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第4節 徳島ヴォルティスvsアビスパ福岡 レビュー

昨季J2を引っ張り、しかし今季はどちらも未勝利。残留、そしてその上を目指すために勝利が欲しいアビスパ福岡と徳島ヴォルティスの6ポイントゲームは、お互いの勝利への執念を感じさせる試合となった。

スタメン・ベンチメンバー

GK村上、DFはサロモンソン、グローリ、宮、志知と守備陣は前節と変わらず。
しかしMFは金森、カウエ、前、石津と前節から2人を入れ替え。カウエは加入後初スタメンを飾った。
FWは当初、メンデスと山岸が名を連ねていたのだがメンデスにアクシデントがあり、急遽城後と山岸の2トップで挑むこととなった。

ベンチにはGK永石、DFグティエレス、DF湯澤、MF田邉、MF吉岡、MF重廣が入り、FWの控えがいない中での試合となる。

前半戦

強風が吹くなか、サイドを起点にあっさりと先手を取ったのは風上に立った徳島だった。

ボード解説①

2分、GKからのロングボールに競り勝ち、ボールを10番の渡井が拾うと味方の動きを見ながら前方へ運ぶ。

アビスパとしてはグローリが競り合った瞬間、CHの2人ともがボールに関与できない位置にいたことで渡井が余裕を持ってボールを運べる状況になったことが悔やまれる。

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そして宮代が裏に抜けるタイミングでスルーパス。

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宮代のシュートはGK村上がブロックするも、詰めていた垣田が蹴り込み得点。

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ビハインドの状況を挽回すべく5分に前寛之の2度の縦パスから金森がシュートに持ち込んだが、その後も徳島ペースで試合は推移していく。

こうなった要因の1つは、アビスパの4-4のライン間のスペースに徳島の2列目の3人、特に中央の渡井が侵入し、このスペースを巧みに使えていたため。

16分には藤田が直接FKでゴールを狙うと、巻いたボールはクロスバー直撃。

続く18分にもエリア内から藤原がシュート、GK村上が止めるもゴール前にこぼれ、宮代が詰めたがこれは志知が間一髪でクリア。

徳島の攻撃に対し、アビスパがなんとか耐える展開が続く。

そんななか、20分にはアビスパにチャンス。良い距離感で三角形を作りながらパスを繋ぎ、バイタルエリアで受けた石津から左サイドを上がってきた志知へ。志知はダイレクトでグラウンダーのクロスを入れたが、GKのセーブにあい得点には繋がらず。

徳島のチャンスは22分にも。アビスパの右サイドをえぐられ、中央へのパスを受けた宮代が突破からシュートを放った。

アビスパに前半最大のチャンスが訪れたのは37分のこと。波状攻撃から右のサロモンソンが低いクロスをエリア内に入れると、金森がダイレクトでシュート。しかしクロスバーに弾かれ同点とはならず。

後半戦

劣勢のアビスパは、後半開始から城後に代えて重廣を投入。
4-4-2から重廣をトップ下に据える4-2-3-1に変えると、これがハマった。

重廣が徳島のCHを見ることで前半のように自由に展開させず、パスコースを制限し追い込めるようになったのだ。

ボード解説②

それが結果となって現れたのが53分。徳島の組み立てに対しCBの宮がタイトな守備をみせる。

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石津も加わり2人で激しくプレスをかけてボールを奪うと、山岸が拾い前を向く。両SHの金森と石津が中央に寄り、山岸は金森にパス。

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金森はワンタッチで石津に落とし、石津は溜めてから全速力で駆け上がってきたサロモンソンへ。あまり角度はなかったが、ダイレクトでのシュートを選択すると、GK上福元の股下を射抜き1-1の同点。

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これで勢いづくと68分、左サイドにいた前がクロスを上げると徳島の選手が頭で触ったがボールは高く上がってしまう。落下点に入ったDFジエゴがヘッドでのクリアを狙ったのだが、強風のせいか目測を誤り落下したボールはバウンドして腕に。
これで得たPKを蹴るのは金森。冷静に角を狙ったシュートはGKの逆を付き、2-1と逆転。

