。
そんな試合が観られることを期待している。

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