【随想】加盟店手数料はどうやって決まる?#2−(2/4)

 クレジットカード会社の加盟店手数料は、どのように決まるのだろうか。その実態は、われわれの側からは見えない。明らかなのは、われわれがクレジットカードの会員になると、会員契約にもとづきカード発行会社(イシュア)に年会費(カスタマー・フィー)を支払っているということである(無料の場合も多い)。しかし一方では、クレジットカード会社(アクワイアラ)は加盟店に対しどのような条件で契約を結び、そこにどのような対価(マーチャント・ディスカウント)が生じているかについては、われわれは基本的に預かり知らぬということである。
 だが、このビジネスモデルを全体として見れば、両者は非常に密接に関連していることがわかる。たとえば、クレジットカードを保有するカード会員が、ある加盟店で、ある商品またはあるサービスをp円で購入したとする。その後、カード会員の口座からクレジット会社に対してp円に加え、カスタマー・フィーとしてf円が支払われることになる(p+f(円)。ただし、fがゼロであったり、個々の取引単位ではなく、年会費としてまとめて支払っている場合もある)。さらに一定期間後、決済システムから、加盟店に対してカード会員の購入価格p円から一定の加盟店手数料(m円)が控除された金額が支払われ(p-m(円))、この取引が完了する。クレジットの決済システムを提供するクレジットカード会社としては、(p+f)-(p-m)、つまりf+mを最大化することが経済合理性にかなった行動となる。
 ただし、(f+m)の最大化にあっては、両者を単純に引き上げればよいというものではない。なぜなら、あるお店が特定のクレジット決済システムへの加入を決めるのは、加盟店手数料(m円)の高さであることはもちろんこのクレジットカードを所有する人がどれだけ多いかに依存するからであり、また、ある消費者が特定のクレジットカードの保有を決めるのは、カスタマー・フィー(f円)の価格に加えその決済システムに加入している加盟店の多さによるからである(2018年12月5日記)。

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