だが、徳島も簡単には終われない。ここから猛攻を見せる。
74分にはクロスのこぼれ球から渡井がGKと1対1になるも、ここはGK村上が防ぐ。

最も危険だったのは80分、徳島のCKのシーン。ニアサイドで鈴木がコースを変え、渡井がファーサイドで押し込んでネットを揺らした。が、これは渡井の位置がオフサイド。

ボード解説③

アビスパも83分に非常に良い形を作る。左サイドで志知→田邉→山岸と繋ぎ、

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山岸が落とすと前はダイレクトで縦パスを入れ、重廣は左サイドへ展開。

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最後は田邉のクロスに山岸がボレーシュート。DFのブロックにあってしまったが、少ないタッチ数で繋ぐことで徳島の選手に的を絞らせなかった。

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この場面のシュートで山岸が足を吊ってしまい、代わりに投入されたのはSBが本職の湯澤。1トップの位置に入り、前線からの守備役を担うことに。

後半アディショナルタイム1分にも徳島にビッグチャンス。GK上福元もゴール前に上がっていたCKのこぼれ球を、藤原がミドルシュート。枠を捉えていたが、GK村上が右手一本で掻き出し得点を許さず。

猛攻を見せる徳島だったが、後半アディショナルタイム5分にアクシデント。ペナルティアーク内からの直接FKをFW河田が渾身のシュートで狙ったが、壁の前に入っていた渡井の頭に直撃。そのあとふらつきが見られ、脳震盪の恐れがあったため担架に載せられての交代となってしまった。

そして試合終了の笛。昇格組同士の試合の軍配はアビスパ福岡に上がり、今シーズン初勝利を逆転で飾った。

採点(及第点5.5)、寸評

GK村上昌謙 6.5 開始早々の失点は痛手だったし風下にいた前半はキックが飛ばないことにも苦しんだが、後半アディショナルタイムに藤原のミドルシュートを掻き出したプレーは称賛に値する。

DFエミル・サロモンソン 7.5 MOM。長い距離のスプリントから同点ゴールを決めた。一方で、特に前半はこちらのサイドをえぐられるシーンも目立った。
終了間際のFKを徳島の渡井が頭で受けてしまい座り込んだ際に、GK村上と共にすぐに駆け寄り横になるよう促した。脳震盪は選手生命にも関わり得るため、この行動に0.5点プラスしている。

DFドウグラス・グローリ 6.0 この試合も最後の砦として跳ね返すシーンが目立った。が、イエローカードをもらうペースは減らしたい。

DF宮大樹 6.0 後半開始早々、宮代の突破を止めた場面は非常に大きかった。同点の場面では積極的な守備でボールを奪う。

DF志知孝明 5.5 右のサロモンソンが積極的に上がるため、攻撃参加は自重気味。18分のシーンでは追加点を許さず。

MF金森健志 6.5 PKを冷静に沈め、これが決勝点に。前半にはサロモンソンのクロスに合わせ、クロスバー直撃のシュートも。

MFカウエ 5.5 初のスタメンで対人の強さ、パスのセンスを示した。一方で、守備時の細かなポジショニングに問題あり。

MF前寛之 6.5 J1に慣れたのか、徐々に縦パスを入れられるようになってきた。カウエとの連携はまだ向上の余地あり。

MF石津大介 6.5 同点のシーンでは溜めて絶妙なスルーパス。アシストを記録した。前半にもバイタルエリアで受けて志知へ決定的なパスを供給。

FW城後寿 5.0 メンデスに身体の張りがみられ、試合直前に急遽スタメン入り。しかしなかなかボールに関与できず、前半のみの出場に。

FW山岸祐也 6.0 怪我人が相次いでいるFW陣のなかで軸になりつつある。プレーに落ち着きがあり、守備面での貢献度も増している。

MF重廣卓也 6.0 後半開始から慣れないトップ下の位置に入ったが、徳島のCHを見ながら攻撃にも数多く関与。

MF田邉草民 5.5 76分に石津と交代で投入される。速さはあまりないが巧さで攻撃のアクセントになれる存在だ。

MF吉岡雅和 採点なし 81分、金森との交代で投入される。じわじわと評価を上げている印象。

DF湯澤聖人 採点なし 山岸が足を攣ったことで85分、1トップの位置に投入される。慣れないなかでも前線からの守備でチームに貢献。

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